ビジネスの現場で頻繁に登場する「KPI」と「KGI」。どちらも目標達成に向けた管理指標ですが、意味や使い方には明確な違いがあります。この記事では、KPIとKGIの定義や関係性、具体例を交えながら、違いをわかりやすく解説します。これから指標管理を導入したい方や、あらためて理解を深めたい方に最適な内容です。
KPIとKGIとは何か
KPIの意味と役割
KPIとは「重要業績評価指標」のことで、目標達成に向けた途中経過を測定するための指標です。プロジェクトや業務が計画通りに進んでいるかを可視化する役割を持ちます。
たとえば、売上目標を達成するために「毎月の新規顧客数」や「訪問件数」などがKPIとして設定されることがあります。
KGIの意味と役割
一方、KGIとは「最終目標達成指標」のことで、プロジェクトや事業全体のゴールを示す数値です。経営目標やプロジェクトの最終的な成果を表すもので、売上高や利益、契約件数などが該当します。
KPIとKGIの違いとは
| 指標名 | 名称(日本語) | 役割 | 例 |
|---|---|---|---|
| KGI | 重要目標達成指標 | ゴールの達成状況を評価する | 年間売上10億円 |
| KPI | 重要業績評価指標 | ゴールに向けた進捗を評価する | 月間訪問件数500件 |
このように、KGIは「最終目的地」、KPIは「目的地に向かう途中の道のりのチェックポイント」といえる関係です。
KPIとKGIの関係性
KPIはKGIを達成するための手段
KPIは、KGIという最終目標を実現するための「通過点」や「進捗確認の物差し」です。KGIを決めたあとに、それに到達するためにどのような行動を取るべきかを逆算し、その行動にひもづくKPIを設定することが一般的です。
例を挙げると、KGIが「年間新規契約数100件」であれば、KPIは以下のように設定されます。
- 月間の商談件数を50件にする
- 成約率を20%以上に保つ
このように、KGIとKPIは目的と手段の関係性にあります。
KPIとKGIを使い分けるポイント
目的と手段を混同しない
KPIとKGIの違いが不明確だと、誤った施策や評価につながります。KPIを「目標」と誤認してしまうと、施策がKGIの達成に貢献していないケースが生まれてしまいます。
まず最初にKGIを明確に定義し、そのKGIを達成するために必要な行動をKPIとして分解していくのが正しい順序です。
指標の数値は具体的かつ測定可能にする
KPIもKGIも、具体的な数値目標として設定する必要があります。「がんばる」「売上を上げる」など抽象的な表現では、進捗や成果を測れません。
| 良い例 | 悪い例 |
|---|---|
| 月間売上500万円を達成する | 売上を上げるよう努力する |
| 毎月10件以上の商談を獲得する | 商談件数を増やすようにする |
数値化によって「どのくらい達成したか」が明確になるため、PDCAの実行も効果的に進められます。
KPIとKGIを設定する際の注意点
- 実現可能な水準で設定する
- 部署や担当ごとに分解可能であること
- 継続的にモニタリングできる体制を整える
- 定期的な見直しを行う
これらを守ることで、運用が形骸化せず、KGI達成に向けて実効性のある取り組みを継続できます。
よくあるKPIとKGIの具体例
| 業種 | KGI | KPI |
|---|---|---|
| 営業部門 | 年間契約数100件 | 月間訪問件数50件 |
| ECサイト運営 | 年間売上1億円 | 月間新規ユーザー登録数1000件 |
| カスタマーサポート | 顧客満足度90%以上 | 応答までの平均時間5分以内 |
業種によって指標は異なりますが、KGIに直結するようなKPI設計が求められます。
まとめ
KPIとKGIは、目標達成のために欠かせない「現在地と目的地」を可視化する指標です。KGIを起点にKPIを設定し、実行・評価を繰り返すことで、戦略の精度が高まります。両者を混同せず、明確に使い分けることが、成果を生む第一歩です。


