1年以内の新卒離職率の現状
全体的な離職率
厚生労働省の調査によれば、令和3年3月に卒業した新規大学卒就職者の3年以内の離職率は34.9%でした。 このうち、1年以内に離職した割合は約10%とされています。
業種別の離職率
業種によって離職率には差があり、特に「宿泊業、飲食サービス業」は高い離職率を示しています。一方で、「電気・ガス・熱供給・水道業」などのインフラ業種は比較的離職率が低い傾向にあります。
新卒社員が1年以内に離職する主な要因
1. 労働条件への不満
労働時間や休日、休暇の条件が期待と異なる場合、離職の要因となります。特に、長時間労働や休暇取得の難しさは大きなストレスとなります。
2. 健康上の問題
過度な業務負荷やストレスにより、肉体的・精神的に健康を損ねるケースが見られます。
3. 賃金への不満
期待していた給与水準と実際の給与が乖離している場合、モチベーションの低下につながります。
4. リアリティ・ショック
入社前の期待と入社後の現実とのギャップにより、失望感を抱くことがあります。
新卒社員の早期離職が企業に与える影響
1. 採用・教育コストの増大
新卒社員の採用や研修には多大なコストがかかります。早期離職が続くと、これらの投資が無駄になる可能性があります。
2. 企業イメージの低下
高い離職率は、求職者や取引先から「働きにくい企業」と見なされるリスクがあります。
3. 人材確保の難航
離職が続くと、既存社員の業務負担が増加し、さらなる離職を招く悪循環に陥る可能性があります。
新卒社員の早期離職を防ぐための対策方法
1. 労働条件の見直し
適切な労働時間や休暇制度を整備し、ワークライフバランスを推進することが重要です。
2. 健康管理の強化
社員の健康をサポートするためのメンタルヘルスケアや健康診断の充実が求められます。
3. 賃金制度の透明化
明確な評価基準と連動した公正な賃金制度を導入することで、社員の納得感を高めることができます。
4. 事前の情報提供
インターンシップや職場見学を通じて、入社前に職場の実態を伝えることで、リアリティ・ショックを防ぐことができます。
まとめ
新卒社員の1年以内の離職は、企業にとって大きな損失となります。労働条件の改善や健康管理の強化、そして入社前の情報提供など、多角的な対策を講じることで、早期離職の防止につなげることが可能です。企業はこれらの取り組みを通じて、社員が長く安心して働ける環境を整備することが求められます。