副業をしたいと考える人が増える一方で、「会社が副業を禁止しているのは法律的に問題ないのか?」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。本記事では、副業禁止が法律的に許されるのか、NGとされる理由、そして就業規則との関係について詳しく解説します。
副業禁止は法律的に許されるのか?
結論から言うと、法律上、副業を完全に禁止することはできません。
しかし、企業には一定の条件下で副業を制限する権利があり、就業規則に「副業禁止規定」を設けることが認められるケースがあります。
副業に関する法律の基本ルール
法律 | 内容 |
---|---|
労働基準法 | 「労働者は複数の雇用契約を結ぶことができる」と明記されている |
職業選択の自由(憲法第22条) | 労働者は自由に職業を選べる権利がある |
厚生労働省「モデル就業規則」 | 原則として副業を認める方針が示されている(2018年改正) |
つまり、原則として副業は自由にできるものの、一定の条件下では企業が制限することが可能なのです。
企業が副業を禁止できるケースとは?
企業は「合理的な理由」がある場合に限り、就業規則で副業を制限することができます。
企業が副業を禁止できる主なケース
ケース | 理由 | 具体例 |
---|---|---|
本業の業務に支障をきたす場合 | 副業による疲労や長時間労働で、本業に悪影響を及ぼす可能性がある | 副業で夜勤をして、昼間の本業に影響が出る |
競業避止義務に違反する場合 | 会社と競合する業種で副業を行うことは、企業の利益を損なう | 自社と同じ業界で副業し、ノウハウを活用する |
機密情報の漏洩リスクがある場合 | 副業先での業務を通じて、企業の秘密情報が漏洩する可能性がある | 本業で扱う顧客情報を副業で利用してしまう |
企業の信用を損なう場合 | 企業のブランドや社会的信用に悪影響を与える | 会社の社員がSNSで過激な発言をし、副業先の影響を受ける |
このように、本業に悪影響を及ぼす場合は、企業が就業規則で副業を禁止することが可能です。
就業規則と副業禁止の関係
企業が副業を制限する場合、就業規則に副業禁止に関する条項を明記する必要があります。
副業禁止に関する就業規則の例
就業規則の記載 | 内容 |
---|---|
「労働者は、会社の許可なく他の会社に雇用され、または業務を行ってはならない」 | 副業を全面的に禁止する規定 |
「会社の業務に支障をきたす場合、副業を禁止する」 | 本業に影響が出る場合のみ、副業を制限する規定 |
「競業にあたる副業は禁止する」 | 競業避止義務に関する規定 |
現在、多くの企業が「一定の条件付きで副業を認める」方向に就業規則を改訂しています。
企業の就業規則を確認し、どのような制限があるのかを把握することが重要です。
副業をする際に注意すべきポイント
副業をする際には、本業に悪影響を及ぼさないよう、慎重に進める必要があります。
副業をする際の注意点
注意点 | 内容 |
---|---|
就業規則を確認する | 会社が副業を許可しているか、どのような制限があるかを確認する |
労働時間の管理を徹底する | 長時間労働にならないよう、健康管理を意識する |
競業避止義務に違反しない | 本業と競合する業種で副業をしない |
税金の申告を適切に行う | 副業収入がある場合、確定申告を行う必要がある |
特に「副業禁止規定」がある会社では、事前に会社と相談することが重要です。
副業が認められやすい業種と認められにくい業種
業種によっては、副業をしやすい場合と、厳しく制限される場合があります。
副業が認められやすい業種
業種 | 理由 |
---|---|
IT・フリーランス系 | リモートワークが可能で、本業と副業のバランスが取りやすい |
クリエイティブ職 | デザインやライティングなど、個人のスキルを活かせる |
教育・講師業 | 企業研修やオンライン講座の仕事がしやすい |
副業が制限されやすい業種
業種 | 理由 |
---|---|
公務員 | 法律で副業が原則禁止されている(国家公務員法・地方公務員法) |
金融業・保険業 | 企業の信用を損なうリスクが高いため |
医療系(病院勤務の医師・看護師) | 本業の負担が大きく、副業が制限されることが多い |
業界の特性によって、副業の許可が変わるため、自分の業界のルールを確認することが重要です。
まとめ
副業禁止は、法律上は原則として自由だが、企業が合理的な理由で制限することが可能です。
- 憲法や労働基準法では副業が認められているが、企業は就業規則で制限できる
- 本業に支障がある場合や、競業避止義務に反する場合は副業が禁止されることがある
- 副業をする際には、就業規則の確認・労働時間の管理・税金の申告などに注意が必要
- 業種によって、副業が認められやすい業界と、厳しく制限される業界がある
副業を考えている場合は、事前に会社の規則を確認し、リスクを避けながら適切に進めることが大切です。