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プロダクトアウトとマーケットインどちらを活用すべき?それぞれのメリットを解説

監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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商品やサービスの開発を進める際に重要となるのが、「プロダクトアウト」と「マーケットイン」という2つの考え方です。どちらが正解かは一概には言えませんが、それぞれに特徴とメリットがあり、戦略に応じた使い分けが求められます。本記事では、プロダクトアウトとマーケットインの違いと、それぞれを活用する際のポイントをわかりやすく解説します。

プロダクトアウトとは?

プロダクトアウトとは、企業側の技術力や独自性を起点に製品やサービスを開発する手法です。「自分たちが良いと思うものを作る」「新しい技術で市場を創造する」といった姿勢が特徴で、イノベーションを重視する企業に多く見られます。

たとえば、Appleがまだスマートフォンという概念が世の中に浸透していない時期にiPhoneを開発・販売したのは、典型的なプロダクトアウトの例です。


マーケットインとは?

マーケットインとは、顧客のニーズや市場の動向を出発点にして製品やサービスを開発する手法です。市場調査やユーザーの声を反映し、需要に合わせた提供を行うことで、確実性の高い商品展開を目指します。

たとえば、コンビニが地域の購買データをもとに商品ラインナップを変えるといった施策は、マーケットインの好例です。


プロダクトアウトとマーケットインの違い

項目プロダクトアウトマーケットイン
発想の起点自社の技術・アイデア顧客ニーズ・市場動向
商品開発の姿勢「良いものを作れば売れる」「求められるものを作る」
ターゲット潜在ニーズを含む幅広い層明確なニーズを持つ既存市場の顧客
市場適応性新市場を創出できる可能性がある既存市場への適応性が高い
リスク市場とのズレが生じる可能性がある差別化が難しく価格競争に陥ることがある

どちらも一長一短があるため、事業の性質やステージに応じた選択が重要です。


プロダクトアウトのメリットと活用ポイント

メリット説明
技術革新による新市場の創出競合がいない独自市場を作り出すことができる
ブランド力・信頼感の構築独自性のある製品で市場にインパクトを与える
長期的な競争優位を構築しやすい技術力や開発力があれば真似されにくく、差別化しやすい

活用が向いている場面

  • 技術的に優れたプロダクトを持っている
  • 市場が未成熟でニーズが明確でない
  • 商品の価値を自社で定義できる業界

マーケットインのメリットと活用ポイント

メリット説明
顧客満足度が高まりやすい実際の声に基づいた商品設計が可能
売上や収益につながりやすい需要に即した商品なので市場投入後の反応が読みやすい
無駄な開発リスクを減らせる市場ニーズの確認後に開発を行うため、失敗の可能性が低い

活用が向いている場面:

  • 競争が激しい既存市場に参入する
  • 消費者のニーズが明確に存在している
  • 大量の顧客データを活用できる環境にある

どちらを選ぶべきか?ハイブリッド戦略のすすめ

実際のビジネスでは、プロダクトアウトとマーケットインの両方をバランスよく取り入れる「ハイブリッド戦略」が効果的です。

たとえば、企業が持つ独自技術(プロダクトアウト)をベースに、市場調査や顧客ヒアリング(マーケットイン)でブラッシュアップし、よりニーズに合った形で商品化する方法です。

イノベーションと市場適応の両立は難易度が高いものの、競争力のある製品・サービスを生み出す鍵となります。


まとめ

プロダクトアウトとマーケットインは、どちらも有効なビジネスアプローチです。前者は革新性と独自性、後者は確実性と顧客満足に優れています。重要なのは、自社の強みやマーケット環境に応じて、適切な手法を選ぶことです。

さらに近年では、この両者を融合させた柔軟な発想が求められており、単一の手法にこだわらない「選択と統合」が経営の質を左右するといえるでしょう。