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テクニカル上場って?内容を詳しく解説

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監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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「テクニカル上場」という言葉を聞いたことがありますか?通常のIPO(新規株式公開)とは異なり、すでに上場している企業が再編や合併、分割などの企業再構築によって新たに上場するケースを指します。一見すると通常の上場と似ていますが、審査や手続きの面で明確な違いがあります。本記事では、テクニカル上場の定義と種類、審査の流れや注意点まで詳しく解説します。

テクニカル上場とは?

定義と背景

テクニカル上場とは、既存の上場企業が企業再編を行った結果、別の会社として新たに上場するケースを指します。形式上は新規上場でも、実質的には既存の企業が形を変えて再上場するものです。

項目内容
定義上場企業の会社分割、持株会社設立、事業譲渡などによる実質的再上場
目的事業再編や持株会社体制への移行、コア事業の独立化など
上場形態新規上場扱いだが、通常のIPOより審査は簡易化される傾向がある
審査機関東京証券取引所(またはその他の証券取引所)による形式的な上場審査

テクニカル上場の主なパターン

パターン名内容
会社分割上場企業が一部事業を分割し、新会社として上場させる
共同株式移転複数の上場企業が持株会社を新設し、その会社が上場する
株式交換・移転による持株会社化親会社を設立し、上場企業を子会社化しながら新たに上場する
吸収合併後の再上場上場企業が他社を吸収し、組織変更を経て新たに上場する

通常のIPOとの違い

比較項目テクニカル上場通常のIPO
上場の背景企業再編・組織変更による新設会社など未上場企業の新規株式公開
審査の厳しさ一定の上場実績があるため比較的緩やかフルスコープでの厳格な審査
上場までの準備期間比較的短期間で実現可能通常2〜3年の準備が必要
投資家からの印象上場企業の流れをくむため信頼性が高いと評価されやすい新規事業の将来性が重視される

テクニカル上場における審査内容と条件

審査項目解説
上場維持基準の充足既存の上場会社と同等の株主数、流通株式比率、財務状況などが求められる
継続開示の体制適時開示、決算発表など、上場後も継続的な情報開示が可能な社内体制が整っていること
ガバナンス・内部統制取締役会の構成や内部統制文書、コンプライアンス体制などが十分であること
事業の独立性新会社が単独で事業を継続できる能力と体制を持っていること

テクニカル上場のメリットとデメリット

項目メリットデメリット
信頼性既存の上場企業の実績を引き継ぐため、投資家からの信頼が得やすい過去のイメージや業績が引き継がれる可能性がある
スピード感通常のIPOに比べて上場準備期間が短く、柔軟な戦略転換が可能再編の複雑さにより、従業員や顧客に混乱が生じるリスクもある
事業の独立性成長事業の切り出しや持株会社設立で、経営の集中と強化が可能子会社上場により、親子間のガバナンスや利益相反が問題視されることがある

テクニカル上場を目指す企業へのアドバイス

ポイント項目内容
上場目的の明確化資金調達なのか、企業価値向上か、再編の戦略目的を明示する必要がある
ステークホルダー対応株主、取引先、社員などへの丁寧な説明と合意形成がスムーズな移行を促す
開示・説明責任の強化上場企業と同様、説明責任が伴うためIR体制やディスクロージャー準備が求められる
主幹事証券との早期連携スケジュールと実務をスムーズに進行するため、証券会社との早期相談がカギとなる

まとめ

テクニカル上場は、企業再編を通じて上場を実現する合理的な手法です。通常のIPOよりもスピーディで、既存の上場実績を活かせるというメリットがありますが、ガバナンスや独立性の確保、説明責任の強化といった点も求められます。上場を経営戦略の一環として捉え、目的を明確にしたうえで適切な準備を進めることが、成功のカギを握ります。