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個人事業主が法人化しない理由って?メリットについても解説

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監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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個人でビジネスを行っていると、一定の規模や売上に達した際に「法人化すべきか」と悩む方も多いでしょう。法人化は節税や信用力の向上など多くの利点がある一方で、あえて法人化しないという選択を続ける個人事業主も少なくありません。本記事では、個人事業主が法人化を選ばない主な理由と、個人事業主でいることのメリットについて詳しく解説します。

法人化とは何か?

法人化とは、個人事業として営んでいたビジネスを「法人格」を持つ会社として運営することを意味します。一般的には「株式会社」や「合同会社」として登記を行い、税務や会計、労務などに関する制度も法人としての枠組みで運用することになります。

比較項目個人事業主法人(例:株式会社)
登記の有無不要必須(法務局での設立登記)
会計処理簡易な帳簿と確定申告で対応可能複式簿記・決算報告書の作成が必要
所得税累進課税法人税率による一律課税
社会保険加入義務任意加入も可能原則、強制加入

法人化はメリットも多いですが、その反面で負担や責任も増えるため、慎重な検討が求められます。


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個人事業主が法人化しない主な理由

税務負担や社会保険料の増加を避けたい

法人化すると、原則として「社会保険への強制加入」が求められ、従業員がいなくても役員報酬に対して厚生年金や健康保険が発生します。これが大きな固定費となることを嫌い、法人化を避けるケースがあります。

比較項目個人事業主法人
国民健康保険所得に応じて変動強制加入(定額+報酬連動)
年金制度国民年金(定額)厚生年金(報酬比例)

結果として、年収が400万円程度の規模では、法人化による税・保険料負担の増加のほうが大きくなることもあります。


会計処理や手続きの煩雑さを避けたい

法人は会計や税務処理が厳格に管理されるため、経理業務や帳簿の整備が複雑になります。個人事業主として簡易的な記帳や青色申告のみで済ませていた場合、法人化後の手続きの煩雑さに負担を感じるケースもあります。

項目個人事業主法人
帳簿管理簡易帳簿・現金主義も可複式簿記が原則
税申告所得税・消費税法人税・事業税・消費税など複数

小規模なビジネスでは、こうした事務的コストを避けたいというニーズが根強くあります。


設立や維持に費用がかかる

法人を設立する際には、登記費用や定款認証費用などが発生します。また、毎年の維持費として、税理士への報酬や社会保険料の負担なども考慮する必要があります。

費用項目内容概算金額
登記費用設立登記・登録免許税約15万円〜25万円
定款認証公証役場での認証手数料約5万円前後
会計報酬税理士・会計士への依頼費用月1万円〜5万円程度

年間の収益に対してこれらの固定費が重く感じられる場合、法人化を見送る判断につながります。


個人事業主でいることのメリット

法人化しない選択には、合理的なメリットも存在します。以下に個人事業主ならではの利点を紹介します。

メリット解説
手続きが簡単開業届の提出のみで始められ、会計や帳簿も簡便
税制上の柔軟性所得が低ければ、累進課税の恩恵を受けられる
経費管理の自由度が高い家事按分など実生活とリンクした経費処理が可能
撤退しやすい法人と違って清算手続きが不要。廃業届のみで完結

とくに小規模なビジネスや副業レベルの運営であれば、これらのメリットは非常に大きなものとなります。


法人化を検討すべきタイミングとは?

個人事業主として事業を続ける中で、法人化を検討すべき明確な転機も存在します。

タイミング判断基準
年収が800万円を超える所得税の累進課税が急増し、法人税のほうが有利になる
社員を雇う予定がある労務管理や信用の観点から法人が有利になる
大手企業と取引が始まる信用面で法人格が求められる場面が多い
資金調達を検討している金融機関や投資家との関係で法人のほうが選ばれやすい

将来的な成長を見込む場合は、法人化に備えた準備も同時に進めておくと安心です。


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まとめ

個人事業主が法人化しない理由には、税務・事務負担・コストの増加といった現実的な側面が大きく影響しています。一方で、個人事業主としての機動力や柔軟性は、一定の規模までのビジネスには非常に適しているとも言えます。

事業のステージや今後の展望に応じて、個人のまま続けるか、法人化に踏み切るかを冷静に判断し、自分にとって最も適した形でビジネスを展開していきましょう。