「使い切れなかった有給休暇を買い取ってもらえるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。原則として有給の買い取りは禁止されていますが、例外的に認められるケースがあります。本記事では、有給の買い取りが可能なパターンや、具体的な計算方法について詳しく解説します。
有給休暇の買い取りは法律上可能?
結論 原則禁止だが、例外的に認められるケースがある
労働基準法では、有給休暇は「労働者の心身のリフレッシュを目的としているため、金銭での精算(買い取り)は原則禁止」とされています。
しかし、以下のようなケースでは例外的に買い取りが認められています。
有給を買い取りできる3つのパターン
1. 退職時の未消化有給の買い取り(企業の任意)
退職日までに使い切れなかった有給休暇については、企業の裁量で買い取りを認めることができます。
項目 | 内容 |
---|---|
法律上の義務 | なし(会社の判断で実施可能) |
企業が買い取りを認めるケース | 退職日までに有給を消化しきれない場合 |
注意点 | 退職前に有給取得を申し出れば、基本的には消化可能 |
2. 時効で消滅する有給の買い取り(企業の任意)
有給休暇は付与から2年で時効消滅しますが、時効前に企業が買い取りを認めることは可能です。
項目 | 内容 |
---|---|
有給の有効期限 | 付与日から2年 |
買い取りの可否 | 企業の判断で可能(法律上の義務なし) |
注意点 | 従業員が有給取得を希望した場合、拒否できない |
3. 法定日数を超える有給の買い取り(企業の任意)
企業が独自に法定日数(年10日以上)を超えて有給を付与している場合、超過分の買い取りが可能です。
項目 | 内容 |
---|---|
法定有給日数 | 勤続年数に応じて10日~20日 |
企業が付与できる追加有給 | 法定日数+α(例:法定10日+特別5日など) |
買い取りの可否 | 企業の判断で可能 |
ポイント
- 法定有給は買い取り不可(原則)
- 会社独自の「特別有給」なら買い取りOK
有給休暇の買い取り金額の計算方法
1. 退職時の有給買い取りの計算方法
退職時の未消化有給は、基本的に「1日分の賃金 × 買い取り日数」で計算されます。
計算式
有給買取額=1日あたりの賃金 × 未消化有給日数
項目 | 例 |
---|---|
基本給(月給制) | 30万円 |
1日の賃金(30万円 ÷ 20日) | 15,000円 |
未消化有給日数 | 5日 |
買い取り金額(15,000円 × 5日) | 75,000円 |
2. 時給制・日給制の場合の計算方法
給与形態 | 計算式 | 例 |
---|---|---|
時給制 | 時給 × 1日の労働時間 × 未消化有給日数 | 1,200円 × 8時間 × 5日 = 48,000円 |
日給制 | 1日あたりの賃金 × 未消化有給日数 | 12,000円 × 5日 = 60,000円 |
ポイント
- 買い取り額は「基本給」をもとに計算されるため、手当や残業代は含まれないことが多い
- 会社ごとのルールによって金額が異なる場合があるため、事前に確認が必要
有給を買い取る場合の税金や社会保険の扱い
有給の買い取りを行うと、税金や社会保険料の対象になる場合があります。
項目 | 内容 |
---|---|
所得税 | 給与所得として課税対象 |
住民税 | 給与に含まれるため、翌年の住民税に反映 |
社会保険料 | 基本的には控除対象(例外あり) |
注意点
- 有給買取額が大きいと、翌月の給与から多めに税金・社会保険料が引かれることがある
- 退職後の買い取りの場合、社会保険料は引かれないケースが多い
有給の買い取りを希望する場合の注意点
1. 退職前に有給を消化できるか確認する
有給を買い取ってもらう前に、まずは退職前に消化できるか会社と相談することが重要です。
ケース | 対応方法 |
---|---|
有給を取得できる場合 | できるだけ取得する |
業務の都合で取得できない | 企業と相談し、買い取りを検討 |
2. 会社の就業規則を確認する
企業ごとに有給の買い取りルールが異なるため、事前に就業規則を確認しましょう。
確認ポイント | 内容 |
---|---|
退職時の有給消化の方針 | 取得推奨か、買い取り対応か |
買い取り対象の有給 | 法定分・特別付与分の違い |
まとめ
有給休暇の買い取りは、原則禁止ですが、例外的に認められるケースがあります。
- 退職時の未消化有給は、企業の裁量で買い取り可能
- 時効で消滅する前に、企業が買い取ることもできる(企業の判断)
- 法定有給を超える「特別付与分」は買い取りが可能
- 買い取り額は「1日分の賃金 × 未消化日数」で計算
- 買い取りに応じるかどうかは企業次第なので、就業規則を確認することが重要
有給を無駄にしないためには、まずは計画的に取得することが最善の方法です。