2019年4月の法改正により、企業は年次有給休暇を年5日以上取得させることが義務づけられました。この制度で重要になるのが「基準日」という考え方です。有給休暇の取得管理を正しく行うためには、基準日を明確に把握し、適切に運用する必要があります。本記事では、有給休暇義務化における基準日の意味や決め方、管理上のポイントについて詳しく解説します。
有給休暇の基準日とは?
制度上の定義と目的
基準日とは、労働者に有給休暇が付与される起算日を指し、年5日取得義務の管理開始日でもあります。労働基準法における年次有給休暇の付与は、継続勤務6か月かつ全労働日の8割以上出勤した労働者に対し、10日以上の有給休暇を付与するところから始まります。
項目 | 内容 |
---|
基準日の定義 | 有給休暇が付与された日(起算日)であり、取得義務の起点日となる |
管理目的 | 年5日取得義務の管理を1年単位で行うために必要な基準 |
対象者 | 年10日以上の有給休暇が付与されたすべての労働者 |
基準日の具体的な決め方
決め方の種類 | 解説 |
---|
個別付与方式 | 入社日ごとに基準日を設定(例:4月1日入社→10月1日が基準日) |
統一基準日方式 | 全社員に対して同一日を基準日とする方法(例:毎年4月1日を基準日とする) |
自動更新方式 | 前回の有給付与日を基準日として1年ごとに自動で更新 |
各企業の運用や管理しやすさに応じて、方式を選択することが可能ですが、いずれにしても「基準日から1年以内に5日取得」が求められます。
基準日管理の注意点
注意点項目 | 内容 |
---|
対象者の特定 | 年10日以上の有給休暇が付与される労働者のみが対象 |
取得状況の可視化 | 勤怠管理システムやExcel等で取得実績を記録・一覧化し、未取得者を把握することが重要 |
記録保存の義務 | 有給休暇の付与・取得日・時季指定記録を3年間保存する義務がある |
時季指定の対応 | 労働者が取得しない場合、基準日から1年以内に企業が時季指定して取得させる必要がある |
統一基準日制度を導入するメリットとデメリット
メリット | デメリット |
---|
管理の効率化 | 基準日が1日で統一されることで、取得状況の確認や記録が簡素化される |
時季指定のしやすさ | 一括で未取得者に対する時季指定計画を立てやすくなる |
対象者の増加リスク | 統一日で多くの労働者が同時に対象となるため、管理負担が一時的に増す可能性がある |
適切な基準日管理のポイント
管理ポイント | 解説 |
---|
システム活用 | 勤怠管理ツールを導入し、有給日数と基準日を自動管理することが効果的 |
管理者教育の徹底 | 人事・労務担当者が基準日や取得義務の内容を正しく理解することが不可欠 |
社内ルールの整備 | 就業規則や運用マニュアルに基準日の定義と取得義務対応を明文化しておく |
社員への周知 | 従業員本人にも「自分の基準日」「取得状況」を定期的に伝え、計画的な取得を促す |
まとめ
有給休暇の取得義務化において、基準日は「取得管理の起点」として非常に重要な役割を果たします。自社の勤務形態や人員構成に合った基準日設定を行い、システムやルールを活用して適切な運用を行うことが、法令遵守と従業員満足の両立につながります。取得義務への対応を確実に行うためにも、基準日の管理を見直し、制度運用を強化していきましょう。