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中小企業退職金共済(中退共)の退職金計算方法とは?簡単シミュレーションで解説

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監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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中小企業退職金共済(中退共)は、従業員の将来を支える退職金制度として注目されています。本記事では、制度の基本から、実際にいくら退職金が支給されるのか、掛金と加入年数から具体的に試算できるシミュレーションの使い方までを解説します。制度導入を検討している経営者や人事担当者に向けて、わかりやすく情報を整理しました。

中小企業退職金共済制度の概要

中小企業退職金共済制度(通称:中退共)は、独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する、国による中小企業向けの退職金制度です。中小企業が従業員の退職金を計画的に準備できるようにと整備され、従業員が退職した際には機構から直接退職金が支払われる仕組みとなっています。

この制度は任意加入であり、法人企業だけでなく、個人事業主も対象です。正社員のみならず、要件を満たせばパートタイム勤務者や短時間労働者でも加入が可能です。また、掛金は事業主が全額負担し、全額損金算入できるという経営上のメリットもあります。

制度の導入により、従業員の安心感を高められると同時に、企業としての社会的信用を得ることにもつながります。特に、福利厚生が充実していることは採用活動や定着率向上にも大きく影響するため、中退共制度の存在は中小企業にとって大きな武器になるのです。

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中退共の退職金計算方法とは

中退共で支給される退職金は、以下のように計算されます。

退職金額=掛金月額×加入月数×支給率

この支給率は、掛金額と加入年数により変動します。加入期間が長くなるほど支給率が高まり、受け取れる退職金も増える仕組みです。

以下の表に、想定例を記載します。

掛金月額(円)加入年数支給率(例)退職金概算(円)
10,00010年1.0倍1,200,000
10,00020年1.5倍3,600,000
20,00015年1.3倍4,680,000

中退共制度では、制度独自の支給率テーブルが用意されており、支給額は累計掛金に応じた金額よりも多くなる傾向があります。ただし、実際の金額は退職理由や掛金の支払状況などによって変わるため、正確な金額を知るためには公式の試算ツールの利用が有効です。

中退共加入のメリットと注意点

中退共の加入には多くの利点があります。まず第一に、制度自体が国の支援によって設けられているため、信頼性が高く、従業員にとっても安心できる退職金制度となっています。また、掛金が全額損金として算入できるため、企業の節税効果も期待できます。

従業員にとっても自己負担がない上に、退職金が直接機構から支払われるため、透明性が高くトラブルの回避にもつながります。さらに、企業としての社会的信用も上がり、人材採用や社員定着率の向上にも好影響を与えるでしょう。

一方で、注意すべき点もあります。たとえば、掛金を1年未満しか支払っていない従業員が退職した場合には、退職金が支給されません。また、掛金の未納が続くと共済契約が解除されることもあるため、毎月の掛金管理には十分注意する必要があります。

中退共のシミュレーションツールの使い方

中退共の公式サイトでは、退職金の概算額を試算できるシミュレーションツールが公開されています。利用方法は簡単で、掛金の月額と加入予定年数を入力するだけで、おおよその退職金額を把握することが可能です。

この試算結果は、社内での導入検討時や従業員への説明資料として非常に有効です。将来の経営資金計画を立てる上でも、制度導入後にかかるコストを具体的に把握できる点で有用でしょう。

複数の従業員についてシミュレーションを行うことで、部署ごとの人件費計画にも応用可能です。制度運用を安定的に行うためには、導入前からこのようなツールを活用し、制度設計の精度を高めることが重要です。

掛金額の選定基準とその影響

中退共への加入時に決定する「掛金月額」は、将来の退職金に直結する要素です。掛金は5,000円から30,000円までの範囲で選べ、従業員ごとに金額を設定できます。

高額な掛金設定は退職金額の増加につながりますが、企業の負担も大きくなります。そのため、経営状況に応じて柔軟に設定し、定期的に見直すことが望ましいとされています。

掛金は年度更新制度により、年1回のタイミングで変更可能です。創業初期の企業であれば低額から始め、業績が安定したタイミングで増額するなど、段階的な導入戦略を採ることで、リスクを最小限に抑えつつ制度の効果を最大化できます。

制度導入の事例と実践のポイント

実際に中退共を導入した企業の事例として、地方で製造業を営む企業では、数年前から掛金1万円で制度を開始し、退職者からの満足度も高く、制度導入が企業の評判向上につながったという報告もあります。

従業員の定着率向上や求人応募数の増加など、制度の効果は福利厚生以上の価値を持ちます。このように、中退共は企業ブランディングの一環としても活用可能な戦略的要素を含んでいるのです。

制度維持のためのチェックポイント

制度を安定して維持するには、毎月の掛金の確実な納付が必要です。納付の遅れや未納があると、退職金が支払われないケースもあるため、口座振替などの自動化を徹底し、経理と総務が連携して納付状況を管理する体制を整えましょう。

また、従業員の異動や雇用形態の変更に伴う情報更新も忘れてはいけません。共済契約において、正確な人事情報の登録と管理が制度の信頼性維持に欠かせない要素です。

よくある質問(FAQ)

従業員が途中退職した場合はどうなりますか?
加入月数が12か月以上あれば、退職金は支給されます。未満の場合は支給対象外です。

掛金はいつでも変更できますか?
掛金の変更は年1回、契約応当月に可能です。

非正規雇用者も対象ですか?
一定の労働条件を満たしていれば、パートタイム従業員も加入できます。

事業を廃業した場合は?
解約手続きを行えば、解約手当金が退職金として支給されます。

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まとめ

中小企業退職金共済制度(中退共)は、従業員の将来を保障し、企業の信頼性を高める強力な制度です。導入のしやすさ、税制上の優遇措置、従業員との信頼関係構築など、多くのメリットを有しています。

企業規模に関係なく、今後の人材確保や経営安定に直結する制度として、中退共の活用はますます重要性を増すことでしょう。制度の詳細を理解し、経営戦略に組み込むことで、中小企業の成長を支える基盤のひとつとなるはずです。