, IPOを目指す経営者に必要なスキルとは?上場ゴールはNG? | ビズスキルDX

IPOを目指す経営者に必要なスキルとは?上場ゴールはNG?

お役立ち情報
監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

詳しく見る

IPOを目指す経営者にとっての「上場」とは?

IPO(Initial Public Offering)、つまり株式公開は、多くの企業にとって成長の大きなステップです。特に、中小企業が新たな市場で競争力をつけるためには重要な選択肢となります。しかし、IPOは単に株式を公開するだけでなく、企業全体の進化を求められるプロセスです。経営者にとって、上場を目指す際に持つべき視点とスキルが求められます。

IPOはゴールではなく新たなスタートです。上場後も継続的な成長と利益を追求する必要があり、「上場ゴール」はNGだということを理解することが非常に重要です。ここでは、IPOを目指す経営者にとって必要なスキルと、注意すべきポイントについて詳しく見ていきましょう。


IPOを目指す経営者に必要な5つのスキルとは?

IPOの成功は、経営者のスキルにかかっている部分が大きいです。具体的にどのようなスキルが求められるのでしょうか。

1. 経営戦略の策定能力
IPOを目指すためには、明確な経営戦略の策定が必須です。上場によって得られる資金をどのように使い、企業をどのように成長させるのか、そのビジョンを策定する能力が求められます。また、この戦略を全社員に共有し、同じ目標に向けて動くことができるようリーダーシップを発揮することも重要です。

2. 財務管理と透明性の確保
上場企業になると、財務状況を公開する必要があります。そのため、経営者は企業の財務状況を正確に把握し、適切に管理するスキルが求められます。財務データの透明性を保つことは、投資家の信頼を得るための重要な要素です。特に、収益の予測、キャッシュフローの管理、コストの最適化について深く理解し、経営判断を下す能力が必要です。

3. コンプライアンスとガバナンスの強化
IPOを実現するためには、企業のガバナンス体制を整え、法令遵守(コンプライアンス)を徹底する必要があります。経営者は、社内規程の整備や監査体制の強化、取締役会の機能向上などを推進するスキルが求められます。特に、企業がどのようにリスクを管理し、透明性を確保しているかは、投資家に対しても重要な評価ポイントです。

4. 人材育成とチーム構築力
IPOには多くの準備と変革が必要です。そのため、経営者はチームをリードし、社員一人ひとりの役割を明確にすることが求められます。各部門が必要なリソースとスキルを持ち、IPOに向けて協力して取り組むことができるよう、人材育成に注力することが重要です。また、上場後の企業運営においても、適切なリーダーシップを発揮し続けることが必要です。

5. 投資家とのコミュニケーション能力
上場を果たす企業は、多くの投資家と関わることになります。投資家に対して企業のビジョンや成長戦略を理解してもらい、信頼を築くためには、高いコミュニケーション能力が求められます。投資家との定期的な対話や説明会の開催、適切な情報開示を行うことで、信頼関係を構築し、企業価値を最大化することが可能になります。


「上場ゴール」はNG!IPO後の成長を見据えた経営とは?

IPOの過程でよく誤解されるのが、上場を「最終目標」と捉えることです。しかし、実際にはIPOは企業にとっての「新たなスタート」です。上場後に企業価値を継続的に向上させることが求められます。それでは、上場後も成長を続けるために、経営者が持つべき視点とは何でしょうか?

1. 継続的なビジョンの提示
上場後も投資家や社員に対して継続的なビジョンを提示し、それを実現するための具体的な計画を示すことが必要です。上場を果たして得た資金をどのように活用して成長するのか、そのロードマップを描くことが重要です。

2. 企業文化の醸成
上場に伴い、組織が大きくなったり、社内の雰囲気が変わったりすることがあります。そのため、企業文化の維持と醸成は、長期的な成長において大切な要素です。特に、新しい社員やステークホルダーが増える中で、創業当時からのミッションやバリューを伝え続け、共通の価値観を形成する努力が求められます。

3. 業績の維持とリスクマネジメント
上場後は、株価を通じて企業の評価が市場に晒されるため、短期的な業績圧力が増加します。経営者は、短期の業績だけにとらわれるのではなく、長期的な成長を見据えた投資を行うバランス感覚が重要です。また、リスクマネジメントを強化し、外部からの変化に柔軟に対応する体制を整備することが必要です。


IPOを成功させるためにやっておくべき準備

IPOを成功させるための準備には、多くのプロセスと時間が必要です。ここでは、特に経営者が注力すべき準備事項をいくつか紹介します。

1. 内部統制と業務プロセスの整備
IPOにおいては、企業の業務プロセスや財務管理の整備が重要です。特に、内部統制を強化し、財務データが正確で信頼できるものとなるようにする必要があります。これは、投資家に対する信頼を築くために不可欠な要素です。

2. ガバナンス体制の構築
上場企業として求められるのは、透明性の高いガバナンス体制です。取締役会や監査役会の役割を明確にし、外部のステークホルダーに対しても適切な経営判断を行っていることを示すことが求められます。これにより、投資家や市場からの信頼を得ることが可能です。

3. 社員の意識改革とリスキリング
IPOに向けては、社員の意識改革も必要です。企業が上場することで求められるルールや規範が増えるため、それに対応するための教育と研修が必要です。また、業務効率の向上や新しいスキルの習得を促進するためのリスキリング(再学習)プログラムを導入することも効果的です。


まとめ

IPOを目指す経営者にとって、単なる上場がゴールではありません。むしろ、その後の成長を見据えたビジョンの設定と継続的なガバナンスの強化が求められます。経営戦略の策定能力、財務管理のスキル、ガバナンス強化、人材育成、そして投資家との円滑なコミュニケーションは、上場後も企業価値を高め続けるために必要なスキルです。

IPOを成功に導くためには、準備段階から上場後の成長戦略までを一貫して考え、上場後も企業としての進化を続けることが大切です。上場はあくまで「スタート地点」であり、そこからの道のりをしっかりと描くことが、経営者としての最も重要な役割といえるでしょう。