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ERPが抱えるセキュリティリスクって?対策の方法は?

お役立ち情報
監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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企業の中核業務を一括管理できるERPは、業務効率化やデータの一元管理というメリットが大きい一方で、セキュリティ対策を怠ると思わぬ情報漏洩やシステム停止など重大なリスクにつながります。本記事では、ERPが抱えやすい代表的なセキュリティリスクと、それに対して企業として取るべき有効な対策をわかりやすく整理して解説します。

なぜERPはセキュリティリスクが高いのか

ERPは、会計・人事・在庫管理・顧客情報など、企業のあらゆる重要データを一括で管理する基幹システムです。そのため、以下のような特徴が、逆にリスクを高める要因となります。

  • すべての重要情報が“ひとつのシステム/データベース”に集中するため、侵入された場合の影響が甚大。
  • 多くの人が利用するため、操作権限の管理が複雑になりやすく、不正アクセスや内部不正につながる可能性がある。
  • インターネット接続や外部システムとの連携の拡大により、サイバー攻撃やマルウェア感染の入口が増える傾向にある。

このような“集中管理”ゆえの利便性と、“一点集中”の脆弱性という両面を持つのが、ERPの大きなハードルとなっています。


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ERPで起こりやすいセキュリティリスク

ERP導入企業が注意すべき、代表的なリスクを整理しました。

リスク名称内容
サイバー攻撃/マルウェア感染外部からの不正アクセス、ランサムウェアによるデータ暗号化や情報盗難。ERP上の機密情報が狙われやすい
不正アクセス・内部不正正当なアクセス権を持つユーザーによる権限の悪用、退職者アカウントの放置など
脆弱性未対応(オンプレミスERPの場合)セキュリティパッチやアップデートを怠ることで、既知の脆弱性を放置してしまう
情報漏洩・データ流出財務データ・顧客情報・人事情報など機密データが流出し、信用失墜や損害につながる

なぜこれらのリスクが深刻か

ERPが抱えるリスクは、ただのシステムトラブルではなく、企業の経営そのものに直結するものが多く含まれます。たとえば、マルウェアによるデータ暗号化で復旧不能となれば、受注から生産、出荷、会計処理まで業務が全面停止する可能性があります。また、機密情報の漏洩は対外的な信用を失い、訴訟・賠償、顧客離れにつながりかねません。

さらに、内部不正やアクセス権限の管理ミスは、外部への流出だけでなく、社内での不適切な情報操作や悪用といった、見えにくいリスクも孕んでいます。

つまり、ERPのセキュリティ対策は「情報を守るため」だけでなく、「事業継続」「信用維持」「法令遵守」の観点からも不可欠なのです。


ERPのセキュリティ対策:基本的な防御策

以下は、ERPを安全に運用するための基本かつ重要な対策です。

アクセス制御と認証強化

  • ユーザーごとに最小権限のアクセス設定を徹底し、不要な権限を付与しない。
  • 退職者や部署異動者のアカウントは速やかに削除・無効化する。
  • 多要素認証(MFA)を導入し、不正ログインのリスクを抑える。

これにより、内部不正やなりすましによる攻撃のリスクを大幅に減らせます。

データ暗号化と通信の安全性確保

  • ERPデータベースに保存される顧客情報や財務データなどを暗号化(静的データ暗号化)。
  • 通信経路(社内ネットワーク・インターネット経由を含む)を暗号化。
  • 定期バックアップの実施と、バックアップデータの安全管理。

暗号化によって、たとえ侵入された場合でも情報内容が読み取られにくくなります。また、バックアップがあれば復旧が容易です。


さらに効果的な対策と運用のポイント

ERPの安全運用には、技術的対策に加えて「運用体制」「組織的な仕組み」も重要です。

  • 定期的なセキュリティ教育や社内ポリシーの策定。従業員の意識を高め、人的なミスを防止。
  • OS やミドルウェア、ERPアプリケーションのパッチ管理、更新の徹底。脆弱性を放置しない。
  • 定期的な脆弱性診断、セキュリティ監査の実施。自社だけでは見落としがちなリスクを洗い出す。
  • クラウド型ERP(SaaS型)への移行検討。専門ベンダーによるセキュリティ対策と最新状態の維持を活用。

これらを組み合わせた多層防御と、継続的な見直しによって、ERPの安全性は格段に高まります。


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まとめ

ERPは企業のあらゆる重要データをまとめる強力なツールである反面、その構造ゆえのセキュリティリスクも抱えています。サイバー攻撃や内部不正、脆弱性放置、情報漏洩──どれも企業の信用・事業継続を脅かす深刻な危険です。

しかし、適切なアクセス管理、データ暗号化、認証の強化、運用体制の整備などを着実に実施すれば、多くのリスクは抑えられます。特に、セキュリティ対策を技術だけでなく組織の文化や仕組みとして定着させることが、ERPを安全に活用する鍵となるでしょう。

デジタル化が進む今、自社のERPセキュリティを改めて見直しておくことは、安心して未来を描くための第一歩です。