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不動産投資は法人化できる?メリットや注意点を徹底解説

お役立ち情報
監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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不動産投資における法人化とは何か

不動産投資を法人化するとは

不動産投資における法人化とは、個人ではなく法人名義で不動産を保有・運用する仕組みを指します。法人化には、株式会社、合同会社、一般社団法人などの形式があり、法人として登記を行い、税務処理や経理を法人として実施します。特に年収が高くなるほど累進課税の影響を受けやすい個人と比べて、法人は一定の税率で課税されるため、税金の圧縮が見込めます。

また法人化することにより、役員報酬や法人名義での経費支出が可能となり、より柔軟な資金管理が実現できます。法人設立には準備が必要ですが、投資規模が拡大するほど節税や事業承継といった視点からも有利に働くのが法人化の特長です。

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不動産投資を法人化する5つのメリット

節税効果が高い

個人の所得税は最大で45%、住民税と合わせると55%に達することもあります。一方で法人税は中小企業であれば実効税率が約23.2%、さらに800万円以下の所得に対しては15%と大きく異なります。収入が高額になると、法人化することで支払う税額が大幅に圧縮される可能性が高まります。

また、役員報酬という形で自分自身へ給与を支払うことができ、給与所得控除を活用してさらに節税効果を高めることができます。

経費計上の自由度が高い

法人であれば、個人での計上が難しい項目も経費として認められることがあります。たとえば役員報酬、社用車のリース代、オフィス家賃、事務用品費、研修費など、ビジネスに関わる支出は原則として損金処理が可能です。これにより、実際の税負担を抑えることが可能になります。

家族への所得分散が可能

法人では家族を役員にし、役員報酬を支払うことで所得を分散できます。これにより個人の高税率を回避し、各人の課税額を抑える効果が得られます。所得が一極集中してしまう個人名義では困難な対策も、法人では柔軟に実施できます。

信用力が上がる

法人化することで、金融機関からの信用度が向上します。法人としての運営実績や決算書の存在が評価され、融資の際の審査も有利になることがあります。とくに不動産投資においては借入を活用する場面が多いため、信用力の強化は資金調達に大きく寄与します。

事業承継がしやすい

不動産を法人で保有することで、相続の際に資産の一括譲渡を回避できます。株式を次世代に譲渡することで、法人資産をそのまま継続利用でき、税務的にも効率よく資産を引き継げます。将来的な相続問題への対策としても有効です。

項目個人名義運用法人名義運用
税率最大55%約15~23.2%
経費計上限定的広範囲で認められる
所得分散制限あり家族役員により分散可能
信用力個人の信用に依存法人格で審査される
事業承継相続税・分割の課題がある株式譲渡で簡易的に承継可能

不動産投資を法人化するデメリットと注意点

赤字の損益通算ができない

法人で発生した赤字は、個人の所得と通算することができません。たとえば個人事業では他の給与所得や事業所得と通算することで税額を圧縮することが可能ですが、法人では法人単体での損益が計算されるため、個人側の利益を相殺することはできません。

設立や運営に費用がかかる

法人設立時には登記費用や定款認証、司法書士費用など、初期コストが発生します。また設立後も、法人税申告のための税理士報酬、社会保険の負担、各種届け出など維持コストが継続的に必要です。これらの費用負担が事業収益を圧迫するケースもあります。

利益の引き出しに課税される

法人で得た利益を個人に移す場合には、役員報酬や配当金の形をとる必要があり、それぞれ所得税や配当課税が課されます。つまり法人税と所得税の「二重課税」になる可能性があり、実効税率のシミュレーションが必要です。

手続きが煩雑

税務署・年金事務所・都道府県税事務所への各種届け出、法人銀行口座の開設、契約書の法人名義変更など、多岐にわたる事務作業が発生します。個人事業に比べて手間と管理体制が必要となる点は無視できません。

不動産投資の法人化に向いている人の特徴

年間家賃収入が高額な人

家賃収入が年間1,000万円以上になると、個人では所得税の負担が重くなります。そのような投資家にとって、法人化は税金の最適化を図るうえで極めて有効な手段になります。

家族と事業を共有したい人

家族を役員に据えることで報酬の分散ができ、税務面だけでなく経営的にもメリットがあります。また家族内での承継を前提とした資産管理を意識している人にも法人化は適しています。

不動産投資を長期で続ける意志がある人

短期的な売却益や副収入ではなく、事業として中長期的に不動産投資を行う人にとって、法人化による信用構築や組織運営の強化は大きな武器になります。

法人化の手続きと流れ

法人設立のステップ

法人化のプロセスは以下のようになります。

  1. 定款の作成と認証(公証役場で手続き)
  2. 資本金の払い込み
  3. 登記申請(法務局にて実施)
  4. 税務署・都税事務所・年金事務所などへの各種届出
  5. 法人口座の開設、既存契約の法人名義変更

以上のように、多数の書類と手続きを経る必要があります。専門家の支援を受けながら進めるとスムーズです。

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まとめ

法人化の判断は将来設計に基づいて

不動産投資を法人化することにより、節税・信用力向上・事業承継といった大きなメリットを享受することが可能です。しかし一方で、設立・維持費用や手続きの煩雑さといったデメリットも存在します。

法人化の判断は、現在の収益状況と将来的なビジョンに基づいて行うことが大切です。不動産投資を一時的な収入源としてではなく、長期的なビジネスとして確立していきたいのであれば、法人化はその強力な選択肢の一つとなるでしょう。税理士や専門家に相談しながら、自身に最適な運用体制を構築してください。