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セクショナリズムとは?要因や生産性への影響を解説

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監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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セクショナリズムとは、組織内の各部署やチームが自部門の利益や効率を優先し、他部門との協力を拒む状態を指します。これは企業や組織にとって深刻な問題となる可能性があり、部門間の連携が取れなくなることで業務の停滞や非効率が発生しやすくなります。特に、大企業や官公庁など、組織が大きくなるほどセクショナリズムが発生しやすい傾向があります。

この状態が続くと、組織全体の生産性や業績に悪影響を及ぼし、最終的には顧客満足度の低下や市場競争力の喪失にもつながります。本記事では、セクショナリズムの定義や発生要因を明らかにし、それが生産性に与える影響について詳しく解説します。さらに、組織内のセクショナリズムを解消するための方策についても考察していきます。


セクショナリズムとは

セクショナリズム(sectionalism)とは、組織内の各部署やチームが、自部門の利益や効率を最優先し、組織全体の視点を欠いた状態を指します。日本では「縦割り意識」や「縄張り意識」とも呼ばれることがあり、組織の一体感を損なう要因となります。

この問題は、企業のみならず、官公庁や大学、病院などの大規模組織でも頻繁に見られます。たとえば、企業では営業部門と製造部門の連携不足が、納期の遅延や品質問題を引き起こすことがあります。また、官公庁では、異なる省庁間での情報共有が不十分なために、政策の実行が遅れるケースもあります。

以下の表は、セクショナリズムの主な特徴を示したものです。

セクショナリズムの主な特徴具体例
部署間の情報共有が不足しているIT部門と営業部門のデータ連携が不十分で、業務効率が悪化する
自部門の目標達成が最優先になる各部門が個別に予算を確保しようとし、全体最適化が進まない
他部門への関心や理解が乏しい他部署の業務内容を知らず、協力が難しくなる
部門間の対立が発生しやすい責任の押し付け合いや非協力的な態度が見られる

セクショナリズムの発生要因

セクショナリズムが生じる背景には、さまざまな要因があります。組織の構造や評価制度、人事の仕組みなどが影響し、次のような問題が発生しやすくなります。

1. 部署間のコミュニケーション不足

各部署が独立して業務を行う中で、情報共有が不足すると、相互理解が深まらず、協力関係が築きにくくなります。たとえば、開発部門と営業部門が十分な情報共有を行わないと、顧客のニーズを反映した商品開発が難しくなります。

2. 部署ごとの目標や評価基準の違い

部署ごとに異なる目標や評価基準が設定されると、組織全体の利益よりも自部門の目標達成を優先しがちになります。その結果、部門間の協力よりも競争が激化し、連携が弱まることがあります。

3. 人事異動や交流の欠如

人事異動や部署間の交流が少ないと、他部署の業務内容や目標が理解できず、視野が狭くなりがちです。特に、同じ部署に長年勤務している従業員が多い場合、他部署との連携が困難になりやすいです。


セクショナリズムが生産性に与える影響

セクショナリズムが組織にもたらす主な弊害は、次のとおりです。

1. 全社視点の欠落

自部門の利益や防衛を最優先することで、全社的な視点が欠け、組織全体の目標達成に支障をきたします。たとえば、マーケティング部門が売上向上のための新戦略を提案しても、財務部門がコスト削減を優先するあまり、十分な予算が確保されないといった問題が発生します。

2. 顧客視点の欠落

内部指向が強まることで、顧客のニーズや要望が後回しにされることがあります。その結果、商品やサービスの品質低下、顧客満足度の低下、ひいては企業の業績悪化につながる可能性があります。

3. 従業員のモチベーション低下

部署間の対立や連携不足が従業員の士気を下げる要因になります。例えば、ある部署が新しいシステムを導入しようとしても、別の部署が従来の方法を固守し、変革が進まない場合、従業員のフラストレーションが高まり、やる気を失うことがあります。

以下の表に、セクショナリズムがもたらす影響をまとめました。

セクショナリズムの影響具体例
全社視点の欠落部署ごとの目標がバラバラで、組織全体の最適化が進まない
顧客視点の欠落顧客ニーズよりも社内ルールや手続きが優先される
従業員のモチベーション低下部門間の対立や軋轢がストレスとなり、離職率が上がる

まとめ

セクショナリズムは、組織内の連携不足やコミュニケーションの欠如から生じ、全社的な視点や顧客志向の欠落、さらには従業員のモチベーション低下といった問題を引き起こします。この状態が続くと、組織全体の生産性や業績に悪影響を及ぼすため、早急な対策が求められます。

この問題を解決するためには、部署間のコミュニケーションを促進し、全社共通の目標を設定することが重要です。また、人事異動の活性化や部門横断的なプロジェクトの推進など、組織全体での取り組みが必要です。組織全体の意識改革を進めることで、セクショナリズムを解消し、より強固で生産性の高い組織を目指すことができるでしょう。