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簿外資産って何?定義からメリット・注意点までわかりやすく解説

お役立ち情報
監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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「簿外資産」という言葉を耳にしても、その意味を正確に理解している方は少ないかもしれません。企業の資産には帳簿に載っていないものもあり、それが経営や税務に与える影響は無視できません。本記事では、簿外資産の定義や種類、活用のメリットと注意点について詳しく解説します。正しい理解をもとに、リスク回避と有効活用につなげましょう。

簿外資産とは?その基本的な意味と定義

簿外資産とは、会社の貸借対照表(バランスシート)などの財務諸表に記載されていない資産のことを指します。会計帳簿に記録されていない、つまり「表には出てこない資産」でありながら、実際には企業が所有していたり、活用できる経済的価値を持つものです。

項目内容
簿外資産の定義財務諸表に記載されていない資産
記帳されない理由会計基準に基づき資産計上の条件を満たさないため
法的所有権多くの場合、企業にあり
表示される帳簿表示されない(帳外に存在)

企業の会計処理においては、一定の条件を満たさない限り資産計上できないルールがあるため、現実には存在していても帳簿に記載されない資産が発生します。


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簿外資産の主な種類とは?

簿外資産にはさまざまな種類があり、企業の活動内容や業種によっても内容が異なります。

資産の種類内容
使用中の備品類すでに減価償却が終わっていても、実際には使用され続けている設備など
低価格の資産少額で費用処理されたが、長期的に利用されている物品
過去の寄贈品・受贈物寄付や贈与で得た物品などで、取得原価が不明確なため記録されていない
無形資産ブランド、ノウハウ、社内システム、顧客ネットワークなど

これらは貸借対照表上に明示されないため、企業価値の判断を誤る原因にもなりえます。


簿外資産のメリットとは?

簿外資産は帳簿に載らないため、一見すると問題のように思えますが、実際にはいくつかのメリットもあります。

メリット項目内容
税務上の節税効果固定資産として計上されていないため、固定資産税が発生しない場合がある
会計上のシンプル化少額資産を都度計上しないことで帳簿管理が効率化される
減価償却不要償却済みまたは計上外の資産は償却管理が不要
事業継続に貢献表に出ない資産であっても、実務では活用されており収益に貢献している

とくに中小企業にとっては、柔軟な資産管理とコスト削減の観点からメリットと捉えられるケースもあります。


簿外資産の注意点とリスク

一方で、簿外資産の存在は透明性の低下や監査リスクの要因にもなり得ます。以下のような注意点があります。

注意点項目内容
財務諸表との乖離実態と会計情報が一致しないため、正確な企業価値が見えにくくなる
監査や税務調査のリスク隠れ資産と誤解され、税務上の指摘や修正申告を求められる可能性がある
売却時のトラブル売却や事業譲渡の際に、帳簿外の資産評価が難しくなる
経営判断の誤り経営者自身が全資産の把握ができておらず、意思決定を誤るリスクがある

特に第三者と関わる場面(銀行融資、投資、M&Aなど)では、簿外資産の扱いに注意が必要です。


簿外資産を正しく管理するためのポイント

簿外資産は、適切に管理し活用することで企業価値の維持・向上に役立ちます。以下の点を意識することが重要です。

管理ポイント内容
資産の棚卸し実際に使用している物品や設備をリスト化し、現状把握を行う
内部資料の整備資産の入手経緯、使用状況、耐用年数などを文書で記録・管理
管理会計での反映会計帳簿に記載しないものの、社内の管理資料には反映させる
定期的な見直し毎年の決算時などに使用資産の現状確認を行う

簿外であっても「実物」がある以上、管理と監視の目を緩めることはリスクにつながります。


簿外資産と税務調査の関係

簿外資産は税務署から見ても「潜在的な課税対象」として注目されやすい存在です。調査の際、帳簿にない資産が発見されると、以下のような対応が必要になることがあります。

発見された場合の対応解説
修正申告の指示資産が収益獲得と関係していた場合、経費処理の修正が求められる
減価償却の見直し本来償却すべき資産が未計上だった場合、過去にさかのぼって調整される
税務加算税の可能性隠蔽と判断された場合には重加算税の対象になる可能性がある

経営者としては「知らなかった」では済まされないため、日頃からの意識が不可欠です。


簿外資産の活用例と実務的な対応

中小企業や個人事業主において、簿外資産を意識的に活用する場面も存在します。

活用シーン内容
固定資産台帳に記載帳簿外でも社内管理台帳に登録し、資産管理の一部とする
経費削減に貢献既存設備を有効活用し、新規購入を控えることでコストダウン
企業価値説明時に加味M&Aや融資時に、帳簿には載っていない資産価値を補足説明する

資産計上していないからといって「価値がない」と見なされるわけではありません。むしろ、使われ続けている時点で「有用な資産」として評価されることもあります。


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まとめ

簿外資産とは、財務諸表には表示されていないものの、実際には企業が所有または活用している資産を指します。帳簿に記載されていないことで、税務や会計の面で注意が必要ですが、うまく管理・活用することで企業経営に貢献することも可能です。

重要なのは、簿外資産の存在を把握し、透明性を確保しつつ適切な形で管理していくこと。資産の「見える化」と「意識化」が、健全な経営の基盤となります。