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シングルレートって何?レンジレートとの違いは何?

お役立ち情報
監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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企業の人事制度において、給与や評価の設計に深く関わるのが「シングルレート」と「レンジレート」という概念です。どちらも職務や等級に応じて賃金を決める仕組みですが、適用の考え方や運用方法には明確な違いがあります。本記事では、シングルレートとレンジレートの違いをわかりやすく解説し、それぞれのメリット・デメリット、導入時のポイントについて紹介します。

シングルレートとは?

基本の定義

シングルレートとは、職務や等級ごとに定められた「固定の給与額」が設定されており、同じ等級の従業員であれば誰でも同じ賃金が支給される制度です。

項目内容
賃金の特徴固定額(単一水準)
評価との関係賃金に影響しない(別途評価制度あり)
適用例公務員、外資系企業、明確な職務体系を持つ企業など

職務に対する対価が明確で、賃金の透明性・公平性が高いのが特徴です。


レンジレートとは?

基本の定義

レンジレートは、ある等級や職務グレードに対して、上限・下限が決められた「賃金の幅」を設け、その中で給与を調整する仕組みです。個人の評価や経験に応じて、同じ等級でも賃金に差がつくのが特徴です。

項目内容
賃金の特徴上限・下限の幅あり(レンジ型)
評価との関係評価や年功により昇給幅が変動
適用例多くの日本企業、年功賃金との併用型制度など

シングルレートとレンジレートの違い

比較項目シングルレートレンジレート
賃金の形式固定額上下限ありの変動型
個人差同一等級で差がない評価・年数により差が出る
管理のしやすさ明確で簡易柔軟だが運用が複雑
公平性高い(職務対価に準拠)評価に基づき個人差に対応
モチベーションへの影響成果に反映されにくい評価と連動しやすく動機づけになる場合も

シングルレートのメリット・デメリット

項目内容
メリット公平性が高く、説明がしやすい/職務評価との連動が明確
デメリット成果や経験を賃金に反映しにくい/画一的な評価になりがち

特にグローバル企業では、職務ごとの市場価値を重視する風土とマッチしやすい制度です。


レンジレートのメリット・デメリット

項目内容
メリット個人の成長や成果に応じて賃金調整が可能/柔軟な報酬運用ができる
デメリット評価の公平性を保つには制度設計・運用が複雑/賃金格差への不満が出やすい

個人差を反映しやすい一方で、評価制度の整備が不十分だと不公平感を生みやすくなります。


導入時のポイント

ポイントシングルレート導入時レンジレート導入時
評価制度の整備比較的簡易で済む客観性と納得感のある評価が不可欠
社員の理解賃金の仕組みを明確に伝える評価と報酬の関係性を丁寧に説明する必要がある
組織文化との整合性役割明確型の組織と相性が良い成果主義や多様な働き方に対応しやすい

制度そのものよりも、組織の価値観や経営方針との整合性を重視することが重要です。


まとめ

シングルレートとレンジレートは、それぞれ異なる考え方に基づく賃金制度です。シングルレートは職務重視、レンジレートは個人の成果や経験に着目した柔軟な仕組みです。企業の方針や組織風土、人材戦略に応じて適切な制度を選び、社員が納得しやすい形での導入・運用が求められます。