オフィス運営で見落とされがちなのが空調コスト。建物全体の電気代に対して、空調が占める割合は高く、場合によっては“オフィス代の5割”近くに達することもあります。このコスト負担を抑えながら、快適な職場環境を得るにはどのようなオフィスを選ぶべきでしょうか。本稿では、空調コストの実態、オフィス選びで注目すべき要素、そして導入・運用時の注意点を整理してご紹介します。
空調コストはどれくらいか?オフィス代に占める割合
オフィスビルの電気代における空調設備の割合は、建物の規模や運用方法によって異なります。概ね 20〜50%程度 を空調費用が占めるケースが多く、夏や冬の極端な気温時にはさらに割合が高まることが報告されています。企業が空調運用を見直すことで、電力消費の削減につながる可能性が高いわけです。
空調費用削減に取り組める要因は複数あり、例えば空調設備の制御方式やフィルター清掃、稼働時間調整などが効果的だとされています。
オフィス選びで重視すべきポイント:空調と建物仕様
空調方式・制御方式の確認
オフィスビルでは「セントラル空調(集中管理型)」と「個別空調(部屋別制御型)」など方式が異なります。セントラル方式は一括制御で効率化しやすい反面、部屋単位での温度調節が難しいこともあります。個別方式は自由度が高いものの稼働コストが上がる可能性があります。
建物仕様・断熱性・窓・外気導入方式
外壁・窓ガラスの断熱仕様、窓の位置・日射調整、外気導入方式(換気方式)などは、室内温度や冷暖房負荷に直接影響します。これらの仕様が適切なら、空調負荷を抑えて快適性を保ちやすくなります。
見落とされがちな要素も含めた整理(表形式)
要素 | 効果・重要性 |
---|---|
空調方式・制御方式 | 稼働効率・温度ムラの程度に大きく関わる |
建物断熱性・窓仕様 | 外気影響を受けにくくなるため負荷軽減が可能 |
オフィス選び・運用時の注意点と対策
- 稼働時間と運用スケジュール調整
空調の稼働時間を見直し、出社前や退社後の空調運用を抑えるようスケジュールを設定する。 - 定期保守・フィルター清掃
フィルターの詰まりや機器劣化は空調効率を落とす原因となるため、定期的な清掃・点検が重要。 - ゾーニングと温度制御の設定
部門やエリア単位で温度制御を分ける「ゾーニング」を導入し、不要な冷暖房稼働を抑える。 - 空調運転モード・設定温度の最適化
無理のない設定温度(冷房時は高め、暖房時は低め)を採るなどして、コスト負荷と快適性のバランスをとる。
まとめ
オフィスにかかる固定費の中で、空調が占める割合は決して軽くありません。運用次第では “オフィス代の5割” に近づくこともあり得ます。そのため、オフィスを選ぶ際には空調方式・制御方式、建物仕様(断熱性・窓仕様など)、空調運用スケジュールの柔軟性を重視すべきです。また、定期的な保守・清掃、ゾーニング・運転モード設定など運用側の工夫次第で空調コストの最適化が可能です。オフィス選びでは、快適性とコスト効率のバランスを見据えた判断が求められます。