法人を運営していると避けて通れない「決算業務」。専門知識が必要なイメージから税理士に任せる企業も多いですが、実は自分で行うことも可能です。この記事では、法人決算を自分で行う方法、メリット・デメリット、外注との比較をわかりやすく解説します。
法人決算とは何か
法人決算とは、会社が1年間に得た収益や支出をまとめ、損益を確定する手続きのことです。税務署へ提出する「法人税の申告書類」や「決算書類」の作成が含まれます。
一般的には次のような流れで進行します。
法人決算の流れ
- 試算表の作成
- 決算整理仕訳の実施
- 決算書の作成(貸借対照表・損益計算書)
- 法人税等の申告書作成
- 税務署への提出と納税
この一連の流れを理解し、適切に処理すれば、自分で法人決算を行うことは十分に可能です。
法人決算を自分で行うメリット
法人決算を自力で行うことには、多くのメリットがあります。
コストの削減ができる
外部の税理士に依頼する場合、年10万円〜30万円以上の顧問料が発生します。自分で行うことで、その費用を削減できます。
経理スキルの向上につながる
帳簿の内容を自ら把握できるようになるため、数字に強くなり、経営判断にも役立ちます。小規模企業や起業直後の会社では、代表者自身が財務を理解していることが大きな武器になります。
法人決算を自分で行うデメリット
一方で、自分で法人決算を行うことには注意点もあります。
時間と手間がかかる
決算業務には会計・税務に関する知識が必要です。書類の作成だけでなく、会計ソフトの操作や調整も含めて、多くの時間を要します。
ミスによるリスクが高まる
書類の提出遅れや税務処理のミスがあると、延滞税や加算税の対象となる可能性があります。専門的な判断が必要な場面では、自分だけで処理するのはリスクが伴います。
法人決算を自分で行うかどうかの判断基準
自力で決算を行うかどうかは、会社の規模や業務量、会計知識の有無などを考慮して判断します。
判断ポイント一覧
判断基準 | 自分で行うのが向いているケース |
---|---|
会社の規模 | 小規模(従業員1〜3人程度) |
取引の複雑さ | 単純な売上と経費構成である場合 |
経理知識 | 基本的な簿記知識がある、または学ぶ意欲がある |
利用中の会計ソフト | クラウド型でサポートが充実している場合 |
表のようなポイントを参考にして、自社の状況にあわせた判断が必要です。
法人決算を自分で行う際のサポートツール
法人決算を自分で行うには、会計ソフトの活用が不可欠です。現在では、初心者にも使いやすいソフトが多数登場しています。
代表的なクラウド会計ソフトの特徴
ソフト名 | 特徴 |
---|---|
弥生会計 | 操作が簡単で初心者にも対応、税務連携あり |
freee | スマホ対応、直感的な操作が可能 |
マネーフォワード | 決算書類の自動作成機能が充実 |
ソフトによっては、税理士に一時的にチェックを依頼できる機能もあります。
自分で行う決算に向いている法人の特徴
法人決算を自分で行うことに向いている企業には、以下のような共通点があります。
- 起業したばかりで取引が少ない
- 社内に簿記や経理の知識がある人材がいる
- 会計ソフトを導入している
- コスト削減を重視している
逆に、複雑な取引が多い企業や、急成長中の企業では、税理士によるサポートを受ける方が適しています。
税理士に依頼するメリットも理解しておく
自分で決算を行うメリットがある一方で、税理士に依頼することで得られる安心感や効率も無視できません。
税理士に依頼するメリット
- 法令改正にも即座に対応できる
- 節税対策のアドバイスが受けられる
- 税務調査の対応も任せられる
- 書類不備によるペナルティリスクが減る
時間と手間をかけたくない場合や、安心して決算を済ませたい経営者には、税理士の活用も一つの選択肢です。
まとめ
法人決算は、自分で行うことも十分可能です。会計ソフトを活用すれば、初心者でも対応できる場面が増えています。ただし、時間的余裕や会計知識の有無、会社の取引内容を総合的に見て、自社に合った方法を選ぶことが重要です。初めての決算で不安がある場合は、税理士のスポット利用など柔軟な活用も視野に入れましょう。