, 有給休暇のルールとは何か?人材確保につながるポイントも解説 | ビズスキルDX

有給休暇のルールとは何か?人材確保につながるポイントも解説

お役立ち情報
監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

詳しく見る

有給休暇は、労働者の権利として労働基準法で定められた休暇制度です。企業が適切に有給休暇を管理し、取得を促進することは、従業員の満足度向上だけでなく、人材確保にもつながります。本記事では、有給休暇の基本ルールや取得方法、企業が取り組むべきポイントについて詳しく解説します。


有給休暇の基本ルールを理解する

有給休暇(年次有給休暇)とは、労働基準法第39条に基づいて労働者に付与される「給与が支払われる休暇」のことを指します。これは、労働者の健康維持やワークライフバランスの確保を目的とし、一定の条件を満たすすべての労働者に付与されるものです。

有給休暇の付与日数は、勤続年数と週の労働日数によって異なります。特に、2019年4月の法改正により、企業は年間5日以上の有給休暇を取得させることが義務化され、適切に管理しない企業には罰則が科されることになりました。


有給休暇の付与条件と日数

有給休暇は、「雇い入れから6か月が経過していること」と「その期間に全労働日の8割以上出勤していること」の2つの条件を満たす労働者に付与されます。

有給休暇の付与日数(週5日勤務の場合)

勤続年数有給休暇の日数
6か月10日
1年6か月11日
2年6か月12日
3年6か月14日
4年6か月16日
5年6か月18日
6年6か月以上20日

アルバイトやパートタイマーなどの週の労働日数が少ない労働者は、比例付与と呼ばれる形で有給休暇が付与されます。

週の労働日数別の有給休暇付与日数

勤続年数週5日週4日週3日週2日週1日
6か月10日7日5日3日1日
1年6か月11日8日6日4日2日
2年6か月12日9日6日4日2日
3年6か月14日10日7日5日2日
4年6か月16日12日8日6日3日
5年6か月18日13日9日6日3日
6年6か月以上20日15日10日7日3日

企業が守るべき有給休暇のルール

企業は、有給休暇の取得を適切に管理し、労働者の権利を守る義務があります。特に、以下の点に注意が必要です。

1. 取得義務化の遵守

2019年4月から、年10日以上の有給休暇を付与されている労働者に対し、企業は最低5日間の取得を義務付けることが求められています。企業がこのルールを守らなかった場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

2. 時季指定の適用

企業は、労働者が自主的に有給を取得しない場合、業務に支障が出ない範囲で有給休暇の取得時期を指定することができます。ただし、労働者の希望を尊重することが望ましいとされています。

3. 有給休暇の繰り越しと消滅

有給休暇には2年間の時効があり、未使用分は消滅します。そのため、企業は有給休暇の取得を促し、無駄なく活用できるようにする必要があります。

4. 有給休暇取得の不利益な取り扱いの禁止

労働者が有給休暇を取得したことを理由に、不利益な扱いをすることは労働基準法違反となります。例えば、「有給を取得したら評価を下げる」「有給取得を理由に解雇する」などの行為は、違法となるため注意が必要です。


有給休暇を活用した人材確保のポイント

有給休暇の適切な管理は、単に法律を守るだけでなく、企業の魅力を高め、優秀な人材を確保するための重要な要素にもなります。

1. 取得しやすい環境の整備

従業員が気軽に有給休暇を取得できるようにすることで、職場の満足度が向上し、離職率の低下につながります。例えば、事前申請の簡素化やチームでの業務分担を行うことで、従業員が休暇を取得しやすくなります。

2. 有給休暇の計画的付与

企業が積極的に計画的付与制度を導入することで、従業員が確実に休暇を取得できる仕組みを作ることが可能です。例えば、「夏季休暇」や「年末年始休暇」として有給休暇を計画的に設定することで、取得率を向上させることができます。

3. 福利厚生の充実

有給休暇の取得推奨とともに、特別休暇(リフレッシュ休暇やバースデー休暇)などを導入することで、従業員の満足度を向上させることができます。特に、柔軟な働き方を取り入れ、有給休暇の取得を積極的に支援する企業は、求職者からの評価が高くなります。

4. 企業ブランディングへの活用

有給休暇の取得率が高いことを企業の魅力として発信することで、採用活動にもプラスの影響を与えます。例えば、「当社の有給休暇取得率は90%以上」といった実績を公開することで、働きやすい環境をアピールできます。


まとめ

有給休暇は、労働者の権利として法律で定められており、企業は適切に管理する義務があります。特に、年間5日の取得義務化が導入され、違反した場合の罰則も設けられているため、適切な対応が求められます。

企業が有給休暇の取得を促進し、取得しやすい環境を整えることで、従業員の満足度向上や人材確保にもつながります。法律を順守しつつ、柔軟な働き方を取り入れることで、魅力的な職場環境を実現しましょう。