, デジタル給与払いって?制度の概要とメリット・デメリットを解説 | シェアマインド経営サークル

デジタル給与払いって?制度の概要とメリット・デメリットを解説

お役立ち情報
監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

詳しく見る

近年、キャッシュレス化が進む中で注目されているのが「デジタル給与払い」です。銀行口座を介さずに、スマートフォンアプリなどのデジタルマネーで給与を受け取れる新しい仕組みとして、2023年から本格的な運用が可能となりました。導入を検討する企業も増える一方で、法的な仕組みや安全性に不安を感じる声もあります。本記事では、デジタル給与払いの制度概要、導入のメリット・デメリット、活用時の注意点をわかりやすく解説します。

デジタル給与払いとは?制度の基本を理解する

デジタル給与払いとは、企業が従業員の給与を銀行口座ではなく、「資金移動業者」の提供するスマホアプリや電子マネー口座に直接送金することを指します。

この制度は、2023年4月に労働基準法施行規則が改正され、一定の要件を満たす資金移動業者に限り、厚生労働省の許可を得て実施が可能になりました。これにより、銀行を介さない給与支払いが現実的な選択肢となったのです。


経営管理・組織運営のプロフェッショナル監修

●数々の会社経営から
多角的視点での企業支援!
●申請から導入まで
一気通貫で徹底サポート!
●問い合わせ・相談から申請まで
完全無料!

ピッタリな補助金・助成金が見つかる!

なぜデジタル給与払いが注目されているのか?

背景には、スマホ決済の普及、キャッシュレス化の加速、銀行口座を持たない層の存在、給与支払いの利便性向上などがあります。

特に外国人労働者やアルバイト層においては、「銀行口座を持っていない」「手続きが煩雑」という課題があり、デジタル給与払いはこうした現場のニーズに応える手段として注目されています。


デジタル給与払いのメリットとは?

企業・従業員の双方にとって、以下のようなメリットがあります。

企業側のメリット

  • 給与振込のコスト削減
     銀行振込に比べて、送金手数料が低く抑えられるケースがある。
  • 外国人や短期就労者への対応
     口座開設の手間がなく、雇用開始後すぐに給与支払いが可能。
  • 福利厚生の差別化
     多様な支払い方法を用意することで、従業員満足度の向上につながる。

従業員側のメリット

  • 即時で給与を受け取れる
     銀行営業日を待たずに、24時間365日での受取が可能。
  • スマホで完結する利便性
     給与受取から買い物・送金までをアプリ内で一元化できる。
  • 口座不要でスムーズに利用可能
     銀行口座を持っていない場合でも問題なく給与を受け取れる。

とくに即時性や利便性の高さは、若年層やフリーターなどに大きな魅力となります。


デジタル給与払いのデメリットと注意点

一方で、制度の仕組みや運用面で注意すべき点も存在します。

セキュリティ面の懸念

資金移動業者が破綻した場合の保証や、サイバー攻撃による個人情報の流出など、銀行よりもリスクが高いと感じる利用者も少なくありません。

利用用途の制限

受け取った給与はアプリ内で使用できるものの、現金化に手数料がかかる場合や、使用可能な店舗・サービスが限られていることがあります。

一定の法的制約

制度の導入には、以下のような条件が課されています。

  • 従業員本人の同意が必要(強制不可)
  • 一部は銀行口座に支払うことも選択肢として提示しなければならない
  • 資金移動業者は厚労省の許可を得ている必要がある

法的条件を満たさない場合、労働基準法違反となる可能性もあるため、企業は慎重な運用が求められます。


実際に導入するには?企業側の準備と流れ

デジタル給与払いを導入するには、以下のような準備が必要です。

  1. 資金移動業者の選定
     厚生労働省の認可を受けた業者と契約する必要があります。
  2. 社内制度・規程の整備
     就業規則への明記、労使協定の締結など法的整備が求められます。
  3. 従業員への説明と同意取得
     利用可能な選択肢やリスクについて十分に説明し、本人の意思で選んでもらう必要があります。
  4. 送金システムとの連携
     給与支払いシステムとのデータ連携・セキュリティ設定も必須です。
  5. トライアル導入の実施
     一部社員でテスト運用し、トラブルがないかを確認してから全社展開する流れが一般的です。

今後の普及と展望

デジタル給与払いは、現時点では「新しい選択肢」としての立ち位置ですが、今後は以下のような流れが期待されます。

  • キャッシュレス決済との連携による利便性向上
  • 外国人労働者・副業人材・アルバイト層など多様な人材への対応力強化
  • 銀行口座を持たない層(アンバンクト)への包括的支援
  • 福利厚生の一環としての導入拡大

ただし、普及には「セキュリティの担保」「制度への理解促進」「法制度のさらなる整備」が不可欠です。企業にとっても、制度の本質を理解し、リスクを抑えながら柔軟に対応する姿勢が求められます。


経営管理・組織運営のプロフェッショナル監修

●数々の会社経営から
多角的視点での企業支援!
●申請から導入まで
一気通貫で徹底サポート!
●問い合わせ・相談から申請まで
完全無料!

ピッタリな補助金・助成金が見つかる!

まとめ

デジタル給与払いは、給与受取の新たな選択肢として、今後のスタンダードになり得る可能性を秘めた制度です。即時性や利便性、柔軟性といった点では大きなメリットがある一方で、制度への理解や適切な運用体制が不可欠です。

企業としては、法的条件を満たしたうえで、従業員にとって本当に使いやすい形で導入することが重要です。従業員のライフスタイルに合わせた支払い方法を整備することで、満足度や定着率の向上にもつながります。

デジタル化と多様化が進む時代に対応するためにも、まずは制度の正確な理解から始めましょう。