障害の有無にかかわらず、すべての人が等しく暮らせる社会を目指す「ノーマライゼーション」という考え方。福祉や教育、雇用の現場で重要なキーワードとなっています。この記事では、ノーマライゼーションの意味や背景、基本的な考え方や実際の取り組みについてわかりやすく解説します。
ノーマライゼーションとは?
障害のある人もない人も「普通に」暮らせる社会の実現
ノーマライゼーションとは、障害のある人を特別視するのではなく、すべての人が地域社会で平等に生活し、共に生きていくことを目指す理念です。
項目 | 内容 |
---|---|
用語の意味 | 正常化・標準化(normalization) |
福祉での意味 | 障害者も健常者と同じように暮らせる社会をつくる考え方 |
発祥 | 1950年代のデンマークで提唱された福祉理念 |
対象領域 | 教育、労働、住居、交通、医療など社会生活全般 |
特別な場に隔離するのではなく、日常の中で共に暮らすという発想が根底にあります。
ノーマライゼーションの考え方の基本
障害の「ある・なし」ではなく「ありのままの人間」としての尊重
ノーマライゼーションには以下のような基本的な思想が込められています。
考え方 | 解説 |
---|---|
共生の視点 | 障害者を排除せず、社会の一員として受け入れる |
権利の平等 | 健常者と同様の教育、雇用、生活の機会を保障する |
自立支援 | 必要なサポートを受けながら、自分らしく生きることを重視 |
社会のバリア除去 | 心の壁や制度的な障害を取り除くことが求められる |
つまり、障害者を「保護する対象」ではなく「自立した一人の市民」として捉える姿勢が求められます。
ノーマライゼーションとインクルージョンの違い
「共に生きる」の考え方をさらに発展させたのがインクルージョン
似た概念として「インクルージョン(包摂)」がありますが、両者には以下のような違いがあります。
用語 | 意味 | 対象 | 特徴 |
---|---|---|---|
ノーマライゼーション | 障害者も「普通に」暮らせるようにする考え方 | 主に障害者 | 平等な生活環境の提供 |
インクルージョン | 多様な人々が排除されず共に生きる社会の実現 | 人種、性別、年齢などを含むすべての人 | ダイバーシティ(多様性)の尊重 |
ノーマライゼーションは、インクルージョンの礎となる福祉理念の一つといえます。
ノーマライゼーションが求められる背景
高齢化社会と価値観の変化が後押しに
ノーマライゼーションの重要性が高まっているのは、次のような社会背景があるためです。
背景要因 | 内容 |
---|---|
高齢化の進行 | 誰もが将来的に障害者になる可能性がある社会構造 |
障害者差別解消法の制定 | 差別的な取り扱いを禁止し、合理的配慮を求める法律 |
障害者雇用促進の流れ | 民間企業にも雇用義務や職場環境整備が求められる |
ユニバーサルデザインの推進 | すべての人が使いやすい環境づくりが進行中 |
今や「障害者の問題」ではなく、「社会全体の課題」として捉えられる時代となっています。
実際の取り組み事例
地域・教育・企業など多方面で進む実践
ノーマライゼーションの理念を実現するために、具体的には以下のような取り組みが行われています。
分野 | 取り組み事例 |
---|---|
地域社会 | 障害者と高齢者が共に暮らす共生型グループホーム |
教育現場 | 通常学級への特別支援教育の導入、教員研修の実施 |
交通インフラ | バリアフリー駅、音声ガイダンス付き信号機の設置 |
企業 | 障害者雇用の拡大と合理的配慮(短時間勤務、業務調整など) |
IT活用 | 視覚・聴覚に配慮したウェブサイト設計(アクセシビリティ) |
こうした具体的な取り組みが、「共に生きる社会」の実現へとつながっています。
ノーマライゼーション実現のために求められること
一人ひとりの理解と行動が社会を変える力に
ノーマライゼーションを実現するには、制度や環境だけでなく、私たち一人ひとりの意識改革も必要です。
必要な要素 | 内容 |
---|---|
偏見や無意識の差別の解消 | 「できないこと」に注目せず「できること」に目を向ける |
情報と機会の提供 | 障害者にも選択の自由とチャレンジの場を与える |
相互理解の促進 | 障害について学び、対話の機会を持つこと |
継続的な社会参加 | 地域・職場・学校などあらゆる場での共生を意識する |
私たちができる小さな配慮や行動が、ノーマライゼーション社会の基盤になります。
まとめ
ノーマライゼーションとは、障害者を含むすべての人が社会の一員として普通に暮らし、共に生きていくための考え方です。差別や分断のない社会を実現するには、制度や設備だけでなく、人々の意識と行動の変化が不可欠です。日常の中で「誰もが生きやすい社会」を意識することこそが、ノーマライゼーション実現の第一歩といえるでしょう。