退職には「会社都合退職」と「自己都合退職」の2種類があることをご存知ですか?どちらも退職には変わりありませんが、その違いは失業給付の開始時期や受給期間、転職活動への影響に大きく関わります。本記事では、会社都合退職と自己都合退職の違いと、それぞれの特徴や判断基準、失業保険への影響について分かりやすく解説します。
会社都合退職とは?
定義と概要
会社都合退職とは、従業員の意思とは無関係に、企業側の事情で退職を余儀なくされるケースです。リストラや倒産、雇用契約の更新拒否などが主な原因です。
項目 | 内容 |
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判断基準 | 企業側の都合で雇用契約が終了する場合 |
主な理由 | 経営不振による解雇、倒産、配置転換拒否後の退職など |
法的根拠 | 労働契約法第16条(解雇の合理性)、雇用保険法など |
退職届の扱い | 原則として本人からの退職意思ではない(書かされる場合もある) |
自己都合退職とは?
定義と概要
自己都合退職とは、本人の意思により退職することを指します。転職、家庭の事情、健康上の理由など理由はさまざまです。
項目 | 内容 |
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判断基準 | 本人が自発的に退職を申し出た場合 |
主な理由 | キャリアアップ、引っ越し、家庭の事情、体調不良など |
手続きの流れ | 上司への申し出 → 退職届提出 → 承認というプロセスが一般的 |
会社側の影響 | 基本的に企業側の責任を問われない |
両者の違いを比較
比較項目 | 会社都合退職 | 自己都合退職 |
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退職の主体 | 会社(企業都合) | 本人(自己判断) |
失業保険の開始時期 | 原則として7日後に受給開始 | 通常は3か月の給付制限後に受給開始 |
給付日数 | 長めに設定される(年齢や勤続年数に応じて異なる) | 会社都合より短くなることが多い |
転職活動での印象 | やむを得ない理由とされることが多い | 自主退職と見られるため、理由説明が必要なこともある |
書類上の記載 | 離職票に「会社都合」と明記されることが多い | 離職票に「自己都合」と記載される |
会社都合退職になるケース
代表的な具体例
ケース | 解説 |
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リストラ・人員削減 | 業績不振などを理由に企業が一方的に雇用を打ち切るケース |
会社の倒産・事業縮小 | 法人の解散や事業所の閉鎖などに伴い全社員が退職となる場合 |
契約更新の拒否 | 契約社員であっても、更新が当然と見なされる状況での打ち切りは会社都合となる |
パワハラやセクハラなどによる退職 | 職場環境の悪化で本人がやむなく退職するケースでも、会社都合と判断される場合がある |
自己都合退職でも会社都合とみなされる可能性があるケース
状況例 | 解説 |
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退職を強く勧められた場合 | 本人の同意を装った「実質的な解雇」と見なされる可能性がある |
就業条件の大幅変更 | 給与の大幅減額や勤務地変更など、生活に支障が出るような条件変更が行われた場合 |
労働環境に著しい問題がある | 長時間労働や過度なパワハラなど、職場環境が継続不可能と判断されるケース |
そのような場合は、労働局やハローワークに相談することで、会社都合として扱われることがあります。
不当な取り扱いにあったときの対応方法
対応策 | 内容 |
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離職票の確認 | 退職理由の記載が適切か、必ずチェックする |
ハローワークで相談 | 不明点や納得できない点は、窓口で確認・訂正を依頼することが可能 |
証拠の保管 | メールや録音など、退職に至った経緯を証明できる記録を保存しておく |
弁護士や労働組合に相談 | 内容が重大な場合は、専門家への相談で解決策を探る |
まとめ
会社都合退職と自己都合退職では、失業保険の受給条件や転職への影響など、大きな違いがあります。企業の説明だけで判断せず、自分の状況を正しく把握することが大切です。不当な扱いを受けたと感じた場合は、ハローワークや専門機関に相談し、自身の権利を守る行動を取りましょう。