中小企業経営強化税制は、中小企業や個人事業主が設備投資を通じて経営力の向上を図る際に、税制上の優遇措置を受けられる制度です。本記事では、この制度の概要や適用要件、さらに起業家や個人事業主が活用できる他の優遇制度について詳しく解説します。
中小企業経営強化税制の概要
中小企業経営強化税制は、「中小企業等経営強化法」の認定を受けた経営力向上計画に基づき、対象となる設備を取得または製作した場合に、以下の税制優遇措置を選択適用できる制度です。
- 即時償却 取得価額の全額をその事業年度で経費として計上できます。
- 税額控除 取得価額の10%（資本金が3,000万円超1億円以下の法人は7%）を税額から控除できます。
これにより、設備投資に伴う税負担を軽減し、資金繰りの改善や経営力の強化を支援します。
適用要件
この税制を適用するためには、以下の要件を満たす必要があります。
対象企業
- 資本金または出資金が1億円以下の法人
- 資本または出資を有しない法人で、常時使用する従業員数が1,000人以下の法人
- 常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業主
- 協同組合等
ただし、以下の法人は対象外となります。
- 同一の大規模法人から2分の1以上の出資を受ける法人
- 2以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受ける法人
- 前3事業年度の所得金額の平均額等が15億円を超える法人
これらの要件を満たすことで、個人事業主も本税制の適用を受けることが可能です。
対象設備
以下の新品設備が対象となります。
- 機械・装置 取得価額が160万円以上
- 工具・器具・備品 取得価額が30万円以上
- 建物附属設備 取得価額が60万円以上
- ソフトウェア 取得価額が70万円以上
中古品は対象外となります。
対象期間
2017年4月1日から2025年3月31日までに、経営力向上計画に基づいて新規設備を取得し、事業の用に供した場合が対象です。
適用手続きの流れ
中小企業経営強化税制を適用するための一般的な手続きの流れは以下のとおりです。
- 経営力向上計画の策定 自社の経営力向上のための計画を作成します。
- 認定申請 策定した計画を所管の行政庁に提出し、認定を受けます。
- 設備の取得 認定を受けた計画に基づき、対象となる設備を取得します。
- 税務申告 確定申告時に、税制優遇措置の適用を受けるための必要書類を添付して申告します。
詳細な手続きや必要書類については、所管の行政庁や税理士に相談することをお勧めします。
起業家や個人事業主が活用できる他の優遇制度
中小企業経営強化税制以外にも、起業家や個人事業主が活用できる優遇制度があります。
- 小規模企業共済
個人事業主や小規模企業の役員が、廃業や退職時の資金を準備するための共済制度で、掛金は全額所得控除の対象となります。 - セーフティネット貸付
日本政策金融公庫が提供する、経営環境の変化などで一時的に業況が悪化した中小企業・個人事業主向けの融資制度です。 - IT導入補助金
中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際の経費の一部を補助する制度です。
これらの制度を組み合わせて活用することで、事業運営の負担を軽減し、経営の安定化を図ることができます。
まとめ
中小企業経営強化税制は、中小企業や個人事業主が設備投資を行う際に、税制優遇を受けられる制度です。対象となる設備を取得し、経営力向上計画の認定を受けることで、即時償却や税額控除といったメリットを得ることができます。
この制度を活用することで、資金繰りの改善や経営基盤の強化につながり、企業の成長を支援する大きな助けとなります。また、中小企業経営強化税制以外にも、小規模企業共済やセーフティネット貸付、IT導入補助金などの優遇制度を組み合わせて利用することで、より効果的に事業の発展を図ることができます。
税制優遇を受けるためには、所定の手続きや申請が必要となるため、事前に要件を確認し、計画的に進めることが重要です。申請や手続きに不安がある場合は、税理士や専門家に相談することをおすすめします。
本記事を参考に、中小企業経営強化税制を活用し、事業の発展と経営力向上を目指してください。
