人材育成の方法として、OJT(On-the-Job Training)に加えて、OFF-JT(Off-the-Job Training)も広く活用されています。特に、特定のスキルや知識を体系的に学ぶ場面では、OFF-JTが効果的です。しかし、「具体的に何が違うのか」「どちらを選べば良いのか」と迷う方も多いでしょう。本記事では、OFF-JTの基本的な意味や特徴、OJTとの違い、さらにそれぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。
OFF-JTとは?
OFF-JTとは、職場を離れて行う研修やトレーニングを指します。社員が日常業務から一時的に離れ、セミナーや研修プログラム、eラーニングなどを通じて、業務に関連するスキルや知識を学ぶ場が提供されます。
OFF-JTの具体例
- 社外セミナーや研修会への参加
- eラーニングやオンライン講座の受講
- 企業内で行う集合研修やグループワーク
OFF-JTの目的
- 業務では得られない専門的な知識の習得
- スキルや知識の体系的な学習
- キャリアアップや役職に応じた能力開発
OJTとの違い
項目 | OFF-JT | OJT |
---|---|---|
実施場所 | 職場外で実施(研修室やオンラインなど) | 職場内で業務を通じて学習 |
学習内容 | 体系的なスキルや知識を学ぶ | 実務に関連した実践的なスキルを習得 |
指導者 | 専門の講師やトレーナーが指導 | 上司や先輩社員が業務を通じて指導 |
主な目的 | 理論的・専門的知識の習得 | 業務遂行に必要なスキルやノウハウの習得 |
学習の進め方 | 事前に決められたプログラムに沿って進める | 実際の業務に即した内容で進行 |
OFF-JTのメリット
1. 体系的な知識の習得
OFF-JTでは、特定のスキルや知識を体系的に学ぶことができます。専門家や講師から直接指導を受けられるため、最新の業界知識やベストプラクティスを学ぶ機会が提供されます。
2. 集中して学習できる環境
職場の雑務や日常業務から離れることで、学習に専念できる環境が整います。これにより、効率的に新しいスキルを習得できます。
3. 自己啓発とモチベーション向上
社員にとっては新たな知識を得る機会であり、自己成長を実感できます。これがモチベーションの向上につながることもあります。
OFF-JTのデメリット
1. 実務への適用に時間がかかる
座学や研修で学んだ内容を、実際の業務に適用するには時間がかかる場合があります。現場での実践が少ないため、即効性が低いこともあります。
2. 費用と時間の負担
OFF-JTは、外部講師の招聘や研修会場の確保などに費用がかかる場合があります。また、業務から離れるため、社員の不在が業務効率に影響する可能性もあります。
3. 学習内容の個人差
同じプログラムでも、参加者の理解度や成果に差が出る場合があります。特に、業務に直結しない内容の場合は、学習意欲にばらつきが生じる可能性があります。
OJTのメリットとデメリット
OJTのメリット
- 実践的なスキル習得
現場での業務を通じて、即戦力となるスキルを身につけることができます。 - 低コストで実施可能
職場内で行うため、特別な費用がかからず効率的です。 - 個別対応が可能
指導者が直接指導するため、個々の能力に応じた学習が行えます。
OJTのデメリット
- 指導者のスキルに依存
指導者の能力や教え方に左右されるため、内容や成果が不安定になる場合があります。 - 長期的視点が不足
日々の業務に追われ、体系的な学習や計画的な成長が難しくなることがあります。 - 業務量の増加
指導者が通常業務と指導を兼任するため、負担が大きくなることがあります。
OFF-JTとOJTを組み合わせた活用方法
効果的な人材育成を実現するためには、OFF-JTとOJTを組み合わせたプログラムが最適です。以下は具体的な活用例です。
例1. 基礎知識はOFF-JTで学ぶ
新人研修で業務に必要な基礎知識をOFF-JTで習得させ、その後OJTで現場に適応するスキルを磨く。
例2. 定期的なOFF-JTでスキルアップ
管理職や中堅社員向けに、定期的な集合研修を実施し、最新の知識やマネジメントスキルを学ぶ。
まとめ
OFF-JTは、体系的な知識の習得や集中して学ぶ環境を提供する点で優れています。一方、OJTは現場での実践的なスキル習得を目的としています。それぞれの特性を理解し、目的や状況に応じて適切に使い分けることで、より効果的な人材育成が可能です。社員の成長を支援し、組織全体のパフォーマンスを向上させるために、OFF-JTとOJTを賢く組み合わせましょう。