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有給は最低5日取得しないと罰則がある?有給取得義務化について解説

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監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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2019年4月から「有給休暇の取得義務化」が施行され、企業は労働者に対して最低5日間の有給休暇を取得させる義務を負うことになりました。もし企業がこれを守らない場合、罰則が科される可能性があります。本記事では、有給取得義務化の概要や対象となる労働者、罰則について詳しく解説します。適切な対応を知り、労働環境の改善につなげましょう。


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有給取得義務化とは何か

「有給取得義務化」とは、2019年4月の労働基準法改正により、企業が年次有給休暇のうち最低5日間を労働者に取得させることを義務付ける制度です。この制度の目的は、労働者の健康維持やワークライフバランスの向上を図ることにあります。

これまでは、有給休暇の取得は労働者の自主的な申請に委ねられていましたが、取得率が低いことが問題視されていました。そこで、企業に対して最低5日間の有給休暇を確実に取得させるよう義務化し、労働環境の改善を図ることになりました。

この制度では、労働者本人が申請しない場合でも、企業が時期を指定して有給休暇を付与しなければならないため、実質的にすべての対象者が最低5日間の有給休暇を取得することになります。


有給取得義務化の対象となる労働者

有給取得義務化の対象となるのは、年次有給休暇が10日以上付与される労働者です。これには、正社員だけでなく、一定の条件を満たすアルバイトやパートも含まれます。

有給取得義務化の対象者

労働者の種類対象かどうか
正社員対象
週5日勤務のパート・アルバイト対象
週4日勤務のパート・アルバイト(有給付与日数10日以上)対象
週3日以下のアルバイト(有給付与日数が10日未満)対象外

例えば、週3日勤務のアルバイトで有給休暇の付与日数が6日である場合、この制度の対象外となります。しかし、週4日以上勤務し、有給休暇の付与日数が10日以上であれば対象となり、企業は最低5日間の有給休暇を取得させる義務を負います。


企業が有給を5日取得させない場合の罰則

企業が有給休暇の取得義務を怠った場合、労働基準法に基づき罰則が科される可能性があります。具体的には、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられることが規定されています。

有給取得義務違反の罰則

違反内容罰則
有給休暇を5日取得させなかった6か月以下の懲役または30万円以下の罰金
有給休暇の取得を労働者に強制的に辞退させた同上
有給休暇の取得申請を理由に不当な扱いをした労働基準法違反として罰則の対象

企業側には、労働者が確実に有給休暇を取得できるように、適切なスケジュール管理を行う義務があります。違反した場合、労働基準監督署による是正勧告や行政指導が行われ、最悪の場合には刑事罰が科されることになります。


有給休暇の5日取得義務の具体的な運用方法

企業は、労働者が有給休暇を自主的に取得しない場合、以下のいずれかの方法で有給休暇を付与する必要があります。

時季指定方式

企業が労働者の有給休暇の取得時期を指定し、最低5日間の休暇を付与する方法です。業務の繁忙期を避け、労働者と調整したうえで実施することが求められます。

計画的付与制度の活用

会社全体で有給休暇の取得日を設定する方法です。例えば、「年末年始」「夏季休暇」「特定の連休」として有給休暇を割り当てることで、労働者全員が計画的に休暇を取得できるようになります。

労働者の自主的な取得を促進する

有給取得率が低い企業では、労働者に対して定期的に有給休暇の取得を促す通知を行うことも有効です。例えば、年に一度、労働者に対して「現在の有給休暇の残日数」や「取得推奨日」を案内することで、自然な形で取得を促すことができます。


企業と労働者が注意すべきポイント

有給取得義務化に関して、企業と労働者の双方が理解しておくべきポイントがあります。

企業側の注意点

  • すべての対象者に最低5日の有給を取得させることを徹底する
  • 有給休暇の取得を拒否したり、不利益な扱いをしない
  • 適切な管理を行い、労働基準監督署の指導を受けないようにする
  • 計画的付与制度を導入し、業務に影響を与えない形で取得を進める

労働者側の注意点

  • 自身が有給取得義務の対象になっているかを確認する
  • 会社が有給休暇を適切に取得させているかをチェックする
  • 有給休暇の申請をためらわず、積極的に活用する
  • 企業側が適切な対応をしていない場合、労働基準監督署に相談する

まとめ

有給休暇の取得義務化により、企業は対象となる労働者に対して最低5日間の有給休暇を取得させる義務を負っています。これを怠ると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

企業は、計画的付与制度を活用したり、労働者と相談して取得日を決めるなど、適切な方法で運用することが求められます。一方で、労働者も自身の権利を正しく理解し、有給休暇を適切に活用することが大切です。

有給休暇を適切に取得することで、労働環境の改善やワークライフバランスの向上につながります。企業と労働者が協力して、有給休暇を適切に管理し、より良い働き方を実現していきましょう。