人材育成の手段として欠かせない社内研修。実施にあたって「外部講師を呼ぶべきか、それとも社内のメンバーで実施すべきか」という選択に悩む担当者は多いのではないでしょうか。この記事では、社内メンバーで社内研修を行う際のメリットとデメリットを整理し、どのような研修に適しているのかを具体的に解説します。
社内研修を社内メンバーで実施するとは?
社内研修を社内メンバーで実施するとは、自社の社員や管理職が講師やファシリテーターとなり、教育・育成プログラムを運営する方式のことを指します。外部の専門講師を招かず、社内の知見や経験を活用して自前で完結させるスタイルです。
項目 | 内容 |
---|---|
実施者 | 現場のマネージャー、人事担当者、専門部署の社員など |
研修対象 | 新入社員、若手、中堅、リーダーなど幅広い階層 |
主な形式 | 講義、グループワーク、OJT形式、ロールプレイなど |
社内メンバーで実施する研修のメリット
1 コストを抑えられる
外部講師に依頼する場合に比べて、講師料や会場費が不要となり、コスト面での負担が大幅に軽減されます。
コスト比較 | 社内講師 | 外部講師 |
---|---|---|
講師費用 | 原則不要 | 数十万円〜 |
移動・交通費 | 発生しない | 発生する |
資料作成費 | 一部必要 | 提供されることも多い |
2 自社に特化した内容にできる
自社の業務内容や文化、業界特性に応じたオリジナル研修が可能です。現場に即した事例や言葉を使うことで、受講者の納得感も高まります。
研修内容 | 特化度 |
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外部講師 | 一般論が多く、自社に合わせるには工夫が必要 |
社内講師 | 社内制度や過去の失敗例など、実務に直結した内容を反映しやすい |
3 社内のコミュニケーションが活性化する
上司が講師になることで、部下との距離が縮まり、信頼関係の構築にもつながります。研修を通じて、縦・横の関係が強化される効果も期待できます。
関係性 | 効果 |
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上司・部下 | 指導とフォローアップの一貫性が増す |
同僚同士 | 研修を通じた相互理解が進む |
社内講師による研修のデメリット
1 ノウハウや教育スキルが不足する可能性
教育経験のない社員が講師になると、内容や進行が不十分になりがちです。また、伝えたいことがあっても受講者に響かないこともあります。
課題 | 対応策 |
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教える経験がない | 講師向けの事前研修を実施 |
資料作成が負担 | フォーマットの共有や他部署との連携で補完 |
2 受講者が「本音」を話しづらい
社内の上司や同僚が講師だと、受講者が意見を言いづらくなる場面もあります。心理的安全性の確保が課題となります。
シチュエーション | 影響 |
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上司が講師 | 課題や不満が共有されにくくなる |
評価に影響する立場 | 自由な意見が抑制される可能性あり |
3 学びの視野が狭くなる恐れ
社内だけの視点では、業界の最新動向や他社事例に触れる機会が限られてしまうため、「井の中の蛙」状態になることもあります。
研修スタイル | 学びの範囲 |
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社内完結型 | 自社の枠内にとどまりやすい |
外部連携型 | 多様な視点を得ることができる |
社内研修を効果的に行うポイント
ポイント | 解説 |
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研修目的の明確化 | 研修のゴールを明示し、対象者に合った内容を設計 |
講師の育成 | 社内講師に対してティーチング・ファシリテーションの研修を実施 |
フィードバックの収集 | 研修後のアンケートや行動変容の観察による改善 |
必要に応じた外部支援 | 社内講師のサポートとして、監修や講師トレーニングを外部活用する手もあり |
まとめ
社内メンバーによる研修は、コスト面や柔軟性、社内理解という観点で大きなメリットがあります。一方で、講師の力量や受講者の反応には課題が残ることもあるため、教育効果を最大化するには制度設計や支援体制の整備が必要です。外部リソースと併用しながら、自社の強みを活かした研修体系を構築していくことが、より実践的な人材育成につながるでしょう。