, 雇用契約と労働契約の違いは?原則とポイントについて解説 | シェアマインド経営サークル

雇用契約と労働契約の違いは?原則とポイントについて解説

お役立ち情報
監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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ビジネスの現場で「雇用契約」と「労働契約」という言葉を目にすることがありますが、実際にその違いを正しく理解している方は少ないかもしれません。どちらも働くことに関わる契約ではありますが、法律上は明確に定義と目的が異なります。本記事では、両者の違いや共通点、契約書作成時の注意点までを詳しく解説し、実務で必要な理解を深めていただけるよう整理しました。

雇用契約と労働契約の基本的な違い

法律上の位置づけと定義の違い

雇用契約と労働契約は、いずれも労働者が働き、使用者が報酬を支払う契約ですが、それぞれ異なる法律で定義されています。

契約の種類定義されている法律内容の特徴
雇用契約民法第623条民間の一般契約のひとつで、広義の労働提供契約
労働契約労働契約法第6条労働基準法と連動し、労働者保護のための規定が明確

民法に基づく雇用契約は非常に広い概念で、労働契約はその中でも労働者保護を目的に整備された「特別な契約形式」とされています。つまり、雇用契約の中に労働契約が含まれる関係です。


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労働契約が重視される理由

労働者保護と法的拘束力

労働契約は、労働基準法や労働契約法などの労働関係法令に基づき、労働者の権利を強く保護しています。これにより、以下のような要素が法的に保障されます。

  • 労働時間の上限
  • 最低賃金の保証
  • 解雇の制限と正当な理由の必要性
  • 有給休暇の取得権
  • 安全衛生環境の確保

一方、民法上の雇用契約にはこのような詳細な労働条件の取り決めはなく、労働契約のほうが労働者に有利な保護が与えられる構造となっています。


契約書作成時に押さえるべきポイント

雇用契約書と労働条件通知書の違い

実務では、「雇用契約書」「労働契約書」「労働条件通知書」といった文書が使われますが、それぞれの役割や法的義務には違いがあります。

書類名法的義務内容例
労働条件通知書義務賃金、労働時間、休日、有期契約の有無など
雇用契約書任意労働条件通知に加え、細かな就業規則の同意など

労働条件通知書は労働基準法第15条により必ず発行が必要です。一方、雇用契約書は任意ですが、労働者と会社間のトラブル防止のためにも、書面化することが推奨されています。


雇用契約が使われるその他の場面

労働契約ではない雇用契約の事例

実は「雇用契約」と呼ばれるものの中には、労働契約ではないものもあります。以下のようなケースです。

  • 親族間での労務提供(法律上の労働者とみなされない)
  • ボランティア活動(報酬がないため契約不成立)
  • 個人事業主への業務委託(雇用契約でなく、請負契約または委任契約)

このように、報酬や指揮命令関係の有無によって、契約形態は大きく異なります。業務実態に応じた適切な契約書の選択が重要です。


雇用契約・労働契約に共通する注意点

誤解を防ぐための実務上のポイント

以下は、雇用契約と労働契約のいずれにも共通する重要な留意点です。

  • 労働時間や業務内容は、具体的かつ明確に記載する
  • 就業規則や就業場所の変更条件も明文化する
  • 契約期間の有無、有期なら更新基準を記載する
  • 試用期間中の労働条件も別途明示する

こうした記載が曖昧だと、後々のトラブルの原因になります。契約書は単なる書類ではなく、「証拠」として機能する文書であることを認識しておく必要があります。


契約形態を正しく理解することの重要性

雇う側・雇われる側、双方のリスク回避のために

契約内容を理解していないまま締結した結果、以下のような問題が発生することがあります。

  • 労働条件の食い違いによる紛争
  • 一方的な契約解除による損害
  • 社会保険加入の誤認識による未納トラブル

これらを防ぐには、契約書の内容をしっかり読み込むとともに、必要であれば労働基準監督署や専門家に相談することも視野に入れるべきです。


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まとめ

雇用契約と労働契約は似て非なるものであり、特に実務においてはその区別が重要になります。雇用契約は民法に基づく広義の契約であり、労働契約は労働者保護を重視した特別な契約形式です。

契約書の内容を十分に理解し、労働条件の明確化や適切な書類管理を徹底することで、トラブルを未然に防ぐことができます。契約形態に対する正しい知識は、企業にも労働者にも必要不可欠なビジネスリテラシーと言えるでしょう。