事業を営む上で、資金調達は避けて通れない課題です。特に創業間もない企業や中小・小規模事業者にとっては、銀行からの通常融資ではハードルが高いこともあります。そんなときに活用できるのが「制度融資」です。公的な仕組みを活用して資金を調達するこの方法の仕組み、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。
制度融資とは何か
地方自治体・金融機関・信用保証協会が連携して支援する融資制度
制度融資とは、地方自治体、金融機関、信用保証協会という三つの機関が連携して実施する、主に中小企業や創業事業者向けの資金調達制度です。地方自治体が制度を設計・運営し、金融機関が融資実行を担い、信用保証協会が保証を付与することで、通常の銀行融資では受けにくい条件でも融資を受けやすくしている点が特徴です。
この仕組みの中では、自治体が利子補給や保証料の補助を行っている場合もあり、事業者にとって有利な条件で資金を確保できることが多くあります。
制度融資がもたらすメリット
資金調達がよりスムーズになりやすい理由
制度融資には、次のようなメリットがあります。
・低金利で借り入れができるケースがある(自治体支援による利子補給など)
・実績が少ない創業期や担保が乏しい中小事業者でも利用しやすい
・返済期間が比較的長めに設定されており、毎月の返済負担を抑えやすい
さらに、制度融資を選ぶ際には以下の点があげられます。
・自治体があっせんを行うことで、金融機関の審査において信用力が補強される
・支援制度との併用が可能な場合もあり、事業計画に合わせた資金調達戦略が立てやすい
制度融資を活用する際の注意点・デメリット
手続き・実行までの時間や制約事項に注意
一方で、制度融資には事前に理解しておくべきデメリットもあります。
・申請から融資実行までの期間がやや長く、急な資金需要には対応しづらい場合がある
・地方自治体や金融機関、信用保証協会の三者を経由するため、手続きや準備書類が複雑になりやすい
・対象者・対象用途・金利優遇などが自治体ごとに異なるため、自社がどの融資制度の対象となるかを事前によく確認する必要がある
制度融資の利用状況や特徴を整理した比較表
項目 | 特徴 | 活用時のポイント |
---|---|---|
金利・返済条件 | 自治体の支援により低金利・長期返済の設定あり | 利子補給や保証料補助の有無を確認すること |
審査・利用対象 | 創業前・創業後間もない事業者や小規模事業者も対象となる場合が多い | 対象者・用途を自治体の制度要件と照らして確認 |
手続き・実行スピード | 手続きが多く、実行まで数か月かかることも | 遅れが生じても資金繰りに影響が出ない計画を立てる |
リスク・制限 | 融資が確実ではなく、保証協会の保証審査も必要 | 返済計画や用途の明確化、事業計画の策定が重要 |
まとめ
制度融資は、中小企業や創業期の事業者にとって大きな味方となる資金調達手段です。低金利・長期返済・利用しやすさというメリットを活かしながらも、申請から実行までの時間や制度要件の多さというデメリットを理解しておくことが重要です。
自社の事業計画や資金ニーズ、返済能力を冷静に見極めたうえで、制度融資が最適な選択肢かどうかを判断しましょう。必要であれば、制度融資と他の融資手段との比較や併用についても検討されることをおすすめします。