離職率は企業の安定性や職場環境を測るうえで重要な指標です。しかし一口に「離職率」といっても、業種や職種によって大きな差があります。本記事では、離職率の基本的な考え方とともに、最新の平均離職率、そして業種別の傾向について詳しく解説します。
離職率とは?基本の定義を理解しよう
離職率の定義
離職率とは、一定期間内に退職した従業員の割合を示す指標で、以下の式で算出されます。
離職率(%)=(離職者数 ÷ 平均在籍者数)× 100
離職率を把握することで、企業の定着率や職場の魅力度、採用後のミスマッチ状況などが明らかになります。
項目 | 内容 |
---|---|
対象期間 | 多くは1年間 |
指標の目的 | 組織の安定性、職場環境の健全性を確認するため |
注意点 | 短期離職や新卒・中途の区別をする必要がある場合もある |
離職率の全国平均と傾向
厚生労働省の調査によると、最新の全産業平均離職率は約15%前後となっています。ただし、雇用形態や企業規模、新卒か中途かによっても大きく異なります。
離職状況 | 割合(目安) |
---|---|
全体平均 | 約15% |
新卒社員(3年以内) | 約30〜40%(特に中小企業で高い) |
中小企業 | 20%以上の離職率となる傾向あり |
大企業 | 10%未満〜15%程度の範囲が多い |
このように、同じ離職でも条件によって見方は大きく変わります。
業種別に見る離職率の傾向
離職率は業種によって顕著に差があります。以下は主な業種ごとの目安です。
業種分類 | 離職率(おおよその平均) | 傾向・特徴 |
---|---|---|
宿泊・飲食サービス業 | 約30%以上 | 労働時間の長さ、人手不足、賃金水準の低さが背景 |
医療・福祉 | 約15〜20% | 介護職の離職率が特に高い、職場環境の影響が大きい |
建設業 | 約10〜15% | 技術職は定着率が高い傾向も、現場要因で変動する |
製造業 | 約10%前後 | 比較的安定している業種 |
情報通信業 | 約8〜12% | 働き方の多様化やリモート化により改善傾向 |
教育・学習支援業 | 約15〜20% | 教員不足や職務負担増により高めの離職率 |
金融・保険業 | 約8〜10% | 安定性が高く、離職率は比較的低め |
業種によっては、業界特有の働き方や雇用制度、職場環境が大きな影響を与えていることがわかります。
離職率の高い業種で見られる課題
離職率が高い業種では、以下のような共通課題が見受けられます。
・過重労働やシフト制による負担
・給与や待遇に対する不満
・職場内の人間関係や評価制度の不透明さ
・教育制度やキャリアパスの不足
こうした課題に対して改善策を講じることが、企業の定着率向上につながります。
離職率を下げるための取り組みとは?
企業が離職率を改善するために行うべき対策には、次のようなものがあります。
1. 働きやすい職場環境づくり
・柔軟な勤務体系(リモート勤務・フレックスタイムなど)の導入
・残業時間の削減と休暇取得の推進
2. 人材育成とキャリア支援
・定期的な面談とフィードバック
・スキルアップのための研修制度の整備
3. 公正な評価制度の確立
・目標管理や成果主義の明確化
・昇給・昇格基準の透明性を確保
対策項目 | 内容 |
---|---|
働き方改革 | 柔軟な働き方、長時間労働の是正 |
教育制度の充実 | キャリア形成を支援し、モチベーション維持に寄与 |
評価制度の見直し | 公平な処遇で不満を減らし、長期雇用を促進 |
まとめ
離職率は企業の健全性を測る重要な指標であり、業種によって大きな差が存在します。特に高離職率の業界では、待遇や働き方、キャリア支援の見直しが求められています。離職率の動向を正しく把握し、自社に合った対策を講じることで、人材の定着と成長を実現することができるでしょう。