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中小企業退職金共済制度(中退共)いくらもらえる?掛金別・年数別の支給額を徹底解説

お役立ち情報
監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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中小企業で働く人のために設けられた「中小企業退職金共済制度(中退共)」は、国が支援する公的な退職金制度です。企業が掛金を支払うことで、従業員は退職時にまとまった共済金を受け取ることができます。この記事では、中退共の仕組みや受取額の目安、制度のメリット・注意点について詳しく解説します。

中小企業退職金共済制度(中退共)とは

中退共は、中小企業の従業員が安心して働けるよう、国の支援により設けられた退職金制度です。独立行政法人が運営しており、事業主が掛金を拠出することで、従業員が退職時に共済金を受け取れる仕組みとなっています。

対象企業には資本金または従業員数によって細かな条件が設けられています。以下は一例です。

業種別資本金の上限常時雇用する従業員数
製造業・その他3億円以下300人以下
小売業5千万円以下50人以下
サービス業5千万円以下100人以下

このように、中退共は業種や企業規模に応じて柔軟に加入できる制度であり、初期費用も掛からないため、多くの中小企業にとって導入しやすいものとなっています。


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中退共でもらえる退職金の目安とは

中退共では、月々の掛金と加入期間により受給額が決まります。以下の表は、掛金額別に加入年数ごとの支給目安をまとめたものです。

月額掛金10年加入時20年加入時30年加入時
5,000円約70万円約180万円約310万円
10,000円約140万円約360万円約620万円
30,000円約420万円約1,080万円約1,860万円

支給額は定年退職を前提とした場合の目安であり、途中解約や早期退職では減額される可能性があります。したがって、長く働き続けることで、より有利な条件で退職金を受け取ることができる制度設計になっています。


退職金の支給モデルケースを解説

以下に具体的なモデルを記載します。掛金総額と受取額を比べることで、中退共の給付率の高さを理解できます。

モデルケース月額掛金加入年数総掛金額受取額(目安)給付率
ケース110,000円20年240万円約360万円約150%
ケース230,000円30年1,080万円約1,860万円約172%

このように、掛金が大きく、加入期間が長いほど、受取額は増加し、給付率も高まります。企業側の視点から見ても、将来的な退職金の支出予測が立てやすいため、財務計画の上でも活用しやすい制度です。


中退共に加入するメリットと注意点

中退共の最大の利点は、企業が独自に退職金制度を構築することなく、制度化された仕組みに乗ることで、管理負担を軽減できる点です。さらに掛金は損金算入可能であるため、法人税などの節税にも寄与します。

一方で注意点としては、以下のようなものがあります。

留意点内容
掛金の滞納給付率の低下や制度除外の可能性がある
退職者本人の請求が必要共済金は企業ではなく本人が申請する
管理責任加入・脱退・変更手続きの事務管理が必要

このように、制度そのものは簡便で優れているものの、実務上の管理には一定の手間がかかることも理解しておく必要があります。


中退共の加入方法と申請手続きの流れ

加入から受給までの流れは明快です。事業主は共済契約申込書を提出し、必要書類とともに審査を受けます。審査に通ると従業員ごとに共済手帳が交付され、掛金納入が始まります。

掛金の支払い方法には銀行振込や自動引落があり、柔軟に対応できます。退職後の共済金請求は、退職者本人が行う必要があり、共済手帳と退職証明書などの書類を提出することで手続きが完了します。おおよそ1〜2ヶ月で口座に共済金が支払われます。

また、従業員が転職した場合でも、次の勤務先が中退共加入企業であれば、掛金の通算が可能です。この継続性は、従業員にとっても制度活用の大きな動機づけとなります。


制度活用の幅を広げるために知っておきたいこと

中退共には、掛金月額の変更、従業員の途中加入や脱退など、実務上の柔軟な対応ができる体制が整っています。企業の経営状況や従業員の事情に応じて、制度を適切に調整することで、より実効性の高い退職金設計が可能となります。

特に経営者としては、掛金の調整による財務バランスの最適化、また従業員への説明責任を果たすことで、組織全体の信頼性を高めることにもつながります。さらに、定期的な説明会や制度活用の周知活動を行うことで、従業員の制度理解を促進し、職場の一体感向上にも貢献します。


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まとめ

中小企業退職金共済制度は、企業にとっても従業員にとっても大きな価値をもたらす制度です。特に長期的に見たときに、安定した退職金の積立が可能であること、国の支援による初期費用の軽減、税制上の優遇措置など、多くの利点があります。

掛金の設定次第で、給付率を最大限に高められるため、今後の人材確保・定着に向けた有力な戦略の一つとして、中退共の導入と活用は中小企業経営において不可欠な要素といえます。制度の正しい理解と管理体制の構築により、企業成長と従業員の生活安定の両立が図れるようになります。