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副業禁止は就業規則で定めることはできる?トラブルの対処方法も解説

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監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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「副業は自由なはずでは?」「会社が禁止してもいいの?」——働き方の多様化が進むなかで、副業に関するトラブルも増加傾向にあります。実際、企業の立場から見れば、本業への支障や情報漏洩などを懸念して副業を制限したいケースもあるでしょう。一方で、労働者の自由な働き方を守る視点も欠かせません。本記事では、副業禁止を就業規則に定めることの可否や法的な扱い、想定されるトラブルへの対処方法についてわかりやすく解説します。

副業の基本的な法的考え方

憲法・民法上の「職業選択の自由」

日本国憲法では「職業選択の自由」が保障されており、副業そのものを一律に禁止することはできません。しかし、企業は労務提供義務や業務専念義務を根拠に、一定の制限をかけることは可能とされています。

法的視点解説
憲法第22条職業選択の自由が基本的人権として保障されている
労働契約法第3条使用者と労働者は信義誠実の原則に基づいて労働契約を履行すべきとされている
判例・実務対応本業に悪影響を及ぼす副業であれば、会社が制限をかけても合理性があるとされるケースが多い

副業禁止を就業規則で定めることは可能か?

条件付きで「制限」は可能、ただし一律禁止はリスクも

副業そのものを無条件で禁止する就業規則は、合理性を欠けば無効とされる可能性があります。一方で、業務への支障や企業の利益を守る目的で、一定の制限を設けることは認められています。

規定の有効性解説
一律禁止は難しい職業選択の自由の侵害として無効になるおそれがある
条件付き禁止は可能「会社の許可が必要」「競業禁止」「就業時間外のみ可」などの制限は認められる場合がある
明文化が必要就業規則で明確に副業の扱いを定めておくことで、後々のトラブルを防止できる

副業を禁止・制限する際のポイント

ポイント項目解説
就業規則の整備「副業禁止」「副業は届出制」など、ルールを明確に記載し、社員への周知も徹底する
制限理由の合理性確保業務専念義務、競業避止義務、労働時間管理の観点から明確な根拠を示す必要がある
労働時間の管理労基法上、複数の雇用先での労働時間も合算して管理義務がある点に注意が必要
健康管理の配慮過重労働による健康障害や労災のリスクを見越して、事前に労働時間や内容を把握することが重要

副業に関するトラブル事例と対応方法

トラブル内容解説
無許可で副業をしていた規定に基づき、懲戒処分の対象となる可能性がある。ただし処分には「相当性」が求められる
競業にあたる副業をしていた同業他社での副業や情報漏洩リスクがある業務に従事した場合、契約違反として対応できる
勤務中に副業を行っていた労務提供義務違反として、厳重注意や減給処分が妥当とされることがある
労働時間の過少申告過重労働による健康被害が出た場合、企業も安全配慮義務違反を問われる可能性がある

副業との向き合い方:企業としての対応姿勢

対応方針解説
ルール整備の徹底就業規則とガイドラインの両面から、副業に関するルールを明文化・周知する
許可制・届出制の導入管理可能な範囲で副業を把握し、業務影響や競業行為を回避するための制度設計を行う
柔軟な許容の姿勢成長意欲やスキル向上を尊重しつつ、会社と本人の双方にメリットがある副業を積極的に認める
リスク対策の構築健康管理、情報漏洩防止、労働時間超過などのリスクに備えたチェック体制を整備する

まとめ

副業は、社員にとっても企業にとっても新たな可能性を広げる働き方の一つです。しかし、企業側は「無条件の禁止」は難しい一方で、「制限付きの管理」は可能です。就業規則を整備し、合理的な制限のもとでルールを運用することで、トラブルを未然に防ぎ、社員の多様な働き方と企業の利益を両立させる道が開かれます。時代に合った対応を進めるためにも、まずは制度と運用の見直しから始めてみましょう。