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事業撤退のタイミングはいつ?見極めるべき6つの重要ポイント

お役立ち情報
監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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どんなに情熱を持って始めた事業でも、必ずしも成功するとは限りません。状況を正しく判断し、撤退すべき時に適切な決断を下すことも経営者の重要な役割です。本記事では、事業撤退のタイミングを見極めるための判断材料や、撤退に至る前に確認すべき要素について詳しく解説します。

そもそも事業撤退とは?

事業の継続を止める判断

事業撤退とは、これまで継続していた事業活動を終了し、その分野から撤退する経営判断のことを指します。一般には「失敗」や「赤字」のイメージが先行しがちですが、必ずしも後ろ向きな意味ではありません。限られた経営資源を有効に活用するためには、採算が取れない事業を潔く切り離すことが重要になります。

また、事業撤退は経営再建や新規事業への集中を目的として行われることも多く、戦略的な経営判断の一つです。

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撤退のタイミングを見極める6つのポイント

売上・利益が長期間にわたり低迷している

売上が数か月から数年にわたって低調で、回復の兆しが見られない場合、事業継続の妥当性が問われます。特に利益が出ておらず、赤字が慢性化している場合には、資金繰りや企業体力への悪影響も無視できません。

一時的な不振であれば改善余地もありますが、長期的かつ構造的な問題がある場合は、早期の判断が求められます。

市場ニーズとのズレ

市場のニーズにマッチしていない商品やサービスを提供している場合、それがどれだけ優れていても売上は見込めません。とくに市場トレンドの変化や競合の出現により、自社商品が時代遅れになるケースは注意が必要です。

ユーザーの声や販売データを分析し、競合と比較して競争力を失っている場合は、撤退の可能性を視野に入れるべきです。

経営資源の分散が起きている

複数事業を同時に運営している場合、リソースの分散が経営効率を下げる原因になります。中でも、収益性の低い事業に人的・金銭的資源が過剰に使われている場合は、本来の成長分野に注力できなくなります。

撤退によって主要事業に集中することで、全体の企業成長につながるケースも多く見られます。

内部からの意欲やモチベーションの低下

事業担当者やスタッフの意欲が著しく低下し、改善活動や新しい提案が出なくなった場合は、事業そのものの持続性が疑われます。特に営業活動や顧客対応が形式的になり、チーム全体の活気が失われている状況は、撤退の信号とも言えます。

キャッシュフローが悪化している

資金繰りが困難で、仕入れや運営に支障が出始めている場合、即時の対応が必要です。短期的に資金ショートの可能性がある状態で事業を継続するのは、企業全体に悪影響を及ぼしかねません。

資金調達が困難、金融機関の協力も得られないといった状況では、撤退を前提に事業縮小の準備を進めることが重要です。

経営判断が「感情」に左右されている

創業者や経営者が特別な思い入れを持っている事業ほど、損切りの判断が難しくなりがちです。しかし、ビジネスは「数字」と「合理性」に基づいた判断が求められます。感情ではなく、データに基づいた撤退判断を行う姿勢が大切です。

判断項目見極めポイント
売上・利益長期にわたり赤字が続いている
市場との適合性トレンドや顧客ニーズから外れている
経営資源の集中度人材やコストが他事業に流用できていない
チームの士気モチベーションが低下し、創造性が失われている
資金繰りの状況キャッシュフローが悪化し、融資も困難になっている
経営の冷静さ数字よりも情に流されて判断している

事業撤退を判断する前に検討すべき対応策

商品やサービスの再設計

撤退を判断する前に、既存商品・サービスの改善や再構築を行うことも一つの選択肢です。ユーザーの声を基に、価格設定やパッケージ、提供方法を見直すことで、新たな顧客層の獲得につながることもあります。

セグメントの絞り込み

すべてのターゲットを相手にするのではなく、利益率の高いニッチ市場に絞ることで、効率的な運営が実現できます。撤退ではなく、縮小・再集中という選択も戦略的です。

他社との業務提携や譲渡

自社では収益化が困難な事業であっても、他社にとっては魅力的な事業である可能性があります。業務提携や事業譲渡により、損失を最小限に抑えながら撤退する方法もあります。

撤退を実行する際の注意点

スムーズな社内外調整

撤退決定は、従業員、顧客、取引先など、多くの関係者に影響を及ぼします。社内説明会や個別面談などを通じて、丁寧な情報共有と今後の方針説明が不可欠です。

撤退コストの試算

違約金、在庫処分費、人件費の整理など、撤退には少なからずコストが発生します。撤退を決定する前に、収支予測と現金残高を把握し、事業終了後の資金計画を策定する必要があります。

ブランドへの影響対策

撤退した事業が会社の主力ブランドと関わっていた場合、その影響を最小限にする広報戦略も必要です。顧客に対しても、「前向きな判断」であることを明確に伝えることが信頼維持につながります。

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まとめ

事業撤退はネガティブな印象を持たれがちですが、視点を変えれば「企業の健全性を守るための戦略的判断」です。撤退のタイミングを逃すと、企業全体の存続にも関わるリスクが高まるため、冷静な判断が求められます。

数字、現場、顧客の声に耳を傾け、感情ではなくデータを根拠に撤退を判断することで、次の事業成長へつながる道が開けるはずです。