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合資会社の事業承継は厳しい?進め方、メリットやデメリットを解説

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監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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合資会社は、中小規模のビジネスでよく見られる法人形態の一つです。しかし、合資会社の事業承継は株式会社や合同会社に比べて進め方が難しいとされています。これには、法律上の制約や経営の特殊性が関係しています。本記事では、合資会社の事業承継が厳しいとされる理由、具体的な進め方、そしてメリットとデメリットについて詳しく解説します。

合資会社の特徴とは?事業承継が難しい理由を解説

合資会社は、無限責任社員と有限責任社員の両方で構成される法人形態です。それぞれの社員の責任範囲が異なり、以下の特徴があります。

種類責任範囲
無限責任社員会社の債務に対して無限の責任を負う。
有限責任社員出資額を限度に責任を負う。

事業承継が難しい理由

  1. 無限責任社員のリスク
    無限責任社員は、会社の債務全てに責任を負うため、後継者が引き継ぎを躊躇する場合があります。
  2. 社員構成の変更が困難
    社員の構成や責任区分が法律で定められているため、他の法人形態に比べて柔軟性に欠けます。
  3. 事業承継の認知度が低い
    合資会社の事業承継に特化した情報が少なく、具体的な方法を見つけにくいという課題があります。

合資会社の事業承継を進める手順を解説

1. 現状分析と計画の策定

事業承継を進めるには、まず会社の財務状況や社員構成を把握し、承継の目的と計画を明確にする必要があります。


2. 後継者の選定

無限責任社員を引き継ぐ場合、後継者には十分なリスク管理能力と経営知識が求められます。


3. 合意形成と契約の締結

無限責任社員や有限責任社員、その他の関係者との合意を得た上で、承継契約を締結します。専門家のアドバイスを受けながら進めることが重要です。


4. 株式会社や合同会社への変更検討

事業承継を円滑に進めるため、合資会社から別の法人形態(株式会社や合同会社)への変更を検討することも有効です。これにより、後継者のリスクが軽減される場合があります。


合資会社の事業承継のメリットとは?

  1. 承継後も法人格が維持される
    法人形態を変えない限り、会社の信用や歴史が引き継がれるため、取引先や従業員にとっての安心感があります。
  2. 無限責任社員の経営関与が可能
    無限責任社員が直接経営に携わることで、会社運営に一貫性を持たせることができます。
  3. スムーズな経営承継が可能
    社員間で事前に合意形成ができれば、承継プロセスをスムーズに進められます。

合資会社の事業承継のデメリットとは?

デメリット詳細
無限責任社員のリスク後継者が会社の債務全てに責任を負うため、引き継ぎの負担が大きい。
法人形態の柔軟性が低い株式会社や合同会社と比較して、社員構成の変更が難しく、運営に制約が多い。
事業承継の情報不足合資会社の承継に特化した支援サービスや情報が少ないため、計画が立てにくい。

合資会社を株式会社や合同会社に変更する際のメリット

合資会社を別の法人形態に変更することで、事業承継がスムーズになる場合があります。

法人形態変更後のメリット
株式会社経営者の責任が限定され、株式を通じた資金調達が可能になる。
合同会社設立や維持コストが低く、柔軟な経営が可能になる。

事業承継を成功させるポイント

  1. 専門家の支援を活用する
    税理士や弁護士、事業承継コンサルタントのアドバイスを受けることで、スムーズな承継が実現します。
  2. 後継者育成を計画的に進める
    経営ノウハウや会社のビジョンを後継者に伝え、円滑に経営を引き継げる環境を整えましょう。
  3. 早めの計画策定
    事業承継は長期的なプロセスを要するため、早期に計画を立てて準備を進めることが成功の鍵となります。

まとめ

合資会社の事業承継は、無限責任社員のリスクや法人形態の柔軟性が低い点など、他の法人形態と比べて難しい側面があります。しかし、計画的な後継者の選定や法人形態の変更を検討することで、スムーズな承継が可能になります。専門家の支援を活用しながら、会社の未来を見据えた戦略を立て、円滑な事業承継を実現しましょう。