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行動変容って?ステージ理論を活用した設計とは

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監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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人が何か新しい行動を始めたり、習慣を変えたりするには、ただ知識を与えるだけでは不十分です。そこで注目されるのが「行動変容」の考え方です。本記事では、行動変容の基本から、心理学に基づく「ステージ理論」を活用したアプローチまでを詳しく解説します。

行動変容とは

習慣を変える心理的なプロセス

行動変容とは、個人が自らの行動を見直し、新たな行動を習慣化するプロセスのことをいいます。たとえば、喫煙をやめる、運動習慣を取り入れる、時間管理を改善するなど、生活や仕事におけるあらゆる行動の変化が対象となります。

この変化は一瞬で起きるものではなく、段階的に進行していきます。つまり、本人の内面的な意識の変化と、外部からの支援や環境の影響が複雑に絡み合って、少しずつ行動が変化していくのです。

行動変容は、医療やヘルスケア領域だけでなく、人材育成やマネジメントの現場でも広く活用されています。特に組織での能力開発においては、スキル習得と併せて「行動の変化」を促すことが成果に直結するため、非常に重要な概念です。


ステージ理論とは

行動変容の段階を可視化するモデル

ステージ理論は、行動変容を段階的なプロセスとして捉える心理モデルです。1980年代に心理学者プロチャスカとディクレメンテが提唱しました。人が行動を変える過程を「6つの段階」に分けて整理しています。

以下は、その概要をまとめた表です。

ステージ特徴と行動意識
無関心期行動を変える必要性を感じていない段階
関心期行動を変えたいという気持ちが芽生え始める
準備期行動を変えるための計画や情報収集を行う
実行期実際に新しい行動を始めている段階
維持期新しい行動を継続し、習慣化を図る段階
終了期行動変容が定着し、もはや意識せずに継続している状態

この理論では、行動を変えるためには、ステージごとに異なるアプローチが必要であるとされます。たとえば、無関心期の人にいきなり実行を求めても、拒否反応が起きるだけです。その人の心理的準備に合わせたサポートが求められるのです。


ステージ理論を活用した設計方法

各ステージに応じた支援と施策の工夫

行動変容を促進するには、対象者のステージを見極め、適切なアプローチを設計することが不可欠です。以下は、ステージ別に有効な支援策の一例です。

・無関心期には、行動変容の必要性や意義を「気づかせる」情報提供が有効
・関心期には、変化によるメリットを伝え、感情面での不安を軽減するアプローチが効果的
・準備期には、目標設定や行動計画の立案を支援する
・実行期には、行動の継続をサポートする仕組みやフォローが必要
・維持期には、モチベーション維持や仲間との共有がカギとなる
・終了期には、自己効力感を高め、新たな行動変容へとつなげる支援も考えられる

このように、ステージごとの心理的状態に合わせて設計された支援策は、個人の変化を後押しし、行動の定着につながります。


行動変容を職場で活用するメリット

組織全体の成長と生産性向上につながる

行動変容を人材育成やマネジメントに取り入れることで、次のようなメリットが生まれます。

項目内容
自律的な成長スキルだけでなく行動まで変化させることで、社員が自ら成長する姿勢を育める
組織文化の改善ポジティブな行動変容が職場全体に波及し、風通しの良い文化を醸成
定着率の向上学習効果を継続的な行動に落とし込むことで、研修成果の定着率が高まる
エンゲージメントの強化行動変容によって達成感や貢献感が高まり、社員のやる気が向上

特に近年では、管理職のリーダーシップや若手社員の主体性を高める文脈で、行動変容の考え方が注目されています。単なる「知識のインプット」にとどまらず、「行動のトランスフォーメーション」を重視する姿勢が求められているのです。


行動変容を促すための実践ポイント

継続と環境整備が成功の鍵

行動変容を成功させるためには、以下のようなポイントを意識することが重要です。

・一度の取り組みで完結させようとせず、継続的な支援を前提にする
・ステージ理論を活用して対象者の段階を適切に評価し、それに応じた設計を行う
・職場環境や人間関係が行動変容に影響するため、心理的安全性の高い環境を整備する
・変化の「見える化」を行い、小さな成功体験を積み重ねて自信を育てる
・上司や周囲のサポートも成功要因となるため、関係者の巻き込みを意識する

行動変容は個人の努力だけでは限界があります。組織としての仕組みや支援体制があってこそ、持続可能な成果につながるのです。


まとめ

行動変容とは、意識や行動を段階的に変えていく心理的なプロセスであり、ビジネスや教育現場において極めて重要な概念です。ステージ理論を活用することで、対象者の状態に応じた最適なアプローチを設計できるようになります。

今後、組織で人材育成や行動定着を進める上でも、この理論に基づいた設計視点は大いに役立つでしょう。単なる「教える」から「変わる」への転換が、行動変容の本質といえます。