事業の資金繰りに悩んでいるとき、金融機関から受けた融資の「返済条件」を見直したいと考えることがあるでしょう。そんなときに検討されるのが「融資の条件変更」、いわゆるリスケジュールです。本記事では、条件変更の概要と、審査時に重視されるポイントを中心に解説します。資金繰りの改善を目指す経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
融資の条件変更とは?
支払い負担を軽減するための選択肢
融資の条件変更とは、既存の融資契約における返済スケジュールを金融機関と協議の上、見直すことを指します。資金繰りが厳しくなった際に、元金返済の猶予(据え置き)や、毎月の返済額の減額などを依頼することで、一時的な負担を軽減するのが目的です。
たとえば、新型感染症や経済環境の悪化など、外的要因で収益が落ち込んだ場合などに活用されることが多く、経営の立て直しを図るための有効な手段です。
主な条件変更の種類
実際に多い変更例
融資の条件変更といっても、その内容にはさまざまなパターンがあります。以下に代表的な例を表で紹介します。
条件変更の種類 | 内容 |
---|---|
元金の据え置き | 一定期間、利息のみを支払い、元金返済を先送りする |
返済期間の延長 | 毎月の返済額を抑えるために、全体の返済期間を長くする |
返済方法の変更 | 一括返済から分割返済への変更、返済回数の見直しなど |
このような対応により、資金の流出を抑え、再建のための時間を確保することができます。
条件変更のメリットと注意点
一時的な安心と信用維持の両立
条件変更の最大のメリットは、資金繰りの余裕を確保できる点です。元金返済が一時的に免除されることで、事業資金や従業員の給与など、必要な支出に資金を回しやすくなります。
しかし注意点もあります。条件変更を行うということは、金融機関側にとって「返済が困難な状況にある」というシグナルでもあるため、新規融資の審査や取引条件に影響する場合があります。
条件変更を申し込む前に必要な準備
誠意と根拠のある資料が不可欠
条件変更の申し出を行う際には、事前の準備が非常に重要です。具体的には、以下のような準備が求められます。
- 収支の現状を示す試算表・決算書
- 今後の収支予測と資金繰り計画
- 条件変更後の返済可能性を示す根拠
- なぜ変更が必要になったかの説明
金融機関としても、「この企業に将来性がある」と判断できなければ、条件変更には応じにくいため、単なるお願いではなく「計画に基づいた要請」であることが求められます。
審査のポイントとは?
金融機関が見るのは数字だけではない
条件変更の審査では、企業の経営状況や資金繰りだけでなく、「経営者の姿勢」も評価の対象になります。以下のようなポイントが重視されます。
- 現在の収益力と支出バランス
- 経営改善の具体的な取り組み
- 返済計画の現実性と根拠
- 経営者の説明力・責任感・誠実さ
金融機関は、「返済可能性」だけでなく、「信頼できる相手かどうか」も総合的に判断しています。
どんな企業が対象になるか?
中小企業や個人事業主にも門戸は開かれている
条件変更は、資金繰りに課題を感じている中小企業、個人事業主など幅広い層が対象です。特に以下のようなケースでは、柔軟な対応が期待できます。
- 短期的に売上が減少したが、再建の見込みがある
- 一時的な資金ショートを回避したい
- 新規事業に投資しており、返済バランスが崩れている
こうした状況下であれば、条件変更によって再起のチャンスを得られる可能性があります。
まとめ
融資の条件変更(リスケジュール)は、経営にとって避けるべきものではなく、「立て直しのチャンス」として活用できる手段です。ただし、金融機関との信頼関係が何よりも重要であり、曖昧な申請や根拠のない説明では通用しません。
しっかりと現状を把握し、今後の計画を整理したうえで、真摯に申し出ることが成功のカギとなります。状況が悪化する前に、早めに行動することが最も重要です。