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危機管理って?リスク管理との違いは何?

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監修者
竹村 直浩
竹村 直浩

<経営管理のプロ・数多の組織経営>
会計事務所経験からキャリアをスタート。
約30年間にわたりデータベースマーケティング、起業のみらずBPO業務および新規事業の立案に従事。
現在は、自らが代表を務める会社の経営の傍ら、経営管理および新規事業立案等の業務委託を請け負う

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自然災害や情報漏洩、経営スキャンダルなど、企業活動にはさまざまな「危機」が潜んでいます。こうした事態に対して企業が適切に対応するために必要なのが「危機管理」です。しかし、よく似た言葉として「リスク管理」もあり、その違いがあいまいなまま使われていることも少なくありません。本記事では、危機管理の基本的な意味とリスク管理との違い、さらに企業が講じるべき対応策についてわかりやすく解説します。

危機管理とは?

定義と目的

危機管理とは、企業にとって重大な被害をもたらす事象が発生した際に、それによる損害を最小限に抑えるための対応を指します。既に問題が発生している状態に対して、迅速かつ的確な行動を取ることが求められます。

項目内容
意味すでに発生した重大なトラブルに対応するための体制や行動
目的被害の拡大防止、事業継続の確保、信頼回復のための対応を行うこと
対象となる事象天災、事故、サイバー攻撃、情報漏洩、不祥事、製品事故など
キーワード緊急対応、被害抑止、復旧、再発防止

リスク管理とは?

危機の発生を防ぐための予防的な活動

リスク管理とは、将来的に起こり得るリスクを特定・分析し、それが現実になる前に予防策や軽減策を講じることを意味します。危機が「起きた後」の対応であるのに対し、リスク管理は「起きる前」の備えが中心です。

項目内容
意味起こり得るリスクを事前に把握し、未然に防ぐための戦略的取り組み
目的事故や損害の発生を最小化することによる、企業の安定運営と成長基盤の構築
対象リスク法令違反、人材流出、品質不良、経済変動、ITシステム障害など
キーワード予防、軽減、計画、監視、コントロール

危機管理とリスク管理の違い

比較項目危機管理リスク管理
タイミング事象が発生した「後」に行う対応事象が発生する「前」に行う予防策
主な目的被害を最小限に抑え、信頼回復・復旧を図るトラブルそのものを未然に防止し、企業活動の安定性を確保する
対象事象重大事故、災害、不祥事など「突発的な危機」法務、財務、業務、ITなどの「潜在的なリスク」
関連部門広報、総務、経営企画、経営陣各部門(品質管理、IT、人事、経理など)全体で対応する必要がある
代表的な手法事業継続計画(BCP)、クライシスマニュアルリスクアセスメント、内部統制、コンプライアンス制度の構築

危機管理で重要な対応ステップ

ステップ内容
初動対応被害状況の把握、関係者への連絡、対策チームの設置
情報発信・広報対応メディア・社内外ステークホルダーへの正確かつ迅速な説明
原因究明と再発防止策策定トラブルの根本原因を特定し、制度やマニュアルの見直しを実施
事業継続・復旧対応BCPに基づいたサービス復旧や事業の再開に向けた体制構築

リスク管理で有効な取り組み

施策項目解説
リスクマップ作成各業務に潜むリスクを一覧化し、重要度や発生頻度で分類する
内部監査の実施社内ルールの遵守状況や業務プロセスの妥当性を定期的にチェックする
教育・研修の実施リスク感度を高めるために、従業員に対する研修や意識付けを継続的に行う
モニタリング体制の整備日常的な業務監視や、異常検知のための仕組み(ITツール含む)を導入する

まとめ

危機管理とリスク管理は、どちらも企業を守るために不可欠な取り組みですが、目的やタイミング、対応内容に明確な違いがあります。リスク管理によって未然にトラブルを防ぎ、万一の際には危機管理で迅速に対応することが、企業の持続的成長と信頼維持につながります。経営陣や担当部署は、それぞれの特性を理解し、自社に合った体制と運用を整備することが重要です。