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個人事業主とマイクロ法人の両立とは?節税やリスク分散のメリットと注意点を解説

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監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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個人事業として活動しながら、マイクロ法人を設立して両立させるという働き方が注目を集めています。節税や社会保険の最適化、リスク分散などが目的とされる一方で、運営には一定の手間とリスクも伴います。本記事では、個人事業主とマイクロ法人を両立する際のメリット・デメリットを詳しく解説します。

個人事業主とマイクロ法人の両立とは?

それぞれの定義と特徴

個人事業主とは、法人化せずに個人名義で事業を行う形態で、開業届を提出するだけで始められる手軽さが魅力です。一方、マイクロ法人とは、代表者1人で構成された非常に小規模な法人のことを指し、法人格を持ちつつ最小限の運営体制で活動します。

この2つを両立させるとは、同一人物が個人事業と法人の代表を兼ね、用途や収益源に応じて両者を使い分けながら事業を展開することを意味します。

なぜ両立するのか?

多くの場合、以下のような目的で両立が検討されます。

  • 節税対策
  • 社会保険料の最適化
  • 事業ごとのリスク分離
  • 法人の信用力活用
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両立の主なメリット

節税効果の最大化

個人事業では所得が高くなるほど累進課税が適用され、最大で45%の所得税が課せられます。一方、法人の税率は原則として15~23.2%であるため、収益の一部を法人に分散させることで、所得税負担を軽減できます。

たとえば、法人から役員報酬を支給し、給与所得控除を活用すれば、税額を調整しやすくなります。

社会保険料のコントロール

法人代表になることで、健康保険と厚生年金に加入することになります。個人事業主の国民健康保険・国民年金に比べ、法人の社会保険料は高くなる一方で、将来的な年金額や保障内容が充実します。

また、法人の役員報酬を低めに設定すれば、保険料を抑えることも可能です。

事業ごとのリスク分離が可能

個人事業で万が一債務超過やトラブルが起きた場合、個人財産が直接的に影響を受ける可能性があります。一方で、法人であれば損害が法人に限定され、個人資産への波及を防ぐことができます。これは信用リスクの分散として大きな利点です。

法人の信用力を活かせる

取引先や金融機関に対する印象においては、法人格がある方が有利に働くことが多いです。融資申請や新規契約、BtoB取引の際に、法人での実績があると交渉がスムーズに進むケースもあります。

項目個人事業主マイクロ法人
税率最大45%約15~23.2%
開業・維持コスト低い登記・税務申告が必要
社会保険国民健康保険・国民年金健康保険・厚生年金
信用力個人名義による信用法人格による信用力がある
リスクの範囲個人財産まで責任を負う可能性あり法人に限定される(有限責任)

両立のデメリット・注意点

事務作業が煩雑になる

個人事業と法人を並行して運営するには、それぞれに対して帳簿管理・確定申告・会計処理が必要になります。特に法人では決算報告や法人税の申告が義務付けられており、税理士のサポートが必要となるケースが多くなります。

設立や維持に費用がかかる

法人設立には、登録免許税や定款認証費用など初期費用が発生します。また、法人運営には税理士費用、社会保険料の負担、決算時の報酬など、個人事業と比べてコストが高くなる傾向があります。

節税効果には限界がある

法人化すれば必ず節税になるとは限りません。役員報酬や利益の取り扱い方を誤ると、法人税と所得税の「二重課税」となり、かえって負担が増すこともあります。常に税制改正にも注意が必要です。

デメリット・注意点詳細内容
手間の増加書類管理・会計・申告が2倍になる
ランニングコストがかかる法人維持の固定費(税理士・登記・保険料等)が発生
税務戦略に専門性が求められる節税どころか損になるリスクも

両立運用に向いている人の特徴

  • 複数の事業を同時に展開している人
  • 所得が高く、税負担の最適化を図りたい人
  • 法人の信用を活かしてビジネスを広げたい人
  • 将来的な事業承継や相続を視野に入れている人
  • 会計や経営管理に抵抗がなく、専門家と連携できる人

両立に向けたステップと実務のポイント

1. 用途・収益源を明確に分ける

両立運用では「個人事業で何をするか」「法人で何を扱うか」を明確に分けることが重要です。たとえば、受託業務は法人、個人スキル提供は個人など、収益構造を分離して管理します。

2. 口座・経費・帳簿を分けて管理する

法人と個人の会計を混同してしまうと、税務上のトラブルに発展しかねません。銀行口座、クレジットカード、帳簿も完全に分けて管理し、根拠のある経費処理を行いましょう。

3. 顧問税理士を活用する

税務・会計の専門知識が求められる両立運用では、税理士との連携が不可欠です。適切な節税スキームの提案や、二重課税を避けるための処理など、専門的なサポートを受けることで、運用の安定性が高まります。

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まとめ

個人事業主とマイクロ法人の両立は、税負担の最適化やリスク管理、信用力の向上といった面で多くのメリットがあります。ただし、実務やコストの面では負担も増えるため、目的を明確にし、正しい運用と管理を徹底することが重要です。

節税だけでなく、将来の事業戦略を見据えた柔軟な選択肢として、個人と法人の両立は一つの有力な経営手段となるでしょう。専門家の助言を得ながら、自身の状況に最適なバランスを見つけてください。