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業務委託と業務請負の違いは何?メリットと注意点について解説

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監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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企業が外部の専門家や企業に業務を依頼する際、「業務委託」「業務請負」という契約形態が存在します。どちらも外部に業務を任せる方法ですが、契約内容や責任範囲に違いがあります。適切な契約を結ばないと、法律違反やトラブルのリスクが高まるため、注意が必要です。本記事では、業務委託と業務請負の違い、メリット、注意点について詳しく解説します。

業務委託と業務請負の違いとは?

業務委託とは?

業務委託とは、企業が特定の業務を外部の個人や企業に任せる契約形態のことです。業務の遂行に関する指示権は委託先にあり、成果物の納品や業務の遂行を依頼するケースが多くなります。

業務委託の特徴内容
業務の進め方は委託先に任せる依頼主(発注側)が具体的な指示を出すことはできない
成果物ベースの契約が多い例:Webサイト制作、システム開発など
業務完了時に報酬が支払われる成果物の納品が基準になる

業務請負とは?

業務請負とは、成果物だけでなく、業務の遂行方法や人員管理も請負業者が責任を持つ契約形態です。発注者が指示を出すことはできず、契約通りの成果を提供する義務があります。

業務請負の特徴内容
請負業者が業務を完全に管理する作業指示や進め方を発注者が決めることはできない
完成責任が発生する例:建築工事、製品製造など
成果物が完成した時点で報酬が支払われる途中での契約解除は原則できない

業務委託と業務請負の違い

比較項目業務委託業務請負
指揮命令権なし(委託先が業務遂行を決定)なし(請負業者が自主的に遂行)
成果物の完成責任必要な場合もある(契約内容による)必ず成果物を完成させる義務がある
報酬の支払い基準業務遂行または成果物の納品完成した成果物の納品
業務の範囲知識・スキルを活かした業務(例:コンサルティング)物理的な作業や製造(例:工事、製品開発)

業務委託と業務請負のメリット

1. コスト削減が可能

業務を外部に依頼することで、人件費や設備投資の負担を減らせます。

メリット具体例
人材採用のコスト削減専門職(エンジニア・デザイナー)の短期契約が可能
固定費の削減業務量に応じて外部委託し、無駄なコストを抑える

2. 専門知識を活用できる

外部のプロフェッショナルに業務を任せることで、品質の高い成果を期待できます。

メリット具体例
専門スキルの活用ITシステム開発、マーケティング戦略の立案
最新技術の導入AI・クラウド技術の導入支援

3. コア業務に集中できる

ノンコア業務を外部委託することで、企業のリソースを本業に集中できます。

業務の種類委託するメリット
経理・会計業務請求書処理・税務申告を専門家に任せる
カスタマーサポート24時間対応のコールセンターを外部活用

業務委託・業務請負の注意点

1. 偽装請負に注意

業務請負契約の形を取っていても、発注者が業務の進め方を指示すると「偽装請負」と判断される可能性があります。

偽装請負のリスク具体例
労働基準法違反直接的な業務指示を出すと、雇用関係とみなされる
社会保険の未加入労働者性が認められると、未払いの社会保険料が発生する

対策:業務遂行は委託先に任せ、発注者は指揮命令を行わないことが重要です。


2. 契約内容を明確にする

契約時に業務範囲や報酬の支払い条件を明確にしないと、トラブルの原因になります。

問題点対策
業務範囲の不明確契約書で業務内容を具体的に記載
成果物の納品条件が曖昧検収基準を事前に合意しておく

3. 情報漏洩リスクの管理

外部業者に業務を依頼する場合、企業の機密情報が漏洩するリスクがあります。

リスク対策
企業情報の漏洩NDA(秘密保持契約)の締結
不正アクセスセキュリティ対策の強化

業務委託と業務請負の活用事例

業種活用内容契約形態
IT企業システム開発の外部委託業務委託
製造業部品の製造を外部工場に委託業務請負
小売業ECサイトの運営・デザイン業務委託
建設業建築プロジェクトの施工管理業務請負

まとめ

業務委託と業務請負は、どちらも業務の外部活用を目的としていますが、契約の内容や責任範囲に大きな違いがあります。

適切な使い分けのポイント

  • 業務委託 専門知識を活用する業務(例:IT開発、デザイン)
  • 業務請負 成果物の完成責任が発生する業務(例:製造、建築)

また、契約時には業務範囲を明確にし、偽装請負を避けるための対策を講じることが重要です。適切な契約形態を選び、リスクを回避しながら、業務の効率化と生産性向上を実現しましょう。