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有給は前借りできる?!企業の義務は?対策も解説

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監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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「有給休暇を前借りできるのか?」という疑問を持つ人は多いですが、法律上のルールや企業の対応はどうなっているのでしょうか?本記事では、有給休暇の前借りの可否、企業の義務、そして前借りが必要な場合の対策について詳しく解説します。

有給の前借りとは?

有給の前借りとは、本来付与される前の有給休暇を先に取得することを指します。

例えば、入社半年後に有給が10日付与されるが、入社5カ月目の時点で有給を使いたい場合に、前借りができるのかが問題になります。

有給休暇の基本ルール

項目内容
付与条件6カ月以上継続勤務し、全労働日の8割以上出勤していること
付与日数勤続年数に応じて増加(最低10日、最大20日)
前借りの可否法律上は認められていないが、企業の裁量で許可可能
企業の義務年5日の有給取得を義務付けられている(労働基準法)

有給の前借りは法律上認められる?

結論:法律上「前借り」は認められていない

労働基準法では、有給休暇は入社6カ月後に発生する権利であり、前倒し取得の規定はないため、企業に前借りを認める義務はありません。

しかし、企業の裁量で前借りを許可することは可能です。

企業が前借りを認めるケース

ケース具体例
人材確保のための福利厚生従業員の満足度を上げるため、前借り制度を設ける
業務の継続性を考慮優秀な社員がやむを得ず休む必要がある場合、特例として認める
特定の職種・業種人手不足が発生しやすい業界で、柔軟な対応を取る

このように、法律では義務づけられていないものの、企業の判断で前借りを認めるケースもあるのです。


企業の義務とは?

有給の前借りは義務ではありませんが、企業には「年5日の有給取得義務」があります。

企業の義務(労働基準法第39条)

義務内容詳細
年5日の有給取得義務すべての企業は、年5日以上の有給取得を従業員に義務付けなければならない
有給取得の管理企業は有給休暇の取得状況を管理し、労働基準監督署からの指導に従う必要がある
違反時の罰則有給取得義務を守らない場合、企業に最大30万円の罰金が科される

つまり、前借りを認める義務はないが、法定の有給取得義務はしっかり守らなければならないのです。


有給前借りのメリット・デメリット

企業が有給の前借りを許可する場合、どのような影響があるのでしょうか?

メリット

メリット内容
従業員満足度の向上柔軟な働き方を認めることで、社員の定着率が向上する
急な休みに対応できる入社間もない従業員でも、家庭の事情などで休みを取得しやすい
採用競争力の向上副次的な福利厚生として、求職者に魅力を感じてもらえる

デメリット

デメリット内容
退職リスク前借り後に従業員が退職すると、企業は未発生分の有給を負担することになる
制度の公平性すべての従業員に前借りを許可しないと、不公平感が生じる
管理の手間が増える有給の前倒し取得を認めると、勤怠管理が複雑化する

このように、企業が前借りを認める場合は、ルールを明確にし、公平性を確保することが重要です。


企業側の対策とは?

企業が有給の前借りを認める場合、以下の対策を講じることでリスクを軽減できます。

企業の対策とポイント

対策内容
前借りの上限を設定する最大○日まで前借り可能とルール化する
返済ルールを設ける前借り分は、翌年の有給から差し引くと明記する
就業規則に明文化するすべての従業員がルールを理解できるようにする
例外対応の基準を明確にする特定の条件下でのみ前借りを認める(例:家族の緊急事態)

特に、「前借り後に退職するリスク」を考慮し、退職時の精算ルールを設けることが重要です。


従業員ができること

もし会社の規則上、有給の前借りができない場合でも、柔軟な対応を求める方法はあります

従業員ができる対応策

方法内容
有休取得の前倒し交渉上司に相談し、特例として認めてもらう
欠勤・特別休暇の利用会社が認める「特別休暇」や「欠勤」扱いにしてもらう
フレックスタイム制を活用一時的に勤務時間を調整し、休暇の代わりとする

企業によっては、「欠勤扱いにして後日有給として補填する」などの対応を取る場合もあるため、事前に相談するのがベストです。


まとめ

有給の前借りは、法律上の義務ではないが、企業の裁量で認めることが可能です。

  • 法律上は前借りは認められていないが、企業によっては特例で許可することがある
  • 企業には「年5日の有給取得義務」があるが、前借りを認める義務はない
  • 前借りを認める場合、退職リスクや管理の手間を考慮し、ルールを明確にすることが重要
  • 従業員側は、会社に相談し、特別休暇やフレックスタイムを活用する選択肢もある

企業と従業員の双方が納得できる形で、有給休暇を適切に活用しましょう。