せっかくもらった内定。それなのに、入社前に突然の「内定取り消し」通知――こんな連絡を受けたら、誰でも動揺します。しかし、企業側の判断で一方的に取り消すことは法的に許されるのでしょうか?本記事では、内定取り消しの法的な位置づけと、取り消しが認められる条件、万が一のときの対応方法について解説します。
内定の法的な意味とは?
内定とは「始期付き・解約権付きの労働契約」
内定とは、正式な労働契約の一種であり、「将来の日付から勤務を開始する」という条件がついた契約です。企業と応募者の間で合意が成立している以上、企業は簡単に内定を取り消すことはできません。
項目 | 内容 |
---|---|
法的性質 | 労働契約(始期付き・解約権付き) |
効力発生日 | 通常は入社日(例:4月1日) |
取り消し条件 | やむを得ない事由(経営破綻、重大な経歴詐称など)が必要 |
解雇に近い扱い | 内定取り消しは「解雇」に相当し、慎重な手続きと合理性が求められる |
内定取り消しが認められるケース
法律的には、企業側が内定を取り消すには「合理的な理由」が必要です。次のようなケースでは取り消しが認められる可能性があります。
ケース | 内容 |
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経歴詐称 | 学歴や職歴、資格などを偽っていた場合 |
犯罪や重大な非行行為 | 内定後に刑事事件を起こした、著しく社会的信用を損なう行為を行った場合 |
健康上の重大な問題 | 就業に支障をきたす重度の病気や障害が発覚した場合(ただし、合理的配慮が必要) |
経営上の非常事態 | リストラや倒産により、採用計画自体が中止になった場合 |
ただし、これらに該当しても、「取り消しに正当性があるかどうか」は個別に判断されます。
不当な内定取り消しと判断されるケース
以下のような理由による内定取り消しは、法律上「不当解雇」とみなされる可能性が高くなります。
理由内容 | 法的評価 |
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成績が悪かった | 内定時点の評価で判断されており、入社までの期間での評価は無効になる可能性がある |
家庭の事情(介護・妊娠など) | 差別的な取り扱いとされるおそれがあり、労働契約法や男女雇用機会均等法に違反する可能性あり |
内定者都合での辞退を誘導した | 企業側の圧力による辞退は実質的な取り消しであり、違法とされるケースがある |
正当な説明なく一方的に通告 | 十分な説明や事前通知なしに取り消すことは、解雇権の濫用として無効となる可能性がある |
内定取り消しされた場合の対応方法
まずは文書での通知と理由の確認
電話や口頭で取り消しを告げられても、必ず書面で通知を求めましょう。理由が不明瞭な場合は、その内容を明確に開示してもらうことが大切です。
労働局・弁護士に相談する
一人で悩まず、地域の労働局や法律相談窓口、労働問題に強い弁護士に相談しましょう。違法な取り消しであれば、法的に争うことも可能です。
行動ステップ | 内容 |
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書面で通知を求める | 通話や口頭ではなく、文書による通知を企業側に要求する |
取り消し理由を確認する | 取り消し理由に合理性があるかを検討し、証拠となるやり取りは保管しておく |
専門機関に相談する | 労働基準監督署、労働局、法テラス、弁護士などへ相談する |
まとめ
内定は「すでに成立した労働契約」であり、企業は一方的に取り消すことはできません。取り消しには正当な理由が必要であり、それがなければ違法行為と判断される可能性があります。突然の連絡に戸惑っても、まずは冷静に状況を整理し、正当な手段で対応することが大切です。自分の権利を守るために、正しい知識と行動を持ちましょう。