自社株や未上場株の譲渡を検討している場合、「税金はどうなるのか?」という疑問は避けて通れません。譲渡先が家族や取引先であっても、税務上のルールに基づく対応が必要です。この記事では、株式譲渡に関わる税金の種類や計算方法、注意すべきポイントについてわかりやすく解説します。
株式譲渡とは?どのような取引が対象になるのか
株式譲渡とは、株式を保有している人が他人へ売却または譲り渡すことを指します。対象となる株式には、上場株・未上場株の両方が含まれ、譲渡方法や譲渡価格によって税金の取り扱いが異なります。
項目 | 内容 |
---|---|
上場株式の譲渡 | 証券会社を通じて売却されることが多く、譲渡益に対して課税される |
未上場株式の譲渡 | 親族や関係者間での取引が多く、価格設定が重要となる |
売却と贈与の違い | 無償または著しく安価で譲渡した場合は「贈与」とみなされることもある |
譲渡先 | 親族、役員、第三者、法人などさまざまな相手が対象となる |
適正価格や契約内容に注意しなければ、思わぬ課税リスクが発生するため注意が必要です。
株式譲渡でかかる主な税金とは?課税対象を理解しよう
株式の譲渡により得られる利益には、原則として**譲渡所得税(キャピタルゲイン課税)**が課されます。以下に、譲渡時にかかる主な税金を整理します。
税金の種類 | 内容 |
---|---|
譲渡所得税 | 株式の売却益に対して課税される。上場株・未上場株問わず発生 |
所得税 | 譲渡所得の一部として総合課税または分離課税の対象となる |
住民税 | 所得税と連動して、譲渡所得に対して課税される |
贈与税 | 無償・不当廉価での譲渡と判断された場合に課される可能性がある |
譲渡益が発生した場合は、基本的に税務申告が必要となり、忘れると延滞税や加算税の対象になることもあります。
上場株と未上場株で異なる税制とは?違いを把握して対策しよう
上場株と未上場株では、課税の方法や税率、評価方法が大きく異なります。
区分 | 上場株式 | 未上場株式 |
---|---|---|
課税方式 | 分離課税(確定申告不要なケースも多い) | 原則として総合課税(確定申告が必要) |
税率(所得税+住民税) | 約20.315% | 総合課税のため、税率は所得に応じて変動 |
評価方法 | 市場価格に基づく | 類似業種比準方式または純資産価額方式で算出 |
手続き | 証券会社経由で自動的に処理されることが多い | 税理士のサポートが必要な場合が多い |
未上場株式の譲渡には専門的な知識が求められるため、事前に税理士等へ相談することが推奨されます。
親族間での株式譲渡に注意!贈与税リスクとは?
株式を親族へ譲渡する場合、「譲渡」と「贈与」の線引きが特に重要です。
時価よりも明らかに低い価格で譲渡した場合、実質的には贈与とみなされ、贈与税が課されるケースがあります。
判定基準 | 内容 |
---|---|
時価と譲渡価格の差 | 価格が著しく低いと、差額が贈与と判断される |
契約書の有無 | 書面での契約がなければ、贈与として判断されるリスクが高まる |
譲渡理由の明確化 | 事業承継や退職のためなど、合理的な理由を明記しておくと安全 |
贈与税の基礎控除 | 年間110万円を超える贈与があると申告義務が発生 |
親族間の取引では、「相場より安く譲ってもいい」という感覚がトラブルの元となるため注意しましょう。
株式譲渡での節税対策とは?事前準備が成否を分ける
株式譲渡で発生する税負担を抑えるには、事前の節税対策と計画が鍵となります。
節税方法 | 解説 |
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譲渡時期の調整 | 他の所得と合算される場合、収入が少ない年に譲渡することで税率を下げられる |
家族への分散譲渡 | 複数年に分けて贈与することで、贈与税の基礎控除を活用できる |
評価額の見直し | 未上場株は評価方法次第で価格が変動するため、適正評価が節税につながる |
専門家の活用 | 税理士や公認会計士による事前チェックで、税務リスクを最小限に抑える |
個人での対応には限界があるため、専門家と連携しながら進めるのが賢明です。
まとめ
株式譲渡にはさまざまな税金が関わり、特に未上場株や親族間取引では注意点が多く存在します。
譲渡所得税、住民税、贈与税などの税制を正しく理解し、手続きや評価方法を適切に行うことが重要です。
トラブルや課税リスクを避けるためにも、事前の準備と専門家の支援を受けながら、安全な譲渡を実現しましょう。