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農業の事業承継って?進め方について解説

お役立ち情報
監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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農業に従事する方々の高齢化が進むなか、後継者不足や経営の空白期間を防ぐため「農業の事業承継」は大きな課題です。本記事では、農業の事業承継の基本から進め方、注意点までを詳しく解説。実際に承継を進めるうえで押さえておくべきポイントを明確にし、未来の農業経営を支えるための指針を提供します。

農業の事業承継とは何か

農業における事業承継の定義と重要性

農業の事業承継とは、家族経営の農家や法人が、次世代に農業経営を引き継ぐことを意味します。単なる土地や機材の引き継ぎではなく、技術、経営ノウハウ、人脈といった無形資産も含まれます。

日本では農業従事者の高齢化が進み、65歳以上が約7割を占めています。このような背景から、早期に事業承継の準備を始めることは、農地の有効活用、雇用の維持、地域農業の継続に直結します。


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農業の事業承継が必要とされる背景

高齢化・担い手不足・農業構造の変化

日本の農業が直面する最大の課題は「後継者不足」です。とくに家族経営が中心の小規模農家では、次世代への引き継ぎがスムーズに進まないことが多く、結果として離農や耕作放棄地の増加につながります。

一方で、法人化を進める農業者も増えています。こうした法人経営においても、経営陣の高齢化が進めば、円滑な世代交代が求められます。

現状の課題内容
高齢化農業従事者の7割以上が65歳以上
担い手不足若年層の農業参入が進まない
耕作放棄地継承されずに放置される土地の増加
経営空白準備不足による突発的な引退に対応できない

農業の事業承継の主な種類

家族承継・親族外承継・第三者承継

農業の事業承継には主に次の3つの形があります。

  • 家族内承継:子や親族に引き継ぐ方法。最も一般的。
  • 親族外承継:従業員や親しい関係者に承継。
  • 第三者承継:農業参入を希望する外部人材へ引き継ぐ。

これらの承継方法を選択する際は、「経営意欲の有無」「地域との関係」「資金の確保状況」などを総合的に考慮する必要があります。


農業の事業承継を進めるステップ

計画的な準備が成功のカギ

農業の事業承継をスムーズに進めるには、以下の手順が重要です。

  1. 現状の整理:資産、負債、経営状況、経営ビジョンの棚卸し
  2. 後継者の選定:家族、従業員、外部人材などから候補を検討
  3. 承継計画の策定:いつ、何を、どのように引き継ぐのかを明文化
  4. 資産・債務の整理:農地、設備、ローンなどを明確に
  5. 関係者への共有:家族、従業員、取引先と情報共有
  6. 実行とサポート:引き継ぎ実施と必要に応じて専門家の支援を受ける

後継者育成のポイント

技術・経営ノウハウの継承と信頼構築

農業の技術は机上の知識では習得が難しく、実地での経験が不可欠です。後継者が幼少期から農作業に携わっている場合と、成人してから農業を始めた場合では、習得スピードに差が出ます。

後継者育成の際には以下のような取り組みが求められます。

  • 技術指導は日常業務を通じて
  • 経営判断に参加させる
  • 地域の関係者との関係構築を支援
  • 研修制度や農業大学校の活用

農業の事業承継でよくあるトラブルと対策

感情の対立・相続問題・地域との摩擦

事業承継には感情面の問題も絡みやすく、以下のようなトラブルが発生しがちです。

  • 長男以外の兄弟姉妹との不平等感
  • 財産分割におけるもめごと
  • 地域コミュニティとの軋轢
  • 経営方針の違いによる親子の対立

こうした問題への対応としては、「早期の対話」「法的な契約」「第三者(専門家)の介入」が有効です。


事業承継に活用できる支援制度

国や自治体の補助金・税制優遇策

農業の事業承継には大きな費用がかかる場合もあります。そのため、国や自治体では多くの支援制度を用意しています。

支援内容概要
経営継承・発展支援事業事業計画策定と継承にかかる費用の補助
認定農業者制度各種税制優遇や融資制度の対象となる
農業次世代人材投資資金後継者育成に必要な生活費等を補助
地域農業支援各自治体での独自支援制度

活用するためには、事前の申請や条件の確認が必要です。地元の農業協同組合や市町村の相談窓口に問い合わせると良いでしょう。


農業法人における事業承継の進め方

ガバナンスと引き継ぎ体制の整備が要

個人経営とは異なり、農業法人では役員会や株主総会の決議が必要になることが多く、承継には計画的な制度設計が求められます。

法人における承継の注意点は以下の通りです。

  • 役員構成の見直し
  • 株式の承継と分配
  • 経営理念の継承
  • 就業規則や雇用契約の再整理

農業の未来を支える事業承継の意義

地域社会と農業の持続可能性のために

農業の事業承継は、単なる個人間の引き継ぎにとどまらず、地域農業全体の存続に大きく関わる問題です。

承継がうまくいけば、以下のような効果が期待できます。

  • 地域農業の継続と発展
  • 若年層の就農促進
  • 耕作放棄地の減少
  • 地元経済の活性化

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まとめ

農業の事業承継は、時間をかけて計画的に進めることが最も重要です。技術や土地、設備以上に「人と想い」をどう次世代につなぐかが成功のカギになります。早めの準備と、家族・地域・専門家との連携を大切にし、未来の農業を共に築いていきましょう。