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マトリックス組織って?メリットとデメリットも解説

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監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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複雑化するビジネス環境に対応するため、柔軟で機動力のある組織体制が求められる中、「マトリックス組織」が注目を集めています。一人の社員が複数の上司にレポートするこの体制には、多様なメリットと同時に独自の課題も存在します。本記事では、マトリックス組織の基本構造とその特性、導入する際のメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

マトリックス組織とは何か

マトリックス組織とは、機能別組織(営業・開発・人事など)とプロジェクト別組織(商品、顧客、地域など)を縦横に組み合わせた構造のことを指します。これにより、社員は機能部門とプロジェクト部門の両方に所属し、2つの指示系統のもとで業務を遂行します。

たとえば、開発部門に所属する社員が、ある製品プロジェクトチームにも加わる場合、機能上司とプロジェクトマネージャーの両方に報告しながら業務を進めることになります。このように「二重のライン」を持つことが、マトリックス組織の特徴です。


マトリックス組織の基本構造と役割分担

マトリックス組織では、以下のように「機能」と「プロジェクト」の2軸が存在します。それぞれの役割分担を整理すると、全体像がより明確になります。

組織軸主な役割
機能軸(部門)専門スキルの強化、業務品質の維持、組織としての一貫性の確保
プロジェクト軸特定の成果物の達成、納期・予算管理、市場や顧客への迅速な対応

この構造により、専門性を保ちながらも、市場の変化に機敏に対応できる仕組みを作ることが可能になります。


マトリックス組織のメリット

マトリックス組織には、従来の組織構造では実現しにくい柔軟性と連携力があります。主なメリットは以下の通りです。

柔軟なリソース配置が可能になる

人材を部門単位ではなく、プロジェクトのニーズに応じて配置できるため、適材適所の運用がしやすくなります。変化の激しい事業環境でも、迅速な対応が可能です。

知識とノウハウの相互活用が進む

異なる部門間の人材が協働することで、スキルや知見の共有が自然に行われます。これにより、組織内におけるイノベーションや業務改善の機会が増える効果があります。


マトリックス組織のデメリットと課題

一方で、マトリックス組織には独特の課題も伴います。以下の点に注意が必要です。

指示の食い違いによる混乱

複数の上司を持つことで、「どちらの指示を優先すべきか」といった混乱が生じる可能性があります。優先順位や役割分担が曖昧な場合、業務の停滞やストレスにつながる恐れがあります。

責任の所在が不明瞭になりやすい

プロジェクトの成果がうまくいかなかった場合、「誰が責任を持つのか」が不明確になることがあります。このため、事前に権限と責任の範囲を明確にしておく必要があります。


マトリックス組織を成功させるための工夫

マトリックス組織をうまく機能させるには、以下のような工夫が効果的です。

  • 上司同士(部門長とプロジェクトリーダー)の連携を強化する
  • 評価制度を整理し、複数の指導者からの評価を統合する仕組みを設ける
  • 社員への明確な業務指示と優先順位の提示を徹底する

こうした取り組みにより、指示の重複や混乱を防ぎ、スムーズな業務遂行が可能になります。


マトリックス組織に向いている企業の特徴

すべての企業にマトリックス型が適しているわけではありません。以下のような企業であれば、高い効果が期待できます。

特徴説明
複数事業や地域を展開している企業部門横断での連携が不可欠であり、柔軟な人材活用が必要な場面が多い
多様な専門職が協働するプロジェクト型組織営業・開発・企画などが連携する必要があり、複数視点からの意思決定が求められる

導入前には、自社の組織文化や事業の特性にマッチしているかを見極めることが重要です。


まとめ

マトリックス組織は、柔軟なリソース配分と部門横断の連携を実現できる先進的な組織形態です。しかし、複数の指示系統を持つがゆえの混乱や責任の曖昧さといったリスクも伴います。導入を検討する際には、明確なルール設計と社内コミュニケーション体制の整備が不可欠です。企業の成長フェーズや戦略に応じて、最適な組織設計を考えていきましょう。