会社設立時に避けて通れない「定款認証」。特に株式会社を設立する際には、定款認証の手続きをきちんと理解しておくことが重要です。本記事では、定款認証の意味や流れ、かかる費用について分かりやすく解説します。
定款認証とは何か
会社設立に必要な法的手続きの一つ
定款認証とは、株式会社を設立する際に作成する「定款(会社のルール)」を公証人役場で正式に認証してもらう手続きのことを指します。これは会社法により義務付けられており、認証を受けた定款は法的効力を持つ正式な文書として扱われます。
定款は、会社の基本的な運営方針や構造を定める極めて重要な書類であり、内容は以下のような項目を含みます。
- 商号(会社名)
- 事業目的
- 本店所在地
- 設立に関する事項(資本金・発起人など)
- 機関設計(取締役、監査役の有無など)
合同会社ではこの認証は不要ですが、株式会社では必須のステップです。
定款認証の必要性とその理由
なぜ定款を公証人に認証してもらうのか
定款認証が義務化されているのは、会社の設立が社会的に信頼される制度であることを担保するためです。公証人という第三者が関与することで、設立時の不正や瑕疵を防止し、会社設立後のトラブルを未然に防ぐ役割も担っています。
また、定款に違法・無効な内容が含まれていないかを確認することで、設立後の安全性を高める目的もあります。これは出資者や取引先にとっての「信頼性の証」となり、会社の信用構築にも寄与します。
定款認証の手続きの流れとは
事前準備から公証人役場での認証までの流れを確認
定款認証の手続きは、次のようなステップで進められます。
- 定款の作成
発起人が会社のルールとなる定款を作成します。 - 電子定款への対応(または紙定款)
電子定款の場合はPDF形式で作成し、電子署名を付与。紙定款の場合は印紙代がかかります。 - 公証人役場への事前連絡・予約
提出先の公証人役場に連絡し、必要書類を確認のうえ予約を取ります。 - 必要書類の提出
作成した定款とともに、発起人の印鑑証明書、本人確認書類、印鑑などを提出します。 - 認証手続き
公証人が内容を確認し、問題なければ定款を認証。認証済み定款が交付されます。
以下に、手続きの流れを簡潔にまとめた表を示します。
手続き段階 | 内容 |
---|---|
ステップ1 | 定款の作成 |
ステップ2 | 電子署名または紙で準備 |
ステップ3 | 公証人役場へ連絡・予約 |
ステップ4 | 必要書類の提出 |
ステップ5 | 定款の認証と受け取り |
電子定款を選べば、印紙税4万円が不要になるため、費用面で有利です。
定款認証にかかる費用について
費用の内訳を正しく理解しておこう
定款認証には次のような費用がかかります。
- 定款認証手数料:5万円(全国共通)
- 謄本交付料:約2000円(ページ数により変動)
- 印紙代:4万円(紙定款のみ必要)
電子定款を利用することで、印紙代の4万円を節約することが可能です。電子定款の作成には専用ソフトや代理サービスを使う方法もあります。自分で準備できない場合は、司法書士や行政書士に依頼することも検討しましょう。
定款認証をスムーズに進めるためのポイント
事前準備と専門家の活用がカギになる
定款認証をスムーズに進めるためには、以下のようなポイントに留意することが大切です。
- 内容の整合性を確保
定款の文面に矛盾がないように注意し、誤字脱字や不備がないかチェックしましょう。 - 必要書類を事前に揃える
印鑑証明書や身分証など、忘れがちな書類も含めて事前確認をしておくと安心です。 - 専門家への依頼も選択肢に
不安がある場合や時間がない場合は、専門家に代行を依頼するとスムーズです。
こうした対策を講じることで、書類の不備による手戻りや手続きの遅れを防ぐことができます。
まとめ
定款認証は、株式会社設立に欠かせない法的手続きであり、公証人による確認を経て初めて有効な定款となります。手続きには費用や時間がかかりますが、電子定款を利用することでコストを抑えることも可能です。
会社設立を成功させるためには、この定款認証のステップを正確に理解し、スムーズに進めることが重要です。事前準備をしっかり行い、必要に応じて専門家の力を借りることで、安心して法人設立を進めましょう。