個人事業を始めるとき、開業届(正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」)を提出することは多くの場合推奨されます。しかし、「提出期限っていつまで?」、「もし忘れていたらどうすればいい?」という疑問を持つ人も少なくありません。本記事では、開業届の提出期限と、提出を忘れてしまったときの対応策をやさしく解説します。
開業届の提出期限とは?
まずは法律上定められた提出期限を押さえましょう。
開業届は、 事業を開始した日から1か月以内 に税務署へ提出する必要があります。提出期限が土・日・祝日と重なる場合は、翌営業日が期限とされます。
開業前に提出することはできず、たとえ収入がまだ発生していない段階でも、事業開始の事実があるなら提出できます。
提出を忘れた場合の影響とリスク
開業届を出さなかったこと自体には、即座の罰則はありません。ただし、事業運営や税務手続き上、いくつかのデメリットが発生する可能性があります。
主なデメリット・リスク
- 青色申告制度の適用を受けられない
- 屋号名義の銀行口座が作れない場合がある
- 創業融資や助成金・補助金など制度を活用できないことがある
- 税務署から提出を促される可能性がある
これらの不利益を回避するためには、早めの対応が求められます。
出し忘れたときの具体的な対処法
提出が遅れてしまった場合でも、以下のような手順で対応していくことが一般的です。
- できるだけ早く開業届を作成し、税務署に提出する
- 確定申告で白色申告を選択する(青色申告はその年は適用できない可能性が高い)
- 将来に備えて青色申告承認申請書を次年度以降に提出する
提出が遅れていても、正しい開業日を記載すれば受理されるケースが多いです。ただし、遡って青色申告控除などの特典を受けることはできない場合があります。
年数経過別の注意点
提出を忘れてから経過した年数によっては、さらに注意が必要です。
経過年数 | 注意点 |
---|---|
1年以内 | 比較的対処が容易。開業届提出して来年度に青色申告を目指せる |
3年~5年 | 白色申告期間が長くなると、青色申告での赤字繰越などの制度が使えない可能性が出る |
5年を超える | 税務調査の時効(おおむね5年)に絡むリスクがあるため、記録や帳簿を整えておく必要あり |
特に売上や経費に不備がある場合、過去分の申告や修正申告が必要になるケースがあります。
まとめ
開業届の提出期限は、事業開始から1か月以内です。提出を遅れても罰則は原則ありませんが、青色申告の適用や制度利用、信用面などで不利益が生じる可能性があります。もし出し忘れていたことに気づいたら、できるだけ早く開業届を提出し、確定申告で白色を選びながら、将来的に青色申告を目指す対応が現実的です。複雑なケースや不安がある場合は、税理士等専門家に相談するのが安全です。