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小規模企業共済は解約できる?シミュレーションや受取金額について詳しく解説

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監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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個人事業主や小規模企業の経営者にとって、将来の退職金を準備するために利用される小規模企業共済。しかし、事業方針の変更やライフステージの変化により、解約を検討することもあります。解約時の受取金額は、加入期間や解約理由によって異なり、十分な検討が必要です。本記事では、小規模企業共済の解約手続きや受取金額の計算方法、注意点を詳しく解説します。資金計画の一助となる情報をお届けします。

小規模企業共済は解約できる?

小規模企業共済は、加入者が条件を満たせば解約が可能な制度です。ただし、解約の理由やタイミングによって受取金額が変動し、特に短期解約の場合には掛金総額を下回るケースが多いです。解約を検討する場合は、十分なシミュレーションを行うことが大切です。


解約の種類と特徴

解約には複数の種類があり、理由ごとに受取金額が異なります。以下に主な解約の種類を示します。

解約の種類詳細受取金の特徴
任意解約加入者が自由に解約を申し出る場合短期解約では受取額が掛金総額を下回る可能性が高い。
廃業解約事業を廃業した場合掛金総額に応じた解約手当金が支払われる。
老齢給付金解約満65歳以上での解約長期加入者には掛金総額を上回る金額が支払われることが多い。
死亡解約加入者が死亡した場合、遺族が申請する解約共済金を一括または分割で受け取れる。

解約の手続き方法

解約手続きは以下のステップで進められます。

  1. 必要書類を準備する。解約理由に応じた証明書(廃業届、死亡診断書など)も揃えておきましょう。
  2. 解約申請書を中小企業基盤整備機構へ提出します。郵送または窓口で手続きが可能です。
  3. 提出書類の審査が完了すると、指定の銀行口座に解約手当金が振り込まれます。

審査から振込までには通常2~4週間ほどかかるため、資金が必要なタイミングを考慮して手続きを進めましょう。


解約時の受取金額シミュレーション

解約時に受け取れる金額は、加入期間や掛金総額、解約理由によって異なります。以下に具体的な例を示します。


短期解約の例

任意解約の場合

  • 加入期間: 5年
  • 毎月の掛金: 30,000円
  • 支払掛金総額: 30,000円 × 12か月 × 5年 = 1,800,000円
  • 解約手当金: 掛金総額の約80%(1,440,000円)

短期解約では、掛金総額を大幅に下回る金額しか受け取れないため、慎重な判断が必要です。


長期解約の例

老齢給付金解約の場合

  • 加入期間: 20年
  • 毎月の掛金: 30,000円
  • 支払掛金総額: 30,000円 × 12か月 × 20年 = 7,200,000円
  • 解約手当金: 掛金総額の約110%(7,920,000円)

長期運用を続けることで、受取金額が掛金総額を超えることが期待できます。


受取金額に影響する要因

加入期間

加入期間が長いほど、解約手当金が掛金総額を上回る可能性が高くなります。

解約理由

老齢給付金や廃業解約の場合、解約手当金が増加する傾向があります。一方で、任意解約は受取額が減少するケースが多いです。


解約時の注意点


短期解約のリスク

短期間での解約は、受取金額が掛金総額を大幅に下回るため、大きな損失につながる可能性があります。特に5年未満の解約では、掛金総額の70~80%程度しか受け取れない場合が一般的です。緊急時以外の解約は避けることを推奨します。


税金の影響

解約手当金は、一時所得または退職所得として課税対象となる場合があります。課税額を抑えるためには、事前に税理士に相談することが重要です。特に高額な解約手当金を受け取る場合、納税準備をしっかりと行いましょう。


解約手続きのタイミング

解約手続きには2~4週間ほどかかるため、必要な資金を確保するタイミングを考慮して計画的に進める必要があります。急な出費に備える場合は、他の資金調達方法を検討することも一案です。


解約を検討する際の判断基準

解約が最適な選択肢であるかを判断するためには、以下の基準を考慮してください。

判断基準詳細
資金の必要性緊急の資金需要がある場合でも、貸付制度の利用が可能か検討する。
加入期間の長さ短期解約では損失が大きく、可能であれば継続が望ましい。
税金への影響解約後の課税額をシミュレーションし、納税準備を整える。

まとめ

小規模企業共済は、将来の退職金を計画的に準備するために設計された制度ですが、解約が必要な場合もあります。解約時の受取金額は、加入期間や解約理由によって大きく変動します。特に短期解約では損失が大きく、税金の影響も考慮する必要があります。一方で、長期運用を続ければ、掛金総額を上回る金額を受け取れる可能性もあります。本記事を参考に、解約が本当に必要かどうかを慎重に判断し、最適な選択をしてください。