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【介護業・中小企業】人材不足どうする?課題と解決のポイントを詳しく解説!

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監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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現代の介護業界において、中小企業は深刻な人材不足に直面しています。この問題はサービス品質の低下や業務効率の低下を引き起こし、企業の競争力を損なう可能性があります。

この記事では、介護業界の中小企業が直面する人材不足の課題と、その解決方法について詳しく解説します。

人材不足の課題

高齢化と若手人材の減少

介護業界では従業員の高齢化が進んでおり、若手人材の確保が難しくなっています。多くのベテラン社員が定年を迎える中、新たな人材が不足しているため、業務継続に支障が生じています。

この状況は、特に中小企業にとって大きな課題です。若手人材の減少は、業界全体の活力を失わせ、革新やサービスの質向上を遅らせる要因となっています。

労働条件の厳しさ

介護業界の労働環境は厳しく、肉体的・精神的な負担が大きいことが一般的です。長時間労働や不規則な勤務時間が多く、若い世代が介護業界に興味を持ちにくい傾向があります。

また、低賃金が問題視されており、これが人材確保の難しさを助長しています。働き方改革が進む中で、労働条件の改善が求められていますが、多くの中小企業では迅速な対応が難しい現状があります。

競争の激化

大手企業との競争が激化している中で、中小企業は人材確保の面で不利な立場にあります。大手企業はより高い給与や福利厚生を提供できるため、優秀な人材を引きつけることができます。

一方、中小企業は限られたリソースで人材を確保しなければならず、魅力的な労働条件を提供するのが難しいです。この競争環境は、中小企業の人材不足を一層深刻化させています。

将来の見通し

団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者になる2025年以降、介護人材の不足が加速すると見込まれています。高齢化率(人口に占める65歳以上の高齢者の割合)が上昇し、介護サービスの需要が増大する一方で、それを支える生産年齢人口(15歳以上65歳未満)の割合は減少していくためです。

厚生労働省の「第8期介護保険事業計画」によれば、2019年の介護職員数が211万人であるのに対して、2025年度の必要職員数は243万人で32万人の不足、2040年度には280万人で69万人の不足が予測されています。

解決のポイント

柔軟な働き方の導入

テレワークやフレックスタイム制度を導入することで、従業員が働きやすい環境を提供します。これにより、仕事と家庭のバランスを取りやすくし、若い世代の興味を引き付けることができます。

また、労働時間の柔軟性を高めることで、従業員のストレスを軽減し、長期的な定着を促進します。柔軟な働き方の導入は、企業の競争力を高めるための重要な施策です。

職場環境の改善

労働条件の改善とともに、職場環境の整備も重要です。安全で快適な労働環境を提供することで、従業員の健康とモチベーションを向上させます。

例えば、休憩施設の充実や健康管理プログラムの導入などが挙げられます。また、従業員間のコミュニケーションを促進するための取り組みも必要です。職場環境の改善は、従業員満足度の向上と離職率の低減に寄与します。

教育と研修の充実

従業員のスキル向上を図るための教育や研修プログラムを充実させます。特に若手人材に対しては、キャリアパスを明確に示し、成長の機会を提供することが重要です。

定期的な研修や資格取得支援を行うことで、従業員の専門性を高め、企業全体の技術力を向上させます。教育と研修の充実は、長期的な人材育成と企業の成長を支える基盤となります。

ICTツールやロボット等の導入

介護業が人材不足を補うためには、ICTツールやロボット等の導入が必須です。これらの技術は業務の効率化や負担軽減に大いに役立ちますが、導入コストが高いのが難点です。しかし、厚生労働省などでは導入を後押しするために補助金制度を用意しています。以下は代表的な補助金です(2024年3月時点)。

  • 地域医療介護総合確保基金による「介護ロボット導入支援事業」「ICT導入支援事業」
    地域医療介護総合確保基金による補助金は、都道府県単位で実施されます。都道府県からの案内等を確認しましょう。
  • 省力化・省人化補助金
    中小企業・小規模事業者の省人化・省力化の取り組みを支援するための補助金です。令和5年度の補正予算で設けられた「中小企業省力化投資補助事業」により、IoTやロボットなどの導入費用が、最大1,500万円、補助率1/2で補助されます。
  • IT導入補助金
    中小企業・小規模事業者等の業務効率化やDXに役立つITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金で、最大450万円、補助率1/2で補助されます(通常枠)。

採用活動の強化

求人広告やリクルートイベントを通じて、積極的に人材を募集します。また、企業の魅力を伝えるためのブランディング戦略を強化し、求職者に対して中小企業の魅力をアピールします。

具体的には、働きやすい職場環境や成長機会、社会的な意義などを強調することが考えられます。採用活動の強化は、優秀な人材を確保し、企業の競争力を高めるために不可欠です。

まとめ

介護業界の中小企業が直面する人材不足の課題は多岐にわたりますが、柔軟な働き方の導入、職場環境の改善、教育と研修の充実、ICTツールやロボット等の導入、採用活動の強化など、さまざまな対策を講じることで解決に向けた道筋をつけることができます。

これらの取り組みを通じて、介護業界の中小企業は持続可能な成長を実現し、競争力を維持することが期待されます。