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共同経営者は注意が必要?創業者株主間契約書を作成するべき理由とは?

お役立ち情報
監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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共同で事業を始める際は、お互いの信頼関係に頼ってスタートするケースが多いものです。しかし、その信頼が後にトラブルに発展することも少なくありません。そこで必要になるのが「創業者株主間契約書」です。本記事では、なぜ共同経営者同士でこの契約書を結ぶべきなのか、その必要性と内容をわかりやすく解説します。

共同経営のリスクとは何か

信頼だけでは不十分な理由

共同経営は、志を同じくするパートナーとの事業立ち上げであり、非常に心強いものです。しかし、会社が成長すればするほど、金銭的・経営的な利害が複雑に絡むようになり、創業当初の信頼関係だけでは解決できない場面が増えてきます。

特に以下のようなリスクは、想定しておかなければ後々大きな問題に発展します。

主なリスク内容
経営方針の対立将来の方向性について意見が割れる
片方の離脱や解任一方が退任・病気・死亡・不正をした際の処理が不明確
株式の第三者への譲渡株式が他人の手に渡り、経営権を失う可能性がある
利益配分や報酬の不公平感経営貢献と報酬が釣り合わず不満が生まれる

このようなリスクを事前に整理し、予防する手段が「創業者株主間契約書」です。


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創業者株主間契約書とは何か

契約書の目的

創業者株主間契約書は、複数の株主が共同で会社を設立する際に、株主同士の役割、株式の取扱い、報酬、競業禁止などのルールを文書化した契約です。

これは、会社法上必須の書類ではありませんが、株主間でのトラブルを未然に防ぎ、透明性のある経営を維持するためには極めて有効です。

契約書に盛り込むべき主な項目内容の例
株式譲渡制限株主の承諾がなければ第三者に株を売れない
経営への関与範囲各経営者がどの領域を担当するかを明記
報酬や配当のルール業績に応じた報酬や分配ルールを事前に設定
競業禁止条項経営陣が同業他社を立ち上げない、関与しないと定める
退任・死亡・不正時の対応株式の買い戻しや除名のルールを具体的に記載

これらの内容を合意し書面にすることで、経営陣同士の誤解や不満を回避しやすくなります。


契約書がない場合に起きうるトラブル

起業初期は見過ごしがちな落とし穴

創業間もない時期は「仲間との信頼関係で十分」と感じるかもしれません。しかし、以下のような事例は現実に数多く存在します。

事例発生したトラブル内容
経営者が無断で退任株式の売却や後任の引継ぎが不明瞭となり経営混乱が発生
経営貢献に格差が出た貢献度の低いパートナーが報酬や株式を過剰に得ている状況に不満
株主が第三者に株式を譲渡全く関係のない第三者が株主として経営に関与してしまった
競合ビジネスを立ち上げた元共同経営者が同業他社を起業し、顧客・社員を奪ってしまった

このような事態は、契約書がなければ防ぎようがなく、最悪の場合、会社が存続不能に陥ることもあります。


創業者株主間契約書があることで得られるメリット

事業の安定と信頼構築につながる

契約書があることで、事前に「想定外」を潰し、事後の混乱を回避できます。また、第三者からの投資や支援を受ける際にも、株主間で合意された契約があることは高く評価されます。

メリット説明
経営の安定性が向上する決められたルールに従うことで紛争が起きにくくなる
投資家からの信頼が得られる株主間の関係が明文化されていることがプラスに働く
経営者同士の関係が明確になる役割と報酬が合意され、精神的なストレスが軽減される
会社の将来像が共有できる意思決定のルールが明確になり、方向性のブレが抑えられる

契約は「信頼していない証拠」ではなく、「信頼を長期的に守るための証明書」です。


契約書を作成するタイミングと進め方

起業前に作るのがベスト

創業者株主間契約書は、法人設立前か、遅くとも設立直後に作成するのが望ましいです。会社が成長するにつれて利害関係が複雑になるため、早い段階での明文化がカギになります。

作成のステップは以下のとおりです。

  1. 共同経営者全員で初期合意事項を話し合う
  2. 想定されるリスクやシナリオを洗い出す
  3. 重要項目(株式譲渡制限、退任時の処理など)を整理
  4. 弁護士に依頼して契約書をドラフト作成
  5. 全員が合意・署名し、保管する

契約内容は事業の成長に応じて見直しを行い、定期的に更新することも有効です。


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まとめ

共同経営において最も避けたいのは、想定外のトラブルによって事業が崩壊してしまうことです。創業者株主間契約書は、そのようなリスクを未然に防ぐための最強のツールといえます。

信頼関係に甘えるのではなく、信頼を守るために契約を交わす。これこそが、長期的なビジネス成功のために最も合理的で賢明な選択です。