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着替えは労働時間に含まれるって本当?判断基準は?

お役立ち情報
監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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着替えが労働時間に含まれるかの判断基準

労働時間とは「指揮命令下にある時間」

労働基準法における「労働時間」とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を指します。この考え方をもとに、着替えが業務の一環とされる場合には、その時間も労働時間に該当します。

判断ポイント解説
指揮命令の有無業務として着替えを命じられている場合、労働時間とみなされる可能性が高い
義務性の程度制服の着用が“必須”である場合、その着替えは業務の一部と判断されやすい
着替え場所の制限「会社指定の更衣室のみで着替えること」とされている場合、時間拘束性が高く労働時間に該当しやすい
実態としての必要性実際の業務遂行にあたり、着替えが不可欠な場合には労働時間と評価される

労働時間に該当するケース・しないケース

ケース労働時間との関係
工場や食品製造など衛生管理が厳しい業務で、作業着への着替えが義務付けられている場合労働時間に該当する可能性が高い
医療現場で、白衣の着用が業務命令とされている場合労働時間とみなされる可能性あり
オフィス勤務で制服はあるが私服通勤可能で、着替えは任意の場合労働時間に含まれないケースが多い
自宅で着替えてから出勤している場合着替え時間は自己都合とされるため、基本的には労働時間に含まれない

着替えを労働時間とみなすための企業対応

対応項目解説
就業規則の明文化制服の着用義務や着替え時間を明記し、労働時間に含める場合はその旨を記載しておく
勤怠管理の工夫着替え前後の打刻や、休憩との切り分けを明確にし、記録として残せる体制を整える
賃金支払いの対応着替え時間を業務とするなら、その分の賃金をしっかりと支払う必要がある
労使間の合意形成トラブル防止のため、着替え時間の取扱いについて事前に労働者との確認・合意を取っておく

着替えと労働時間に関する裁判例・行政見解

判例/事例内容
日本ケミコン事件(東京地裁)工場作業員の制服への着替えと手洗い時間を労働時間と認定
厚生労働省のガイドライン指揮命令下の時間は労働時間とされ、着替えが業務に不可欠な場合は該当と明記されている
企業側が労働時間と認めなかったケース従業員が訴訟を起こし、着替えの義務性と就業実態により労働時間とされた事例もある

まとめ

着替えが労働時間に該当するかどうかは、「業務としての義務性があるか」「企業側の指揮命令下か」が重要な判断基準になります。単なる“準備”と見なすのではなく、業務と一体化しているかを明確に捉えることがトラブル回避のカギです。企業は就業規則の整備や勤怠管理の明確化を、労働者は自分の勤務実態の確認を通じて、適正な労務管理と安心できる働き方を実現していきましょう。