, タイムカードがなくても残業代は請求できる? | ビズスキルDX

タイムカードがなくても残業代は請求できる?

お役立ち情報
監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

詳しく見る

「タイムカードがない職場だったけど、未払いの残業代は請求できるのか?」と悩む方は少なくありません。確かに、タイムカードは残業時間を証明するうえで有効な手段ですが、それが唯一の証拠というわけではありません。実際には、他の記録や証拠を用いて残業代を請求することも可能です。本記事では、タイムカードがない場合の残業代請求の方法や、証拠として認められるもの、注意点について分かりやすく解説します。

タイムカードがなくても請求は可能

証拠があれば労働時間の立証はできる

労働基準法において、未払いの残業代は労働者の正当な権利です。タイムカードがないからといって、その権利が消滅するわけではありません。重要なのは、勤務実態を示す「証拠」を別の形でそろえることです。

項目内容
法的根拠労働基準法第37条により、労働時間に応じた割増賃金支払いは義務
タイムカード以外の証拠労働時間を示す証拠が複数存在すれば、会社側に説明責任を求めることが可能
請求の時効残業代は3年以内のものまで請求できる(2020年4月以降の労働分)

タイムカード以外に有効な証拠の例

証拠の種類内容例
メールやチャットの送信履歴出退勤時間帯のやり取りが記録されていれば、労働時間の参考になる
勤務予定表・日報業務報告の提出時間や実施内容から実働時間を推定できる
パソコンのログログイン・ログアウト時間、システム使用時間が記録されている場合に活用可能
スマートフォンの履歴GPS記録、メッセージアプリの使用履歴なども補助的に使用されることがある
メモや手帳日々の勤務記録を継続して残していた場合、証拠としての価値が認められることがある

証拠を準備する際のポイント

ポイント項目解説
客観的な記録を優先する第三者が見て明らかに「労働していた」と分かる記録が説得力を持つ
継続性のある記録を心がける単発の証拠よりも、一定期間にわたって記録されている情報の方が信頼性が高い
自分宛のメール保存社内メールシステムのログが消える前に、自分のアドレスにも記録を残すと安全
バックアップを取るスマホやPCのデータは念のため複数の場所に保管し、削除や紛失のリスクを防ぐ

会社が証拠を出さない場合の対応

労働時間の把握義務は会社側にある

労働基準法上、会社は労働者の労働時間を適正に管理する義務を負っています。したがって、労働時間に関する記録を提出できない場合、労働者側の主張が優先される可能性があります。

対応方法解説
交渉による請求まずは証拠をもとに、任意での支払い交渉を行う
内容証明での通知書面による請求を正式に行うことで、時効の停止効果や記録としての効力を持たせる
労働基準監督署に相談行政指導を求めることで、会社側に調査や是正の圧力をかけることができる
弁護士に依頼する裁判や訴訟の対応を含めた法的措置が必要な場合は、弁護士のサポートが有効

まとめ

タイムカードがなくても、残業代は請求できます。大切なのは「働いていたこと」を示せる証拠を複数用意し、時効前に適切な手続きを取ることです。会社が労働時間を把握していない、あるいは証拠を出さない場合であっても、労働者の主張が認められるケースもあります。まずは手元にある証拠を見直し、必要に応じて専門家へ相談することで、正当な権利を守りましょう。