企業の信頼性や業務の正確性を支える「内部統制」。その中でも特に重要な要素が「情報統制」です。情報が正確に伝わり、適切に管理されているかどうかは、経営判断や不正防止に大きく影響します。そして、こうした情報統制を実現・維持するうえで、ITの活用は今や不可欠です。本記事では、情報統制の定義と役割、そして内部統制におけるITの必要性についてわかりやすく解説します。
情報統制とは?
情報の信頼性とアクセスの管理
情報統制とは、企業内の情報が正確かつ安全に伝達・保存され、必要なときに必要な人が適切に利用できるように管理する体制のことを指します。これは、企業活動における「情報の質」を担保する重要な要素です。
項目 | 内容 |
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定義 | 情報の収集、処理、伝達、保存、保護に関するルールや体制の整備 |
目的 | 情報の正確性・完全性・可用性を確保すること |
内部統制との関係 | 情報が正しく統制されていなければ、他の統制(業務・財務など)も機能しない |
情報統制が求められる背景
背景要因 | 説明 |
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情報量の増加 | デジタル化により、企業内外の情報が膨大かつ複雑になっている |
サイバーリスクの増加 | 情報漏洩や不正アクセスのリスクが高まり、管理体制の整備が求められている |
内部不正の防止 | 情報の改ざん・消去・持ち出しなど、不正行為を抑止する仕組みが必要 |
法令対応・監査要件 | 上場企業やIPO準備中企業では、情報管理体制の適正性が審査項目となることもある |
情報統制の主な要素
要素項目 | 内容 |
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アクセス制御 | 特定の情報へアクセスできる権限を職務に応じて制限する |
ログ管理 | いつ・誰が・何を操作したかの履歴を記録し、監視できる状態に保つ |
バックアップ体制 | 情報の消失リスクに備えた定期的な保存と復旧方法の整備 |
セキュリティ対策 | ウイルス・不正侵入・情報漏洩に備えたシステム的・物理的な対策 |
情報の正確性・一貫性 | データの入力ミスや重複、矛盾を防止し、情報の整合性を保つ体制 |
情報統制におけるITの役割
ITなしでは成立しない内部統制の実現
従来は紙媒体や手作業で行っていた情報管理も、今ではITシステムが前提となっています。ERPや会計ソフト、ファイル管理システムなどを活用することで、業務効率の向上だけでなく、情報の精度や安全性も確保できます。
ITの導入効果 | 内容 |
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自動化・効率化 | 情報の集計・伝達・保存の工程が標準化され、業務の属人化を防げる |
正確性の向上 | 二重入力の防止、リアルタイム更新により、常に最新かつ正確な情報が確認できる |
セキュリティ強化 | アクセス制限、監視ログ、暗号化など、ITによる防御手段が充実している |
監査対応の容易化 | 記録がデータとして残るため、内部監査や外部監査への対応がスムーズになる |
情報統制の構築で注意すべきポイント
注意点項目 | 内容 |
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現場との乖離を防ぐ | 管理者目線だけで仕組みを作ると、実際の業務運用に支障が出ることがある |
社員教育の徹底 | システムだけでなく、利用する人の意識・知識が情報統制の成否を左右する |
コストと効果のバランス | 過剰な管理体制は業務負担やコスト増を招くため、適切なレベル設計が重要 |
継続的な見直し | 情報の種類や業務内容の変化に合わせて、定期的に統制内容を更新する必要がある |
まとめ
情報統制は、内部統制を支える土台として、企業経営に欠かせない要素です。正確かつ安全に情報を扱う仕組みが整っていなければ、誤った判断や不正の温床となる恐れがあります。そして、その統制を実現・維持するためには、ITの活用が不可欠です。情報の重要性が高まる現代において、ITを駆使した情報統制体制の整備が、企業の信頼性と持続性を支えるカギとなります。